あらすじ
容疑者は村人全員! ?
20年ぶりに帰郷した了衛を迎えたのは、閉鎖的な村人たちの好奇の目だった。
愛するワルツの名曲〈美しく青きドナウ〉を通じ、荒廃した村を立て直そうとするが……。
雄大な調べがもたらすのは、天啓か、厄災か⁉
著者史上最狂・最悪のどんでん返しミステリ!
「まっさらで読めば、滝川野菜のところで
おりょ?と騙されます。
あーラッキーだなー自分。最高に楽しんじゃいました。」
新井見枝香(三省堂書店)
●あらすじ
金も仕事も住処も失った“元エリート”溝端了衛が帰った故郷は、7世帯9人の限界集落に成り果てていた。
携帯の電波は圏外。住民は曲者ぞろい。地域に溶け込もうと奮闘する了衛の身辺で、不審な出来事が起こりはじめ……。
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Posted by ブクログ
失業を機に都会から出戻った主人公が、限界集落での閉塞感の中で徐々に追い詰められ、凶行に及ぶ。
タイトルから完全に村おこしのサクセスストーリーとして読み進めていたのが、中盤から様子がおかしくなり、最後には予想もつかなかった展開に。先入観に振り回されるのは何も旧弊な年寄りだけではない、という言葉は身につまされるものの、排他的で身勝手な村人はもちろん、外資系企業で一時でもよくやれていたなと思うほど浅はかな言動で自らを窮地へと追い込んでゆく了衛にも全く共感できず、読み進めるのが非常にしんどかった。ヨハンの存在が了衛の中で大きくなるにつれて、同様に大きくなってゆく不安。やっぱりそうなるか…とわかっていても、動物と暮らしているものにとっては辛すぎる結末。
あれ、水質調査の人って、もしや…と思ってたら、最後に明かされる大きな真実。この作品、なんと『魔女は甦る』『ヒートアップ』の続編!
Posted by ブクログ
自分至上主義な了衛があの自分大事!な年寄り連中と普通には馴染めないだろうなあと思う
そして能見は胡散臭いと思ってたらやっぱり…!
追い詰められていく了衛の心情に心臓がぎゅっとなるけどちょくちょく自分至上主義が出てくるからうーん…となる
終盤は結構グロいけど七里さんの作品の好きなところでもあるので無問題
さらに宮條が登場してこれはまさか?と読み進めたらヒートシリーズとクロスオーバーしていて思わぬご褒美をもらった時のような嬉しさがあった
Posted by ブクログ
中山七里のファンです。でも最近は人が◯ぬ系の話を読めなくなってしまったので彼の作品は久しぶりでした。
自分で選んだ作品ではなく、もらった本だったので手に取るのには時間がかかりました。でも読んでよかったかも。
旅のお供に読んだのですが、そういう本じゃない笑
どんでん返し等の情報を見ずに読みました。
酷評をつけている方もいますが私は大満足でした!
ただ、良いと思ったからこそショックではあったんですよね。人間のドロドロしたところを見て落ち込みましたし、引きずっています。
限界集落に都会から来て町おこし。
一見RPGゲームのような設定ですが、心情に関してはリアル。
都会の人間として主人公の気持ちがよく分かるし、お金がなくて満たされなくなると余裕が無くなるのはリアリティがあります。地方(その中でも限界集落。観光地とかじゃないとこ)と都会(東京とか大阪とかその周り)ってこんなにも価値観が離れているんだなと思いました。
そもそもこの本を手に入れている人に限界集落に住んでいる人はほぼいないのでリアリティがないと思うのは無理ないです。
人ってやっぱり結果主義なんだな…。特に余裕がなくなるとそうなりがちだよなって改めて思う作品でした。
Posted by ブクログ
田舎で閉鎖的な人間関係。
陰湿な嫌がらせ。
村八分とはいうけど、こんなにも人は残酷になれるのか。
最初は村に溶け込もうと自分なりに努力していた主人公が(かなりずれてはいる)段々と追い詰められていく様が怖かった。
なんとなく予想はできたけど、村全体の嫌がらせかと思いきや1人の仕業だったとは。
Posted by ブクログ
オーディブルにて。
最後の最後までサイコホラーのような話が続き、これはミステリーじゃないのかも?と思っていたら最後にこう来たか。
総じてまあまあかな?
九条さんやらアゼルファインが出てきたのは、中山七里さんの作品を読んでると、お!となる展開。
中山七里さんシリーズの時系列が知りたい。
Posted by ブクログ
人間がいかに簡単に精神的な視野狭窄へ陥ってしまうのか。
極小集落という、閉鎖的な生活や人間関係の中で憎悪を募らせて極端な強行に及ぶ過程は、ありえないと思う一方で、疑心暗鬼に陥って近隣住民を悪以外のなにものでもないと思い込んでしまうことは、普通にあるだろうとも思う。
お話の結末は早くに気づいてしまったので、大どんでん返し!と驚きはしなかったけれど、面白かったです。
Posted by ブクログ
途中からオチがわかってさまったので、その一点に向けてひたすら出来事が起こっていくのは割と辛かった。でもシンプルなストーリーで登場人物の物事に対する捉え方があまりにも違って心に残った。
Posted by ブクログ
みんな不愉快な人ばかり。了衛くんもこんな追い詰められるまで閉鎖的な田舎住まいに固執しなくてもよかったのに。優雅なタイトルからは想像もできない血みどろのエンディング。後味悪し。
Posted by ブクログ
題名からは程遠い、救いようのない展開。
主人公:了衛も竜川地区の住民たちも社会性が欠如しており嫌な面が強調されている。住民達が了衛の一挙手一投足を否定していく描写は中々の嫌らしさであった。
一方で了衛も住民達に認めてもらうために考える方策がややずれており、これじゃあ信頼されないよなって感じ
それとなく黒幕は予想がつき、どんでん返しはそれ程衝撃のあるものでは無かった。
最終章で了衛が住民たちへの復讐をする描写は中山作品らしいエグさであったがちょっと長かったかな。
Posted by ブクログ
うわあやっぱりそうきたか。
じわじわと悪感情に心が侵食されていく過程を丁寧に書いており、嫌な気持ちしか湧いてこない。
あらゆる点で描写力が卓越しているので、こちらの精神的ダメージも大きい。
本を閉じた瞬間にため息が出るし、もうこの作品は“おぞましい”の一言に尽きるな。
Posted by ブクログ
ここまでスプラッタばりの惨殺シーンが出てくる中山作品ってありましたかね。殺される人はそこまで多くないものの、津山三十人殺しを思い出さずにはいられず。
高齢者のみの限界集落に戻った主人公に同情すべきなのでしょうが、いきなり拡声器でクラシック音楽を流して人々に気に入られるわけもなく、好人物には程遠い。
いつだったかも書きましたが、こういう話を読むと坂東眞砂子の『くちぬい』を思い出して気が滅入る。もしかすると板東さんは本作の主人公に拍手喝采を送りたくなったかも。しかしこの行為すら仕向けられたことだとしたら。絶望的。
Posted by ブクログ
よくある、村おこしの話かと思って読んでいた。
職も住むところも失って田舎に帰った了衛。
7世帯9人の閉鎖的な村に溶け込もうとするが、うまくいかない。
一人だけ了衛を理解してくれる男がいたが、彼は村八分の身だ。
彼がごちそうしてくれた、自家菜園で作っている野菜のおいしさに感激して考え付いたのが野菜のネット販売だった。
うまくいけば村人全員が潤う。軌道に乗れば外部から働き手が来て人も増えるかも。
しかし味は良くても見た目の悪い野菜は売れなかった。
期待が大きかっただけに村人の落胆は大きく、そこから了衛に対する嫌がらせが始まる。
我慢していた了衛が爆発したのは可愛がっていた犬のヨハンが殺されたからだ。
村は殺戮の場と化した。
「最狂・最悪のどんでん返しミステリ」と帯にあったので、了衛を理解してくれていた男が了衛を操っていたのではないかという思いはあった。
けれど、本当のどんでん返しは最後の数ページにあった。