あらすじ
2013年の夏、わずか12人が暮らす山口県の集落で、一夜にして5人の村人が殺害された。
犯人の家に貼られた川柳は〈戦慄の犯行予告〉として世間を騒がせたが……
それらはすべて〈うわさ話〉に過ぎなかった。
気鋭のノンフィクションライターが、ネットとマスコミによって拡散された〈うわさ話〉を一歩ずつ、
ひとつずつ地道に足でつぶし、閉ざされた村をゆく。
〈山口連続殺人放火事件〉の真相解明に挑んだ新世代〈調査ノンフィクション〉に、震えが止まらない!
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Posted by ブクログ
取材に基づくルポですが、まるで民俗学系のホラー小説のようです。住民のグロテスクな怖さや妄想世界を覗き見る不安感、真偽不明の怪異に信仰話などが入り混じり、読後はぐったりです。書籍内である人物が亡くなったあとの住民の反応には心底冷え冷えしました。
題材となるのは、住人が10数人の山口県の集落で5人が殺害された事件。犯人は「うわさ話ばっかし、うわさ話ばっかし」という言葉を残して、妄想の世界に閉じこもります。裁判では被害妄想に基づく犯罪だとして、犯人の責任能力の有無などが焦点となりました。
しかし、著者の取材によって、集落の中ではえげつないほどのうわさ話が蔓延していたことが事実だと判明。互いが互いの見えないところで悪口を言い合う風習が根付いていると明らかになります。犯人は出戻りで集落に溶け込めず、うわさ話の格好の的になっていたようです。
そうした環境から逃げられなかった犯人が行き場をなくして妄想を広げ、事件を起こしたのかもしれません。
閉鎖的な集落の怖さという面はもちろんあるのですが、指摘している方もいるように、近年のSNSの普及によって全世界がこうした村社会になってきたと感じる怖さの面もあるように思います。本人たちにその気がなくても、うわさ話で他人を攻撃し、追い詰めてしまうケースは少なくないのではないでしょうか。
Posted by ブクログ
途中の古老の話、自分さえよければ相手がどうなったっていい、という考え方がこの村をこんなふうにしてしまった、というところ、その後にこれからの時代は違うと語られていたけれど果たしてそうだろうか。日本、世界が、そんな方向に「貧しく」なってしまっている気がする。
「東京は田舎者でできている街」だという言葉をなんだか思い出した。スケールが違うだけで、同じことが東京で、世界で起こり続けてるんじゃないだろうか。そう思ってとてもこわくなった。
Posted by ブクログ
このルポの怖さは「結局何なのか分からない」事にある。都会暮らしから見ると信じられない程閉ざされた小さなコミュニティにおける噂話が殺人にまで発展する。ネット社会とはまた違う、郷土の怨念みたいなものを感じる不気味な事例。
一気に読んでしまった
お正月に帰省先の限界集落で
一気に読みました。
おどろおどろしさの漂う事件のことを書きながら、
淡々と事実を述べていき時々心情を漏らす、
著者のバランス感覚がとても好きでした。
サブカル中年のふりをして
ある場所に取材に行くシーンや、
取材の中で村人と心を通わせる瞬間など
全体的に緊迫感がみなぎっているものの
そのムードに溺れない著者の強さが感じられ
読んでいるうちに「この人は信頼できる」と
思えました。
Posted by ブクログ
山口県の山奥、たった12人しか住んでいない集落で、5人の村人が惨殺された。
「連続殺人と放火」というだけでも衝撃的なのに、5/12が殺されたのだから、その衝撃度たるや。
犯人とされたのは、その村の出身で、40代の時に村に住む親の介護を理由に川崎市から戻ってきた男。
しかし両親を看取った後、彼は村の人たちと交流することはほとんどなく、一方的に噂の的となり嫌がらせを受けていたという。
思い余ったうえでの犯行だったのか。
逮捕された直後は犯行を認めていた容疑者は、途中からすべて警察のでっち上げであり、無罪を主張しはじめる。
取材している著者に対しても、一方的に自分の主張をまくしたてる姿は、一種異様だ。
会話が成立していない。
しかし著者が取材をするうえでわかってきたのは、実際に彼は噂の的であったことと、村人から胸を包丁で刺されたことがあったこと。
そして、今回の事件とは関係なく、この少人数の集落で、放火が割と日常的に行われていたこと。
イヌやネコなどが、日常的に殺されていたこと、など。
部外者にはショッキングなそれらの事実も、集落に住む者には笑って話せる日常であることが恐ろしい。
有意義な読書であったことは承知の上で、この本についてはいろいろ問題があると思う。
まず、一応仮名になっているとはいえ、読む人が読んだら誰のことかわかる状態で、ここまで村人の悪行を、村人から聞いた悪口として載せることの意味。
引っ越して集落から出て行った人でさえ、どこに住んでいる、誰と住んでいるとみんなが知っているような関係性の中で、このようなことを書くことは不用意に歪みを生じさせないのか。
村の古老の語りというのも、特定の一人ではなく、何人かの証言を一人の語りとして創りなおしたものだという。
それでは、自分が言っていないあれこれを言ったのは誰だ、と猜疑心が生まれはしないか。
真実を知るためには必要だ、という考えもあるだろうが、この本に限っては結局真実は藪の中なのである。
生まれた場所をいまさら動くことができないような人たちが住んでいるこの場所を、噂と悪意に満ち溢れた場所として書くのは、結局誰のためにもなってはいないのではないか。
読んだだけの私でさえ、その閉塞感に息が詰まる思いだというのに、この集落に住む人ならず離れて暮らす子どもたち家族も、この集落に接した場所に住んでいる人たちも、この本を読んで気持ちに区切りがつけられるかと言えば、それは決してないことだろうし、却って新たな心の傷を抱えなければいいと思う。
Posted by ブクログ
初めてノンフィクション作品
大変な事件のノンフィクションなので読む前はちょっと怖いしマイナスな感じは嫌だと躊躇したけど 以前周南市に住んでいた事もあり気になって読んでみた。思ってたような暗さは全くなくてどんどん引き込まれてしまった。読んでる間
「これは実際の話」と何回も頭で確認してしまった。小さな事が生々しく感じる。
刑法39条、、、大変な事件を起こす人は それだけですでに精神疾患があるような気もする。
どんな背景があったとしても。
話題性で判決が変わっている点など ちょっと
びっくりした。
田舎の話だけども どこでも起こり得る人間の
心の奥深いとこを感じた本だった。
またノンフィクション読んでみよう
Posted by ブクログ
面白い。しっかり調べてあるが、真相はワタルだけが知っているのかも。
噂については、気にしたことないがよく分かる。自分が加害者になっていないか点検しよう。
Posted by ブクログ
わずか12人が暮らす山口県の集落で、一夜にして5人の村人が殺害。この事件を追いかけるルポライターの話。ノンフィクションだが、被告人とのやりとりなどはドラマのよう。うわさの恐ろしさと何が真実なのか・・。精神疾患における裁判の判断基準の曖昧さも感じた。
Posted by ブクログ
ネタバレになるので詳細は伏せるが、事件の真相としてある村人から語られる内容は一見肩透かしのようでいてやはり本書のテーマである「噂」とどこか繋がっているように思う。この事件の舞台のような閉鎖的な限界集落では他人の目を意識せずに暮らすことが不可能に近い。数少ない他人に対する思いや評価が溢れてそれがやがてあることないことを誰もが互いに噂しあうことに転じ、それを半ば不快に感じながらも、人々はそこから切り離されて生きることもまたできない。
孤独は人を病ませるというが、このような環境ではより濃厚にそんな病理が現れるのかもしれない。
Posted by ブクログ
2013年7月、山口県周南市の金峰(みたけ)地区の郷集落で起こった5人の殺害と放火事件。犯人の家の窓には「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」の貼り紙。でもこれは当時マスコミやネットで騒がれたような犯行予告ではなかった──。
何度も現地に足を運んで住民たちから聞き込みをし、ときに警戒されたり嫌がられたりしつつもめげずに訪問を重ねるなかで、やがて報道と裁判が到達したのとは別の真相が明らかになっていく。閉ざされた狭い集落において、人間関係の良否はまさに死活問題。犯人の直筆の手紙の異様にくねくねとした筆跡がすごかった。
【目次】
1:発生
2:夜這い
3:郷
4:ワタル
5:その父、保見友一
6:疑惑は静かに潜む
7:コープの寄り合い
8:保見家
9:うわさ
10:ワタルの現在
11:くねくね
12:書籍化の経緯
13:古老の巻
14:ふたたび郷へ
15:ことの真相
16:山の神様
17:春祭り
18:判決
【ノーツ】
・それぞれの集落に固有の性質がある → ひとくちに村八分といっても、その村の個性により内容も異なるはず(45-46頁)
[1938 津山三十人殺し]都井睦雄に対する悪口
[2004 加古川7人殺害事件]藤城康孝に対する陰口や無視
[2013 山口連続殺人放火事件]では保見光成に対しては?
・刑法39条の問題点
Posted by ブクログ
猟奇的な事件は実際に起こる。犯人を駆り立てるものは何だろうと興味を持った。
著者何度も現地に足を運び、疎まれながらも丁寧に取材した。本を読むとその成果は十分伝わってくる。
犯人に同情の余地はない。そもそもコミュニケーション能力に乏しい人間が、限界集落のような濃密な地域に生活拠点を移したのが間違いだ。「助け合い」「思いやり」など期待したのが間違いだ。この事件は起こるべくして起こったのだ。
今後また集落、いや都会で悲惨な事件は起こるんだろうなと憂う。どこかで孤立した人間が妄想を募らせ、自称『正義の鉄槌』を下す準備をしている。そして私たちはそれを防ぐ術を未だ知らない。
Posted by ブクログ
覚えていますか?6年前に周南市の山奥で起こった5人連続殺害放火事件のことを。「つけ火して…」の俳句のような貼り紙もあり「平成の八墓村」などといわれた事件。著者は限界集落の現地へ繰り返し訪問して生き残った村人たちに聞き取りを繰り返す。村に渦巻く噂の数々や犯人の生い立ちを調べる。
丹念な聞き取りの結果によるレポートは、とても読み応えがある。事件の現場となった山奥の限界集落も、昔は華やかな祭りがあり、多くの子供たちで賑やかだった。そんな歴史を掘りおこして書いてくれことも、山口県人としては嬉しい。
Posted by ブクログ
うーん、、、結局核心的なことは何もわからず。誰がどう思って事件を起こしてその引き金はこうで、、、みたいなミステリ小説のような綺麗なオチはないとしても、もう少し踏み込んだ犯行理由があればよかった。母親への夜這いの話もちょいちょい出てくるのに回収されずに終わってるし。。
有名作なので読んでみたのですが売れた理由がわからないまま終わってしまった。当時の報道ぶりを知ってたらまた違ったのかな。
ただ心神喪失者と心神耗弱者への刑罰のあり方や判決の偏り方への指摘は勉強になった。有名な事件ほど死刑になりやすいとは、、裁判官も結局は批判を恐れて保身に走る公務員ってことですかね。死刑制度自体は無くしてほしいけど、精神障害者を無期懲役にして反省もないまま生かしておいても被害者は何を得るのかとも思う。難しいですね。
Posted by ブクログ
陰湿でジメジメした日本の田舎の悪い部分と、触れちゃいけないタイプのちょっと危ない人。単体であればどちらも嫌だなぁくらいで済んだところを、運悪く悪魔合体してしまった結果の悲劇といったところでしょうか。不穏な雰囲気がよく描写されてて良かったです。
悪いところを言うなら、全体的に取材対象に対して若干失礼だなと感じました。創作ならキレ味があって面白いと思いますけど、実際の人物がいるのでそちらへの配慮に欠けるなとどうしても感じてしまいました。とはいえ、面白かったです。
Posted by ブクログ
2013年7月、山口県の限界集落で事件が起きた。
5人が殺害され、家が2軒放火された。
それだけでも大きな事件だったが、犯人と疑われ、事件後、行方不明となっている男の家にあった貼り紙が世間を騒がせた。
つけびして 煙り喜ぶ 田舎者
「つけび」という言葉が放火の犯行予告なのではないかとささやかれたのだ。
本書はこの事件を追うルポである。
著者は元々は裁判の傍聴マニアだった。ブログが書籍化されたことからノンフィクションライターとなり、以後、凶悪犯罪の刑事裁判を傍聴してそれをリポートするようになった。さらには、傍聴に加え、被告人と面会や文通を重ねて、事件を総括する形をとるようになる。
こうした書き手はかつては、主に雑誌を活躍の場としてきた。だが、インターネットの発展に伴い、丹念な取材に基づかずとも、SNSなどネットで入手した情報で、ある意味「お手軽」に記事を書くことも可能になった。
著者はそれを良しとせず、当事者から話を聞くことを大切にしている。紙離れが進み、ノンフィクションは売れないと言われる昨今、著者のスタイルで生き残るのはそうたやすいことではない。しかし、SNSでの噂レベルの話が実状とはほど遠いこともままあるのだ。丁寧な取材によってしか、見えてこないこともある。
本書は、連続殺人事件のルポであると同時に、事件の取材にあたった一ライターの奮闘記の一面もあり、さらには1つの限界集落にまつわる民俗学的側面も覗かせている。
男は元々、事件の起こった土地で生まれたが、若い頃は外に出ており、親の介護のために戻ってきたUターン組だった。帰ってきた当初は、過疎地の「村おこし」もすると意気込んでいたが、それは空回りに終わった。事件当時には、男はすっかり「浮いた」存在になっていた。誰もが立ち寄れる場所にするはずだった自宅には人は寄り付かず、男は大音響のカラオケで歌をがなる、ちょっと危ない人になっていた。
男の一家にはいろいろ噂があり、中には親が盗みを働いたというものや夜這いを掛けられたというものもあった。
一方、男の側も村人から村八分のような「いじめ」を受けていたという噂もあった。
真偽不確かな噂を確かめようと村に入った著者。だが思うようには取材は進まなかった。
何せ、単純なストーリーに落とし込めないのである。
容疑者自身の過去から、さらにはその親の世代まで。取材した古老の話は行きつ戻りつし、どこか、民俗学者・宮本常一の聞き取りを彷彿させるような複雑な奥行きのある思い出話となっていく。事件の話から離れて、この地の歴史的背景も垣間見るような様相である。
別の古老は、10年後にしか話せない真相を知っているという。だが、関係者の死とともに、10年を待たず、著者はそれを聞く機会を得る。いささかあっけに取られるようなその「真相」も何だか含蓄深い。
古老の話の民俗学的な部分がもう少し聞きたかったような気もするのだが、そもそもそこが主題ではなく、事件がなければ著者がこの地域に興味を持つこともなかったわけで、いささか中途半端な印象だが致し方ないところか。
かつては賑わった村が時代の流れとともに寂れていき、そこに住む人の数も減っていく。
その中で、さまざまな噂が渦巻き、どす黒い澱のようなものが生じる。
それは「呪われた」と称されるようなものだっただろうか。それとも単なる行き違い・掛け違いだっただろうか。
ともかくも、一度は去った故郷に舞い戻った男は、最初は悪意はなかったのだろうが、村に溶け込めぬまま、孤立していく。その陰で、男は精神を病みつつもあったようだ。
一方で、村人の側は、田舎の常で、噂に花を咲かせてはいたのだろう。それが男の噂だったのか、あるいは男がそう妄想していたのかはわからないが。
男の奇矯な行動は増え、村人が男を見る目はどんどん冷えていき、男は意固地になっていき、その陰で男の妄想は膨らんでいったということか。
男の貼り紙は禍々しい犯行予告というよりも、噂好きの村人への皮肉であったようだ。これだけではなく、男は時に川柳めいた句を詠むことがあり、家には他の貼り紙もあったという。
「『村八分』にあった男が、積年の恨みで犯行予告の上、大量殺人に及んだ」というセンセーショナルな言い回しで想像するのと、ことは少々違っていたようにも見えてくる。
とはいえ、殺しが正当化されるわけではなく、これほどの大惨事にならずに済む道はなかったのか、という思いは拭えない。
判決が出た後は、身内や弁護人以外は被告に会うことができず、著者もこれ以上のコンタクトは取れないようだ。
結局のところ、丹念な取材をもってしても、「事件の真相」なるものに辿り着くことは時に、困難なのだろう。
被害者には被害者が見ている景色があり、加害者には加害者が見ている景色がある。
誰しも見ているものは違う。ただ見ているものが違うだけならありがちなことだが、視点の違いから、他者の生命や財産を脅かすほどの害が起こるようになれば、そこが法律の出番だ、ということなのかもしれない。
すっきりした答えには行きつかないが、いろいろ考えさせられる本ではある。
Posted by ブクログ
前半は、一応取材させてもらってる立場だよね、、?色々となんて言い草…という感想
後半は、裁判制度やノンフィクションへの思いが感じられて良かった。
Posted by ブクログ
著者の取材の過程が綴られてるだけで、何か大きな事実が明らかになるわけではないけど、限界集落の気味悪さがリアルに伝わってくる。多かれ少なかれ、田舎だけではなく限られたコミュニティってこういう気味悪さがあるなあと。こっちの言ってる常識が伝わらない、自分たちの常識の中で生きてるって感じ。一体誰の言っていることが本当なのか、、モヤモヤした気分になりながらも、携帯も繋がらない、夜になると真っ暗になる限界集落に、著者である女性が何度も一人で訪れる描写にゾクゾクしながら読み進めてしまう。
犯罪もののノンフィクションというより、閉鎖された田舎の怖さに関するちょっと特殊なルポって感じ。
あとがきが良かった。「うわさ」というものに対する著者の思いも納得できたし、本書の構成の意図について綴られていて、ちょっとモヤモヤがすっきりした。
Posted by ブクログ
ノンフィクションである。だから事実である。でも視聴率やPV稼ぎの記事にはない事実がこの本で、著者の取材で明らかになる。
しかし、だからといって、裁判の結果が覆るようなことはない。
それでも、凶悪事件と一言では片づけられない背景が見えてくる。
少し、著者の憶測、”決めつけ”が過ぎる印象はあるが、こういった地道な努力の本は好きだ。
Posted by ブクログ
2013年7月21日山口県周南市・須金・金峰地区の郷集落で2件の火災が起こり、3名が死亡した。翌日になるとさらに2名が殺害されていることがわかった。合計5名。5名と親しかった女性一人は生存。被害者女性の夫は村外に旅行に出ていて難を逃れた。
村に住む一人の男の行方が知れず、重要参考人として捜索が行われる。山中で発見し逮捕に至る。
当時マスコミは村でのイジメが動機であるとして報道した。実際にイジメがあったのか実際に現地に出向きインタビューと村の歴史から事件の全体像を探ったものである。
20190617最高裁最終弁論
20190711最高裁判決・上告棄却(死刑確定)
夕方から被害者遺族3名の記者会見。
2名は川村さんの娘。(一人損害へ旅行へ出ていて難を逃れた男性の娘。妻は殺害されている。)
1名は遺族の名を明かしたくないとして不明。
遺族の方のインタビューも載せて欲しかったかな。
Posted by ブクログ
初めの方は楽しめたけど、途中ぐらいから内容も平坦になり、少し期待外れ。
結局、本人とのやりとりも一度あったことを記載しているだけで、内容的にもいまいち。
Posted by ブクログ
naonaonao16gさんの本棚で見つけました
10年前、実際にあった事件のことは覚えていません
限界集落での壮絶な事件
それを執拗に追う作者
その情熱に惹かれます
作者はその集落に潜む「もの」を抉っていきます。
事実だからこその重みでしょう
ただ構成のまずさにちょっと引いてしまいました
一冊の本として仕上げるには無理があったのでは……
≪ 「うわさ」って あっと広がる 村とSNS ≫
Posted by ブクログ
SNSで話題になって気になっていたもの。限界集落で5人が殺されたセンセーショナルな事件で、自分には全く関係ない隔絶された世界の話のように感じていたが、加害者が精神を病んでいくまでの過程には納得感があり、他人事とは思えなかった。環境次第で人は精神に異常を来たし、猟奇的な事件を起こし得るという事実、そしてその環境は悪意のない人々の日常が作っていくことがが私は一番怖かった。
Posted by ブクログ
★★★
今月8冊目。
この事件は知らなかった
山口の12人の暮らす村で5人が殺害された。
犯人は村の男。
犯人はいじめられてたとか色々言われているが真相は!?
今までのルポで無い切り口かな、プロぽさの無い文章
Posted by ブクログ
よく取材したなという意味ではすごいと思う。読んで面白かったかというと、今一つ。それは書籍化するために無理して分量を増やしたように見える点があるから。精神科医への取材は面白い切り口だったと思う。ルポタージュに拘らず、なぜ集落でうわさは起きるのかや、郷集落の中が悪いのかなどは、社会学者にヒアリングしてもよかったと思う。
ルポタージュとしてはそもそものつけびとなったもう一つの放火について掘り下げられたらもっと面白かったけど、存命の方のことがあるから書けなかったのかもしれない。
いずれにせよ、精神鑑定による判決の余地の基準が定まっていないことへの筆者の意見はなるほどと思うが、こういうことに今の投票では全く意見を反映させられない気がする…
途中の現地写真が一番迫力があって怖かった。女性1人でよくこんな取材したなと、許した旦那さんもまたすごいと思う。
Posted by ブクログ
刊行されたとき、読む勇気が無かった。
私自身も、この事件は「村八分にされた村人の犯行」と思い込んでいたから。
亡くなった方には悪いけれど
どこか同情を引く事件だと思っていたので
犯人の心情が書かれているだろうと考え
興味本位で読むことを躊躇った。
それは、大きな間違いだったのだけれど。
丁寧に取材を重ね事件の真相に迫る。
村人に対して、いいことも、悪いことも隠すことなく書かれている。
「うわさ」が犯人を追い詰めたとしたら。
あとがき P295
〈土地で実際に囁かれるうわさ話、そして小さな事件は、なにも金峰地区に限って存在するわけではない〉
過疎化が進む村と限らず、どこででも起こりうる事件だと改めて感じた。
Posted by ブクログ
だいぶ前に評判になり興味があった本。
やっと読みました。
賛否は別れるかと思いますが、私は面白かったし良い評価をしたいです。
真実よりもネットでの意見が広がってしまう怖さ、その点で言えば前半だけで事足りる内容だったと思いますが、残る人々のことを考えると必要なことだったのてしょう。
まとまりとしてはもう一手間あっても良かったのではないでしょうか。
Posted by ブクログ
2013年の夏、わずか12人が暮らす山口県の集落で、一夜にして5人の村人が殺害された。
犯人の家に貼られた川柳は〈戦慄の犯行予告〉として世間を騒がせたが……
それらはすべて〈うわさ話〉に過ぎなかった。
気鋭のノンフィクションライターが、ネットとマスコミによって拡散された〈うわさ話〉を一歩ずつ、
ひとつずつ地道に足でつぶし、閉ざされた村をゆく。
〈山口連続殺人放火事件〉の真相解明に挑んだ新世代〈調査ノンフィクション〉に、震えが止まらない!
山口連続殺人放火事件についてのノンフィクション。ノンフィクションだけどエンターテイメント寄り。だから事件の残酷さも非道さも皆無。被告の精神状態が異常なのだということが知れて良かった。
Posted by ブクログ
集落でずっと生きてきて外の世界をほぼ知らない人たち。村八分で最近もニュースになったし、集落で同じような問題がほかにもあると思う。自分達のルールで生きてしまったから時代錯誤にも気付かない。酒が入って口論したとは言え人を刺したことやボヤが多いのはまずい。寄り合いコープの女性も悪気がなさそうだし。取材対象とはいえそういうたちにインタビューしてるから「冥福を祈る」というしめはちょっと自分には受け入れられなかった。郷土史の記述は面白かった。
Posted by ブクログ
まさかコープが人を殺すきっかけになってしまうとは…
妄想性障害の鍵体験について、同病名の入院している知人に面会に行き、最近の事を話すとそこから記憶と結び付けて昔付き合いのあった知人に妄想の入り混じった電話をして迷惑をかけてしまう、という事があった。妄想性障害を患っている人との付き合い方について考えさせられた。
Posted by ブクログ
2013年の夏、わずか12人が暮らす山口県の集落で、一夜にして5人の村人が殺害された。犯人の家に貼られた川柳は〈戦慄の犯行予告〉として世間を騒がせたが・・・それらはすべて〈うわさ話〉に過ぎなかった。気鋭のノンフィクションライターが、ネットとマスコミによって拡散された〈うわさ話〉を一歩ずつ、ひとつずつ地道に足でつぶし、閉ざされた村をゆく。〈山口連続殺人放火事件〉の真相解明に挑んだ新世代〈調査ノンフィクション〉に、震えが止まらない!
ノンフィクション大賞で気になっていたが、ようやく読み終えた。前半はほとんどWEBにあげられていたようです。私この山口の事件について全く記憶がないのだけれどいったい2013年何をしていたんだ・・・。というわけで新鮮な気持ちで読み始めたのだけれど、本当に気持ち悪い村の話だった。東京ではないしそれなりに地域の付き合いもある場所に住んでいると自分では思っていたけれど、田舎ってこんなやばいところなのか。そりゃ一回都会に来たら戻れなくなりそう。結局張り紙したのは誰なんだ?普通に保見被告と同レベルで怖いんだが。
著書とは直接関係ないけれど妄想性障害とか、神経衰弱とか、ほんと医師や裁判官によって判断がころころ変わるのどうにかならないのかなあ。精神疾患なら何をしても許されたらたまったものじゃないし、反省しているかどうかも大事だけどそんな危ない人のために我々の税金を費やして生きていてもらう意味ってあるの?と残酷なことを承知で思ってしまうこの頃です。
Posted by ブクログ
8世帯12人しかいない山間の集落で5人が殺された山口連続殺人放火事件。発生当時、報道やネットでは「田舎特有のイジメや嫌がらせがあり、その復讐だった」とまことしやかに語られていた。
裁判では、そのようなイジメ嫌がらせは無く、加害者は村人からあらぬ噂を立てられているという「妄想」をつのらせた結果の犯行であるとして、死刑が確定した。
筆者の丹念な取材の結果、次のようなことが分かった。
①判決のとおり、イジメや嫌がらせは無かった
②村では当時も今も、あることないことの噂話であふれているのは事実だった
③加害者は強い妄想性障害を持っており、犯行時にはほぼ統合失調症患者と同様な症状にあった。
つまり、報道やネットで言われていたことは①は間違っており②はそのとおり、裁判で言われていたことは①はそのとおりだが②は間違っている、というものである。
本書は基本的にこの①②を解き明かしたことを主点においている。
しかし私は、ルポライターとして③をもっと掘り下げてほしかった。筆者の指摘通り、時折世間を騒がせる突発的な大量殺人を犯した加害者の大半は、犯行前からすでに妄想性障害や統合失調症の様相を見せていたことが分かっている。この事件の加害者も、犯行時どころか村に戻ってきた頃からすでに障害の兆候が現れていた。しかし限界集落ゆえに、ただしく支援や福祉につながることもなく放置されてしまい、また対象となる人間関係がかなり限定されているため、同じ相手に日々敵対的妄想を募らせてしまうことになったのだろう。
ところが同じ障害・病気が最大の原因でありながら、事件ごとの報道のされ方や政治的背景によって、死刑になったり無期懲役になったり、時には無罪となったりと、裁判官の思想と嗜好で好き勝手に判断されてしまっているのだ。
埼玉で起きたペルー人による大量殺人は無期懲役となったのに、この事件は死刑である。どう考えても不合理であろう。死刑という重大な国家権力の行使において、まったく一貫性が無いのである。これはとても恐ろしいことだ。私は死刑と無期懲役のどちらであるべきだ、と言っているわけではない。一貫性が無く裁判官の私情に寄っていることに問題を呈しているのだ。
ほとんどの大量殺人事件の背景に、精神障害や被虐待体験があることは厳然たる事実である。この手の話は差別が絡むのでどうにも正しく報道されないことが多いが、ぜひ、今後も切り込んでほしい。
ルポとしては構成や文章がかなり甘く、蛇足による水増しも多いので、星3つ。