つけびの村

つけびの村

小説・文芸
1,760円 (税込)

8pt

2013年の夏、わずか12人が暮らす山口県の集落で、一夜にして5人の村人が殺害された。
犯人の家に貼られた川柳は〈戦慄の犯行予告〉として世間を騒がせたが……
それらはすべて〈うわさ話〉に過ぎなかった。
気鋭のノンフィクションライターが、ネットとマスコミによって拡散された〈うわさ話〉を一歩ずつ、
ひとつずつ地道に足でつぶし、閉ざされた村をゆく。
〈山口連続殺人放火事件〉の真相解明に挑んだ新世代〈調査ノンフィクション〉に、震えが止まらない!

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つけびの村 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    取材に基づくルポですが、まるで民俗学系のホラー小説のようです。住民のグロテスクな怖さや妄想世界を覗き見る不安感、真偽不明の怪異に信仰話などが入り混じり、読後はぐったりです。書籍内である人物が亡くなったあとの住民の反応には心底冷え冷えしました。

    題材となるのは、住人が10数人の山口県の集落で5人が殺害された事件。犯人は「うわさ話ばっかし、うわさ話ばっかし」という言葉を残して、妄想の世界に閉じこもります。裁判では被害妄想に基づく犯罪だとして、犯人の責任能力の有無などが焦点となりました。

    しかし、著者の取材によって、集落の中ではえげつないほどのうわさ話が蔓延していたことが事実だと判明。互いが互いの見えないところで悪口を言い合う風習が根付いていると明らかになります。犯人は出戻りで集落に溶け込めず、うわさ話の格好の的になっていたようです。
    そうした環境から逃げられなかった犯人が行き場をなくして妄想を広げ、事件を起こしたのかもしれません。

    閉鎖的な集落の怖さという面はもちろんあるのですが、指摘している方もいるように、近年のSNSの普及によって全世界がこうした村社会になってきたと感じる怖さの面もあるように思います。本人たちにその気がなくても、うわさ話で他人を攻撃し、追い詰めてしまうケースは少なくないのではないでしょうか。

    1
    2022年07月13日

    Posted by ブクログ

    途中の古老の話、自分さえよければ相手がどうなったっていい、という考え方がこの村をこんなふうにしてしまった、というところ、その後にこれからの時代は違うと語られていたけれど果たしてそうだろうか。日本、世界が、そんな方向に「貧しく」なってしまっている気がする。
    「東京は田舎者でできている街」だという言葉をなんだか思い出した。スケールが違うだけで、同じことが東京で、世界で起こり続けてるんじゃないだろうか。そう思ってとてもこわくなった。

    0
    2022年06月10日

    Posted by ブクログ

    このルポの怖さは「結局何なのか分からない」事にある。都会暮らしから見ると信じられない程閉ざされた小さなコミュニティにおける噂話が殺人にまで発展する。ネット社会とはまた違う、郷土の怨念みたいなものを感じる不気味な事例。

    0
    2022年04月02日

    購入済み

    一気に読んでしまった

    お正月に帰省先の限界集落で
    一気に読みました。
    おどろおどろしさの漂う事件のことを書きながら、
    淡々と事実を述べていき時々心情を漏らす、
    著者のバランス感覚がとても好きでした。
    サブカル中年のふりをして
    ある場所に取材に行くシーンや、
    取材の中で村人と心を通わせる瞬間など
    全体的に緊迫感がみなぎっているものの
    そのムードに溺れない著者の強さが感じられ
    読んでいるうちに「この人は信頼できる」と
    思えました。


    0
    2020年01月09日

    Posted by ブクログ

    面白いと言ったら語弊あるかもしれないけど、実際頁を捲る手が止まらず1日で読み終えた。著者が割と庶民派感覚というか普通の人っぽいのが良くも悪くも俗っぽくて、読みやすかったのかも。
    同じような犯行でも有名な事件になると心神喪失とか心神耗弱があったとしても責任能力は否定されず死刑になる、かたや比較的話題を集めていない事件だと責任能力がなかったので無罪!となりがちという指摘はなるほどなと思ったし、司法も結局最終的には人間の感情が作用してるんだと。

    結構、文中の小ネタ多め。

    0
    2026年01月12日

    Posted by ブクログ

    事件の真相、いかに ノンフィクションものはあまり読まないのだけれども、のっけから引き込まれた。
    限界集落で起きた事件として、当時からさまざまな憶測もあった。
    私もこの本を読むまでは「村八分にされていた人が起こした事件」としか捉えていなかった。

    噂は怖い。
    裏も取らず、信ぴょう性もないくせに独り歩きを始める。
    実際にそこに足を運び、話を聞いたとしてもその話がその人の思い込みの場合もある。

    そして、これは本懐ではないかもしれないけれども、金峰神社に関する話はとても興味深かった。

    0
    2025年12月18日

    Posted by ブクログ

    初めてノンフィクション作品
    大変な事件のノンフィクションなので読む前はちょっと怖いしマイナスな感じは嫌だと躊躇したけど 以前周南市に住んでいた事もあり気になって読んでみた。思ってたような暗さは全くなくてどんどん引き込まれてしまった。読んでる間
    「これは実際の話」と何回も頭で確認してしまった。小さな事が生々しく感じる。
    刑法39条、、、大変な事件を起こす人は それだけですでに精神疾患があるような気もする。
    どんな背景があったとしても。
    話題性で判決が変わっている点など ちょっと
    びっくりした。
    田舎の話だけども どこでも起こり得る人間の
    心の奥深いとこを感じた本だった。
    またノンフィクション読んでみよう

    0
    2024年06月03日

    Posted by ブクログ

    面白い。しっかり調べてあるが、真相はワタルだけが知っているのかも。

    噂については、気にしたことないがよく分かる。自分が加害者になっていないか点検しよう。

    0
    2023年08月19日

    Posted by ブクログ

    ネタバレになるので詳細は伏せるが、事件の真相としてある村人から語られる内容は一見肩透かしのようでいてやはり本書のテーマである「噂」とどこか繋がっているように思う。この事件の舞台のような閉鎖的な限界集落では他人の目を意識せずに暮らすことが不可能に近い。数少ない他人に対する思いや評価が溢れてそれがやがてあることないことを誰もが互いに噂しあうことに転じ、それを半ば不快に感じながらも、人々はそこから切り離されて生きることもまたできない。
    孤独は人を病ませるというが、このような環境ではより濃厚にそんな病理が現れるのかもしれない。

    0
    2023年05月20日

    Posted by ブクログ

    2013年7月、山口県周南市の金峰(みたけ)地区の郷集落で起こった5人の殺害と放火事件。犯人の家の窓には「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」の貼り紙。でもこれは当時マスコミやネットで騒がれたような犯行予告ではなかった──。

    何度も現地に足を運んで住民たちから聞き込みをし、ときに警戒されたり嫌がられたりしつつもめげずに訪問を重ねるなかで、やがて報道と裁判が到達したのとは別の真相が明らかになっていく。閉ざされた狭い集落において、人間関係の良否はまさに死活問題。犯人の直筆の手紙の異様にくねくねとした筆跡がすごかった。

    【目次】

    1:発生
    2:夜這い
    3:郷
    4:ワタル
    5:その父、保見友一
    6:疑惑は静かに潜む
    7:コープの寄り合い
    8:保見家
    9:うわさ
    10:ワタルの現在
    11:くねくね
    12:書籍化の経緯
    13:古老の巻
    14:ふたたび郷へ
    15:ことの真相
    16:山の神様
    17:春祭り
    18:判決

    【ノーツ】

    ・それぞれの集落に固有の性質がある → ひとくちに村八分といっても、その村の個性により内容も異なるはず(45-46頁)
    [1938 津山三十人殺し]都井睦雄に対する悪口
    [2004 加古川7人殺害事件]藤城康孝に対する陰口や無視
    [2013 山口連続殺人放火事件]では保見光成に対しては?

    ・刑法39条の問題点

    0
    2023年04月20日

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