『夏目アラタの結婚』とは？ 元ヤン男が連続殺人犯と獄中結婚！？【ネタバレ注意】
複数人の男性を殺してバラバラにした、有名女殺人鬼“品川ピエロ”こと品川真珠。死刑囚として収監されている彼女と、ひょんなことから獄中結婚することになった児童相談所職員の夏目アラタ、彼の運命やいかに――そんなセンセーショナルな設定で、SNSを中心に話題沸騰中の本作。広告を目にしたことがある人も多いのでは？
「次にくるマンガ大賞」で「U-NEXT特別賞」に輝くなど、ファン的には「もしやメディア化も…？」なんていう期待も高まりつつあります。
作者は、『医龍』（小学館）や『幽麗塔』（小学館）といったヒット作を生み出してきた乃木坂太郎先生ですから、設定のユニークさに加えて、緻密に張り巡らされた伏線や、人間の裏の裏までを暴き出すような奇想天外な展開が楽しめること間違いなし！ 乃木坂太郎ファンの書店員が本作の魅力を語り尽くします。
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※当記事に記載の内容は全て「ぶくまる編集部調べ」です。また、当記事にはネタバレを含みます。
目次
『夏目アラタの結婚』作品紹介
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『夏目アラタの結婚』 1～3巻 乃木坂太郎 / 小学館
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『夏目アラタの結婚』あらすじ
自身が問題家庭に育ち、現在は児童相談所職員として子供の虐待やネグレクトといった問題と闘う“児相の狂犬”夏目アラタ。
児相の先輩の担当家庭の息子、卓斗がアラタの名を騙って連続殺人犯・品川真珠と文通をしていたことから、アラタが彼女と面会する羽目に。
面会の目的は、真珠に殺された被害者で、まだ見つかっていない卓斗の父親の頭部の隠し場所を聞き出すこと。
しかし、アラタが文通相手とは別人と勘付いて早々に面会を切り上げようとする真珠の気を引くため、アラタは
「俺と、結婚しよーぜ!!」
と申し出ます。狙い通り、真珠の興味を引くことに成功したアラタですが、
「（本当に結婚するなら拘置所から）出るね」
と真珠が不穏な宣言。
スリルと緊張、そして、ほんの少しのロマンスに彩られた物語が始まります。
登場人物全員曲者。『夏目アラタの結婚』のキャラクター【相関図あり】
元ヤンの武闘派児相職員に連続殺人犯、自分の父親を殺した殺人犯との文通を楽しむ少年など、見渡す限りクセ！ クセ!! クセ!!! な本作登場人物たち。イカれたメンバーたちを紹介します！
夏目アラタ（なつめ・あらた）
児童相談所に勤める国家公務員。15年前は自身が児相一の問題児と言われており、現上司である所長とは荒れていた中学生の頃からの付き合い。
卓斗の計画に巻き込まれて真珠と面会をしたとき、真珠の気を引くためにプロポーズをしてしまうような、度胸と勢いで生きている男。子どもを虐待する親には容赦なく暴力を振るうことも。児相の仕事に未練もないことから、自身を「鉄砲玉」と表現する。
派手で男遊びが激しかった母親や知り合いの夫婦への嫌悪感から、結婚や子どもを持つことを激しく拒絶している。真珠との結婚も一緒に暮らすことのない、書類上だけのものと割り切っているが……？
真珠に劣らず頭の回転が速く、彼女とほぼ対等に心理戦を繰り広げる。
品川真珠（しながわ・しんじゅ）
ピエロの扮装をして死体をバッグに詰めているところを逮捕された、連続バラバラ殺人事件の犯人。一審で死刑判決を受けて東京拘置所服役中に夏目アラタと出会い、獄中結婚を申し込まれる。
逮捕時は太った体にピエロメイクがトレードマークだったが、今では痩せて高校生と見紛う姿に。隙間の目立つガチャ歯がチャームポイント（？）。
アラタの前では不気味で小憎たらしい態度を取ることが多いが、宮前にはしおらしい姿を見せるなど、人によって態度を変えて巧みに印象を操っている。アラタ曰く「ハンパなく地頭がいい奴」。しかし、小中学校時代は落ちこぼれでいじめられていたという奇妙な乖離が。
人の神経を逆なでする顔芸の数々。慣れればかわいい……かも？
宮前光一（みやまえ・こういち）
真珠の担当弁護士。幼い頃に一度会ったことがある真珠に庇護心を抱いており、刑務所内から出られない真珠の代わりにアラタの家を訪ねたり、アラタが獄中結婚に対していいかげんな発言をすると激昂したりと、仕事の粋を超えた思い入れを見せる。
自分の前で弱々しい姿を見せる真珠に同情的で、彼女の無実を心から信じて助けようとしている、頭は良いはずなのに騙されやすい人物。純愛が高じてストーカーになりやすそうなタイプにも見える。
人生最大の悪事は自分のボロのビニール傘を他人の新しいものとすり替えたこと。
桃ちゃん（もも）
本名・桃山香（ももやま・かおり）。アラタの先輩で、「うすポッチャリ」した家庭的な雰囲気の三十路女性。アラタのタイプ。
真珠に深入りしていくアラタが心配だけど、誰かを救おうとする姿を応援したい、だけど真珠に深入りするのを止めたい……という複雑な立場にいる。
真珠から手紙をもらい、アラタに内緒で面会したのをきっかけに文通を始めてからは、彼女に何やら親近感を抱いている様子。
結婚したい男性のタイプは自分のために物語を書いてくれる人。好きな食べ物は担々麺。小学生の時のあだ名は「ロボコン」。
周防紗菜（すおう・さな）
被害者の一人、周防英介の妹。アラタが真珠と婚約しているのを知っていて、アラタの作戦に協力している。殺された兄とアラタが似ていることを指摘し、アラタに好意的な態度を示す。
あざと積極的なタイプ。
山下卓斗（やました・たくと）
品川ピエロに父親を殺害された被害者家族。まだ見つかっていない遺体の一部の在り処を聞き出そうと、アラタのフリをして真珠と文通を始めて一連の騒動を引き起こした張本人。
有名な殺人犯である真珠とやり取りを続けるうちに、文通を面白がり始めていたことをアラタに見抜かれる。
美少年だけど、字は汚い。
エンタメのすべてが詰まっている!? 『夏目アラタの結婚』の見どころ
サイコホラー、サスペンス、ミステリー、ラブロマンスと、様々なエンタメ要素が濃密に詰まった本作。その中から、特に注目すべき３つの見どころをご紹介します！
①猟奇的な殺人……でも真珠は無実？ 謎解きの魅力
この物語の序章となるのが、真珠が引き起こしたとされている連続バラバラ殺人事件。その事件の猟奇性と、醜く太ってピエロの扮装をした真珠の姿がお茶の間の話題をさらい、真珠は一躍有名人に。
第一審では黙秘を貫いて死刑判決を受けた真珠ですが、アラタと出会ってからは一転して「実は誰も殺していない」と無罪を主張。
どう考えても苦し紛れでしかない真珠の無罪主張ですが、「本当の犯人は自分のストーカー」という真珠の発言と、現場に残されていた4人目の男の血痕、そして犯行現場のアパートで「俺の真珠を出せ！」とわめいて被害者ともめる男を見たという目撃証言によって、全くの嘘ではない可能性が出てきました。
真珠の手足となって奔走する宮前弁護士が事件の真相にたどり着くのか、それとも彼は真珠に利用されているだけなのか――謎が謎を呼ぶ展開に惹き付けられてしまいます。
また、そんなサスペンスフルな物語の背骨となっている、リアリティあふれるシーン描写も魅力のひとつ。囚人との面会は早いもの勝ち、裁判を傍聴するのは抽選制といったルールは本作で知りました。
これだけリアルな面会・傍聴事情が描けているのは、『つけびの村』（晶文社）で一躍有名になったフリーライターの高橋ユキさんの協力があったから。傍聴ライターとして活動していた高橋さんだからこそ分かる現場感が、物語に厚みと生々しさを与えています。
②変幻自在すぎる！「品川真珠」という女
本作で読者が最も惹き付けられるのは、「品川真珠」という女の得体の知れなさではないでしょうか？ 真珠は幼少期から今に至るまで、ざっくり3つの形態を持っていまして……。
第一形態は、太ってザンバラ髪の幼少期。今の真珠からは想像できない姿です。この時から現在までで、真珠のIQはおよそ30も上がっているそう。本当に、この少女と真珠は同一人物なのでしょうか……。
第二形態が逮捕当時の太ったピエロ姿。どうしてこんなに太っていたのか、また、なぜピエロの扮装をしていたのか――もう謎しかありません！ 乃木坂先生、真相はよ！ と詰め寄りたくなってしまいます。
第三形態こと現在の真珠は、一見おとなしくしてれば「守ってやりたい」と思わせる華奢な容貌。太っていたときとはまるで別人です。
さらに、変幻自在なのは外見だけではありません。アラタの前で見せるはすっぱな態度と、宮前弁護士の前で見せるかよわい姿、そして桃ちゃんには「年下の女の子」として懐くなど、様々な顔を使い分けています。
ただでさえ、乃木坂先生作品のヒロインは曲者揃いなだけに、彼女の本心は一体どこにあるのかが気になります。
③ロマンスとしての妖しい魅力
サスペンスミステリーとしての印象が強い本作ですが、実はちゃんとラブロマンスもしてるんです。
真珠との関係はあくまで卓斗の父親の頭部を探すため……と思いきや、被虐待児としての過去を持つ真珠への同情に似た感情がアラタの中に芽生え始めます。真珠が殺人鬼と知りながらも、その一部を受け入れつつあるアラタの度量の大きさが伺えます。
2人の関係は駆け引きだけで成り立っているかのように見えますが、ふとした瞬間にリアルな感情が交差することが。そんなシーンが、「アラタは真珠に想いをよせつつあるの!?」「真珠は本気でアラタを愛し始めているの!?」と読者をやきもきさせるのです！
さらには、アラタの児相の先輩で現実主義者な桃ちゃんすらも真珠に取り込まれていき、事態は妖しさを増していきます。この真珠の狡猾さは、巧みに張り巡らされた罠か、切実なSOSか、一体どちらなのでしょう。
実は被害者男性たちとアラタが似ているのでは？ という疑惑が浮上してきてからは、物語の不気味さが加速。2人の間に芽生えかけている絆は、恋人同士のそれなのか、被害者と加害者のそれなのか――ヒリヒリするようなロマンスから目が離せません！
『夏目アラタの結婚』の感想【ネタバレあり】
『夏目アラタの結婚』1巻の感想
肌が粟立つような心理戦
極めてリアリティがあり、また先が読めずゾクゾクする心理戦。
私は本作の魅力はそこだと思う。真意も正体もわからない知能犯のヒロインと主人公のスレスレの駆け引きは、息をつく間も無いほどの緊張感に満ちている。
なにより、ヒロインのデザインが素晴らしいです。
可憐な点もありながら、歯並びや表情、そして知略から絶妙に恐怖心を煽ってくる。主人公もやり返されるばかりでなく、「そう来るか！」と言いたくなるような、人間心理に沿った見事な切り返しを見せてくれる。
そこには薄っぺらさがなく、非常に重厚なやり取りが繰り広げられている。サイコスリラーや、デスノートのような心理戦が好きな方には是非ともおススメしたいです。
かっこいい
児童相談所、こんなかっこいいところなんですか？？
ストーリーもドキドキする展開でおもしろいです！
広告でよく見かけて…
色々なサイトの広告に出てくるので試し読みをしたら展開が気になってそのまま購入してしまいました。
今後どうなるのか気になるので新刊が待ち遠しいです。
面白いだけじゃない
サイコパスな登場人物が出てくる作品はホラー的な感じでゾクゾクわくわくするものですが、主人公が児童相談所の職員という点から、それだけじゃないのがこの作品の魅力かなと思います。
細かい点まで丁寧に描かれており惹きこまれます。続きが楽しみです。
『夏目アラタの結婚』最新3巻の感想
これはマジで面白い
すごい続きが気になる。。。
絵も綺麗だが話の展開もうまい。
想像する流れでないのが良い意味期待を裏切ってる。
怖い((( ；ﾟДﾟ)))
どんどん謎が増える。速く続きが読みたい。
本屋さんで1話の核心どころが張り出してあって、「絶対好きなやつやな」と勘が働いたので購入、最新巻まで読みました。
おもしろいー！サスペンスでミステリーでホラーでラブコメですね。そんなんあるか？
ガチャ歯の女性殺人鬼っていうキャラクターがすでにいい。
もう作品がありすきて、新味のあるキャラクターなんて生み出せない気がするけど、まだまだそんなことないですね。
チョロチョロと実在の作家とか、実際に起こった事件が出てくるのも、楽しい。
続きを早く読みたい〜。
posted.by ブクログ
漫画で上質なスリルを楽しみたい、全人類に捧ぐ！
謎が謎呼ぶ系のサスペンス漫画って、完結してから一気読みしたいという意見が多いと思うのですが、あえてリアタイ（新刊）で追っかけて、ヤキモキするという楽しみを、本作では味わってほしいと思うのです。
登場人物たちのクセがすごすぎるだけに、絶対に「裏切られたーーーー」「あれが伏線だったとは!!!!」「あのキャラがこんなことになるなんて……！」などなど、ありとあらゆる衝撃が読者を待ち受けているはず。それを十二分に味わうためにも、既刊を何度も再読し、来るであろう裏切りを考察しつつ、万全の備えでラストを迎えたいのです。
追いつくなら巻数がまだ少ない今しかありません！ 伝説の目撃者となるため、まずは1巻を手に取ってみてください!!
