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『王様達のヴァイキング』魂がふるえるほどアツいIT業界漫画【完結済】

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『王様達のヴァイキング』魂がふるえるほどアツいIT業界漫画【完結済】

高校を中退し、家族もいない天涯孤独。しかし、ハッキングの腕は超一流の少年が、大金持ちの投資家と出会い、ITの世界を舞台にした大冒険へ。さまざまな出会いを通した少年の成長にワクワクし、次々と起こるサイバー犯罪にハラハラする新時代のエンターテイメント大作、それが『王様達のヴァイキング』です。
登場人物はアツいハートを持ったキャラクターばかり。ストーリーは巻を追うごとに壮大になり、最後は世界規模の展開に。読み始めたら止まらない本作の基本情報や魅力、読者の感想を、力をこめて紹介します!

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※当記事に記載の内容は全て「ぶくまる編集部調べ」です。また、当記事には一部ネタバレを含みます

『王様達のヴァイキング』の基本情報

『王様達のヴァイキング』の基本情報

『王様達のヴァイキング』は、ビッグコミックスピリッツ(小学館)に、2013年から2019年まで足かけ6年連載され完結。全19巻で単行本化されている作品です。

作者のさだやす先生は、『アフタヌーン四季賞2006』冬のコンテストで四季賞受賞。『第66回小学館新人コミック大賞青年部門』で入選となり、本作が連載デビュー。『なんと孫六』や『ああ播磨灘』で知られるベテラン漫画家・さだやす圭先生は実父にあたります。

また、本作にはストーリー協力として、アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』の脚本などで知られる小説家・脚本家の深見真先生が参加。さらに、現役エンジニアのはやとさん、mayahさんが技術協力し、IT業界のあれこれがリアリティを持って描写されていきます。

『王様達のヴァイキング』のあらすじ

『王様達のヴァイキング』のあらすじ

主人公・是枝一希は母親が失踪し、保護者であった義父も死んでしまったことにより、天涯孤独となった18歳の少年。しかし、子供の頃に与えられたノートパソコンでITに親しみ、天才的なハッキングの腕前を持っていました。

そんな是枝を見出したのが、IT業界で成功を収めた坂井大輔(40歳)。起業したばかりのベンチャーを中心に投資する「エンジェル投資家」である坂井は、生きる目的を持たず、日々の鬱憤をクラッキング(コンピュータによる不正な侵入・破壊行為)で晴らしていた是枝をスカウトします。

「俺は世界征服がしたい、お前の手を使って」

是枝は、自分が本当は何を望んで生きているのか葛藤しながら、坂井の持ち込んできた仕事で人々を助けるうちに、心が前向きになっていきます。また、仕事の中で大切な仲間との出会いを果たしていくことに。

「僕が生きてもいい理由──これが、僕の仕事……」

IT業界を舞台にした、二人の冒険がここにスタート。そしてやがて警察の捜査や国家の中枢にも関わるようになり、坂井の言葉通り、世界を変える活躍をしていくことになるのです。

『王様達のヴァイキング』の登場人物

是枝 一希(これえだ かずき)

『王様達のヴァイキング』是枝 一希(これえだ かずき)

本作の主人公です。子供の頃に母親が蒸発し、母親の同居人であった義父に愛されることなく育てられるという複雑な家庭環境を持つ少年で、義父が死んでしまったことで天涯孤独に。社会にうまく適応できず、高校中退後はコンビニでバイトして暮らしていましたが、何度もクビになってしまいます。そんな日々の中で、是枝は坂井と出会います。

物語スタート時(2013年)に18歳という設定。子供の頃に義父から与えられた2005年製の古い IBM ThinkPad X41が愛機で、片時たりとも手放しません。三白眼と猫背が特徴で、極端な口下手。そんな彼が少しずつ他人とコミュニケーションを取れるようになっていく姿は、とても清々しいです。

坂井 大輔(さかい だいすけ)

『王様達のヴァイキング』坂井 大輔(さかい だいすけ)

もう一人の主人公というべきキャラクター。物語スタート時には40歳で、すでに巨万の富を得ています。職業は、豊富な資金を活かして、起業したばかりの個人や会社を専門に投資する「エンジェル投資家」。渋谷の街中に住居兼事務所であるビルを所有し、投資先の会社「ヘッジホッグ」の若者達と同居しています。

しかし、坂井は順風満帆な人生を送ってきたわけではありません。20代で起業した頃は、借金取りに追われるといった苦節を経験。坂井が成功を掴むまでの物語は第3巻で描かれていて、若かりし頃の坂井にもまた、力を貸してくれた大人がいたことがわかります。

laughingcat(らふぃんきゃっと/わらいねこ)

『王様達のヴァイキング』laughingcat(わらいねこ)

シリコンバレーに住む日本人クラッカー。何者かの依頼を受け、「シュレディンガー」というウィルスを作り、何社もの日本企業をクラッキングしていたときに、それに対抗した是枝の存在に気づき、彼の天才的な腕前に興味をもつようになります。是枝にとっては、彼が書くコードは吐くほどに気持ち悪いとのこと。後の展開で、彼の出自が明らかになっていきます。

Valkyrja(ゔぁるきゅりあ)

『王様達のヴァイキング』Valkyrja(ゔぁるきゅりあ)

反社会組織の依頼を受け、サイバー犯罪をおこなうプロのクラッカー。ワインバーのソムリエを仮の姿としていて、店で坂井に口説かれるシーンもあります。そして、彼女もまた是枝に苦杯を飲まされることに。laughingcatとは旧知の仲で、とある理由で国外逃亡したときは、シリコンバレーのlaughingcatの家に転がり込みます。是枝は、「綺麗で隙がない」彼女のコードに一目惚れします。ご覧の通りの女王様気質。ドSなセリフが頻発します。

神崎 翔太(かんざき しょうた)

『王様達のヴァイキング』神崎 翔太(かんざき しょうた)

警視庁刑事部捜査二課の刑事。二課とは詐欺や横領、汚職といった知能犯を扱う部署で、是枝に対して、日本企業を相手にした無差別サイバー脅迫事件の事情聴取をおこないます。そのときに是枝の能力を認めて、以後、数々のサイバー犯罪捜査の協力をもちかけることに。

是枝に対して

「キミみたいな異常者が、警察には必要なんだ」

と言い放つ、組織の論理に流されない正義漢。是枝にとっては、坂井とはタイプの違うもう一人の相棒になっていきます。

「俺は吠え続けるよ警察(ここ)で」

というセリフもあり、好感を持たずにはいられないキャラクターです。

藤井寺 絵美(ふじいでら えみ)

『王様達のヴァイキング』藤井寺 絵美(ふじいでら えみ)

捜査二課の新米刑事。神崎とコンビを組んだことで、是枝とも知り合い、ともに捜査を繰り広げます。警視庁のレスリング部に所属しているという肉体派で、犯人逮捕のときは率先して飛び出すことも。

加藤 剛(かとう つよし)

『王様達のヴァイキング』加藤 剛(かとう つよし)

是枝が小学生時代に知り合い、「ゴリラ君」の愛称で呼んで親しくするようになった青年。物語スタート時は26歳で、電機メーカーの営業職、つまり普通のサラリーマンです。是枝の人生を変えてくれた坂井をリスペクトしていて、坂井の思いやりのあるセリフを聞くと、いつもボロ泣き。絵に描いたような「いい人」です。

256(にごろ)

『王様達のヴァイキング』256(にごろ)

是枝の飼い犬であり、孤独だった是枝のそばにずっと居続けている存在です。バーニーズマウンテンドッグという犬種で、物語スタート時に9歳。2のべき乗である「256」は、プログラマーの好きな数字らしいです。

ヘッジホッグの面々

『王様達のヴァイキング』ヘッジホッグの面々

SNS関連のサービスを主な業務にしている、社員数4人のベンチャー企業。坂井からの出資を受け、同じビルの地下を事務所にして、坂井と同居しています。あまり仕事の描写はありませんが、かなり優秀なベンチャーであるようです。物語後半では、とある事件で是枝とともに大活躍します。

コマ左から、穏やかな物腰の南雲 亮(なぐも りょう)、是枝を挟んで、口うるさいけれど是枝のことが大好きな西ミノル、マジメで頼りになる社長の唐沢 周平(からさわ しゅうへい)、関西弁で明るい性格の渡部 裕助(ゆうすけ)というメンバー構成です。

株式会社ゲームビット 玉山(たまやま)

『王様達のヴァイキング』株式会社ゲームビット 玉山(たまやま)

スマホアプリが勢力を増してきた中、あくまでゲーム専用機にこだわり、ダウンロード式ゲームソフトを制作している、社員数14人の会社の社長。言葉使いが悪くなればなるほど本領を発揮するという熱血社長で、会社のサーバが何者かに攻撃を受けていたところを、是枝に救われます。是枝にとっての最初の顧客となった人物です。

衣笠 真琴(きぬがさ まこと)

『王様達のヴァイキング』衣笠 真琴(きぬがさ まこと)

捜査二課の新任管理官。神崎と組んでの仕事を評価し、是枝を捜査二課専属の調査員に勧誘します。これによって、是枝はさらに警察との関わりを深めることになっていきます。女性では異例だというキャリア警官で、父親はかなり上まで登りつめた警察OB。警察内でいまだ影響力を持つ父親とは、確執があるようです。

丹羽 久嗣(にわ ひさつぐ)

『王様達のヴァイキング』丹羽 久嗣(にわ ひさつぐ)

警視庁サイバー犯罪対策課所属の刑事。神崎とは警察学校で同期であり、ライバル視しています。是枝のことを「危険分子」だと判断し、警戒心を強めることに。

蘇芳 正哉(すおう まさちか)

『王様達のヴァイキング』蘇芳 正哉(すおう まさちか)

初登場時は、経済産業大臣。サイバー方面に明るく、次期総理候補といわれる人物です。初対面の坂井に「私は……”王様”になりたいんだよ」という大言壮語を披露するなど、野心的な政治家で、後半の物語のキーパーソンとなっていきます。彼に深く関わることで、是枝や坂井は国家規模の仕事に着手することになるのです。

『王様達のヴァイキング』の魅力

ポイント01. ちょっと珍しい物語の舞台

『王様達のヴァイキング』ポイント01. ちょっと珍しい物語の舞台

コンピューターを操るエンジニアの中でも並外れた才能を持つ「ハッカー」を主人公にした、いわゆる業界漫画である本作。IT業界の実情から、投資や起業といった現代的な題材を扱い、これから社会に出る学生にとっても、現役の社会人にとっても興味深い内容になっています。

基本情報で紹介した通り、現役のエンジニアの技術協力により、IT企業の仕事のやり方や社内での食事の習慣などがリアルに描かれ、IT業界で働く読者にとっては「あるある」ネタの宝庫に。また、各キャラクターが使うコンピュータ言語まで、個性に合わせて設定されているという凝りようがすごいです。各巻の巻末には、本編の詳しい補足が。

『王様達のヴァイキング』各巻の巻末には、本編の詳しい補足が

是枝が最初に着手したのは、「クラッキング会社」。クラッキングされた企業を救う仕事でした。これが発端になって、是枝はさまざまなサイバー犯罪のノウハウを蓄積し、それに対抗することを自らの仕事にしていくことになります。

『王様達のヴァイキング』クラッキング会社

ポイント02. 主人公・是枝の成長物語

『王様達のヴァイキング』ポイント02. 主人公・是枝の成長物語

坂井と出会ったばかりのころは、他人とまともにコミュニケーションできず、ハッカーとしてのモラル意識も完全に欠如していた是枝。つまり社会性は皆無で、ハッキングの腕前だけが超一流という状態でした。しかし、仕事とは結局は、人対人。坂井や周囲の人たちと関わることで、是枝が人間的に成長していくのも、本作の見どころです。

是枝の成長に欠かせないのは、人材育成を仕事とするエンジェル投資家の坂井です。是枝の技能を、常識で縛られないよう気を配りつつ、暴走したときは手綱を締めるその手腕は見事。こんな上司がいたらいいなと、思わずにはいられません。

『王様達のヴァイキング』こんな上司がいたらいいな

捜査二課と関わるようになると、是枝の成長は急加速。こんなふうに、自分の思いを語れるようになります。是枝のセリフを聞く坂井の嬉しそうな表情が印象的。

『王様達のヴァイキング』是枝の成長を見守る坂井

一方で、どこまで成長してもクラッカー(犯罪者)だったころの危うさを持ち続けているのが、是枝。普段はおとなしい彼ですが、ダークヒーローの一面があり、そこも魅力です。

『王様達のヴァイキング』ダークヒーロー是枝

ポイント03.信頼できる仲間との出会い

『王様達のヴァイキング』ポイント03.信頼できる仲間との出会い

坂井と出会ったことで、是枝の世界は一気に広がることに。信頼できる仲間が次々に現れ、彼らとともに苦難を乗り越えるたびに、是枝は成長していきます。そして、周囲の人間にとっての是枝は、ハッキングの才能で自分たちを助けてくれる頼もしい存在。坂井の次に是枝が出会うことになったのが、ヘッジホッグの陽気な面々で、是枝が坂井のビルに居候を始めてからは、いい同居人となっていきます。

神崎刑事も、是枝の大切な仲間の一人です。しかも、常に事件の最前線にいるので、是枝も神崎と行動をともにするときは、いつも以上に精悍な顔つきに。二人のかっこいいやり取りは、めちゃくちゃ燃えます!

『王様達のヴァイキング』神崎刑事も、是枝の大切な仲間

本作を「仲間」というポイントから語るとき、指標になるのがこの坂井の印象的なセリフ。仲間と認めたからには、ずっと同じ船に乗り続ける。登場人物たちをつなぐ、その絆の固さに感動します。

『王様達のヴァイキング』登場人物たちをつなぐ、その絆

さらに、クライマックスでは、宿敵のlaughingcat、Valkyrjaとも力を合わせて強大な敵に立ち向かうことに。坂井のもとに、是枝も含めたスーパーハッカー3人が揃う展開は鳥肌モノです!

『王様達のヴァイキング』宿敵のlaughingcat、Valkyrjaとも力を合わせて強大な敵に立ち向かう

ポイント04. 壮大なスケールのサスペンス&アクション

『王様達のヴァイキング』ポイント04. 壮大なスケールのサスペンス&アクション

ハッカーとしての手腕をビジネスに活かそうと試行錯誤する是枝は、その中で数々のサイバー犯罪と対峙することに。 悪意ある一般人のシステム攻撃から、暴力団や半グレといった反社会組織、海外から来たテロリストと、戦う相手は巻を追うごとにスケールアップしていきます。カーチェイスあり、銃撃戦ありのド派手な展開はハリウッド映画顔負け。そして、最後の敵となるのは……、これは読んでのお楽しみに。

神崎を初めとした刑事達も、犯人逮捕に大活躍。刑事ドラマとしての見どころまであるのが、本作です。

刑事ドラマとしての見どころまである

サスペンスフルな展開の基軸となっているのが、是枝が坂井に提言した、一つの計画です。サイバー犯罪の最前線で経験を積み、ゆくゆくは世界を変えるようなシステムを構築する、名づけて「是枝武器庫計画」。第4巻で語られたそれは、クライマックスで完成形を見ることになります。本作は、坂井の言葉通り、天才少年ハッカーが「世界征服」をしてしまう物語なのです。

『王様達のヴァイキング』世界征服

『王様達のヴァイキング』の感想

途中で止められず、夜中までかかって最新刊まで読んでしまいました。読みながら手に汗握り、ページを繰る手が止まらなかった!
自分に自信がなく、ビクビクしていた主人公が自分の進む道を見つけ成長していく。そしてそれを支え導く存在との絆がとてもいいです。
ストーリーの疾走感、見せ場の絵の迫力、敵キャラの個性などもろもろ要素がかなり私の好きな感じ。
心躍る!ワクワクする良作でした。
posted.by ブクログ

おもしれぇ! パソコン以外に何もない最高のハッカー高校生が新進の投資家に見初められて、いろんな壁にぶち当たっていく物語。とにかくストーリーのテンションがすごくいい。キャラも熱い!
これは久々にヒットした王道漫画かもしれない!
posted.by ブクログ

スピリッツリアルタイムで1話読んだときに持って行かれた。

熱い!かっこいい!
自分の仕事観、分野は違えど坂井さんがいつでも指標!
自分も是枝君みたいに自由自在にプログラム組んでみたい。
posted.by ブクログ

この漫画めちゃめちゃ面白い!!

エンジェルとか今本当に旬の話題だし、サイバー犯罪も今後もっともっと増えるからね。
posted.by ブクログ

おわりに

『王様達のヴァイキング』、いかがだったでしょうか? 物語はどんどん壮大になっていきますが、その中心にあるのは、孤独をかかえていた18歳の少年が、いかに世界に自分の居場所を見出していくかという成長の物語です。是枝の葛藤には共感できますし、坂井を筆頭に彼をバックアップしていく大人達もかっこいい。読めば必ず前向きな気持ちになれる作品です。

完結『王様達のヴァイキング』 全19巻 さだやす・深見真/小学館
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