あらすじ
失恋で心に深い傷を負った「わたし」。夏休みの間だけ大学の友人から部屋を借りて一人暮らしをはじめるが、心の穴は埋められない。そんなときに再会した高校時代の友達キクちゃんと、彼女の父、兄弟と触れ合いながら、わたしの心は次第に癒やされていく。恋に悩み迷う少女時代の終わりを瑞々しい感性で描く。
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Posted by ブクログ
島本理生さんが大学在学中に執筆された作品。
当時の島本さんと等身大の主人公の「わたし」に、読んでいる私もあの頃の自分と重ねてしまった。
高校3年から大学1年にわたる、真っ直ぐすぎる想い。
気持ちを巧くコントロールできず空回りしてしまう「わたし」は、暗くて深い森の中をさ迷い続け抜け出すこともできず途方に暮れてしまう。
苦しいくせに平気なふりをして、自分から助けを求めることさえできず、もがき続ける。
「昨日よりは今日、今日よりは明日、日々、野田ちゃんは成長して生きてる」
こんな風に言ってくれる友達がいる限り大丈夫。
いずれ森を抜け出せると確信した。
報われない恋心は、時に少女に新たな絆をもたらす。
とても颯爽とした気持ちになれる物語だった。
Posted by ブクログ
共テの予想問題集にあり、
〝わたしはあの人に幸せになってもらいたかったんです。眠る前に新しい朝が来ることを楽しみに思うような、そんなふうになってもらいたかった。〟
〝幸せにしたいと思うことは、おそらく相手にとっても救いになる。けど、幸せにできるはずだと確信するのは、僕は傲慢だと思う〟
という文に惹かれて全部読みたいと思い、手に取りました。
私は未だ身を焦がすほどの恋をしたことが無いのですが、主人公が深い森の中で途方に暮れている様子が少し痛々しく見えました。雪生が言うように、私はとても〝危うい〟のだと思います。ただ、〝危うい〟のは雪生やサイトウも同じで、〝危うい〟人同士が惹かれ合っているのを見ると、これが一番の結末だったのだと感じます。主人公にキクちゃんという友達がいて本当に良かった!最後に主人公が森から抜け出せたのはキクちゃんの影響も大きいと思います。
Posted by ブクログ
『幸せにしたい思うことは、おそらく相手にとっても救いになる。けど、幸せにできるはずだと確信するのは、僕は傲慢だと思う』失恋した主人公にあてた言葉にグサッと来るものがあった。愛でもない、恋でもない、不毛な枷がある。そんな感情にちょっとだけ気付かされたような気がした。キクちゃんや雪生さんのような存在が欲しいと願ってしまった一冊。