あらすじ
「あなたの胸の中にあるものでも、晒すと人の心を打てますか?」2007年、一人の少女と、一人のニートが旅立とうとしていた。“物語”は、果たして人を救えるのか?2007年、夏。中学一年の嶋田チカは、幼馴染の藤岡キョウヤから、長らく入院していた妹のハルナが帰ってきたので会ってほしいと頼まれる。ハルナは痩せ細り、とても健康そうには見えない。彼女の懇願を受け、チカは前年母が書いた「タカシの冒険」の内容を語って聞かせる。大喜びのハルナに続きが聞きたいとせがまれ困惑するチカに、キョウヤはそっと告げる。「ハルナは、もうすぐ死ぬ」。同じ頃、引きこもりでニートの作家志望の青年・西藤リクは、世界と自分を憎み、絶望して、二ヵ月後に自殺することを決意していた。“物語”に迷い込む中学生とヒキニート。暴かれる、一人の騎士の真実。ネットを介して命と想いが繋がる時、異世界の扉が再び開く。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
2006が設定落ちで残念だったから期待していなかったのに、本当にこっち良かった!本質を突いてくる感じ。
2006の方にも書いたけれど、ク・リトル・リトルや夢幻廻廊の伊藤ヒロ先生のファンなのでちょっと贔屓目入ってるかもしれない。この人の感性合うから他作品もまた読んでみたい……!!
作品紹介にもある「あなたの胸の中にあるものでも、晒すと人の心を打てますか?」とか、一連の流れ見ると本当にグサッとくる。
チカがヨシヒロに「私のこと好き?」って聞いて「いつでも味方だよ」って返事されて、優等生の回答で距離を感じるとか本質的すぎる。
「ロリコンでもハルナが喜んでて、手が掛からず楽になるから別に良い」とかも妙にリアルだけど考えたこともない?考えたくもないから?かなあ、ありえない価値観、本当に驚いたけど自分の知らない感情に触れるのは感動する。最後の「病気移って一緒に死んで」が良かった。シャルナの名前のシーンも好き。
最後までチカが良い子になりきらないのも現実的で本当に感情移入できる。
リクがタカシに告白された設定はあんまりいらない……。けれど何か作者にモデルみたいなのあるのかなあって想像しちゃうから楽しい。
あとチカが急に「サナトリウム文学のような」とか言い出すのほんとビビる。「魔の山」やらを人間なら全員読んでると思うな、とは思ったけれど、最近なら風立ちぬで皆知ってるのか。でも急に物凄い違和感。
()の中の「ちなみに2007年当時は……」みたいな注釈が好き。この時代の記憶がまだあんまりない頃だからへえってなりながら読んでた。
終盤かなり泣けます!
泣きゲー的雰囲気の強い本作。病床の幼女に楽しいお話を聞かせるバイトを請け負った主人公チカ。だんだん創作魂に目覚める。
だが学校内ではチカへのいじめ発生、そして少女の病状は刻々と悪化していき・・・
読み終えた読者は十分泣けると思います。2006のタカシ裏話的要素も有り。
主役のチカは気性的にアクの強い人物で、好き嫌いが分かれるかもしれない。あとニート批判強めのお話。
とはいえ新キャラのニート西藤リクは、出番そこまで多くない割に美味しい立ち位置であります。