「なにせクソ・オブ・ザ・クソだからな。まずジャンルが悪い。今どきファンタジー小説なんてあり得ないだろ」2006年、春。小学六年の嶋田チカは、昨年トラックにはねられて死んだ兄・タカシの分まで夕飯を用意する母のフミエにうんざりしていた。たいていのことは我慢できたチカだが、最近始まった母の趣味には心底困っている。フミエはPCをたどたどしく操作し、タカシの遺したプロットを元に小説を書いていた。タカシが異世界に転生し、現世での知識を武器に魔王に立ち向かうファンタジー小説だ。執筆をやめさせたいチカは、兄をはねた元運転手の片山に相談する。しかし片山はフミエの小説に魅了され、チカにある提案をする――。どことなく空虚な時代、しかし、熱い時代。混沌極めるネットの海に、愛が、罪が、想いが寄り集まって、“異世界”が産声を上げる。
Posted by ブクログ 2019年12月07日
>皆さんは、ご存じでしょうか?実は、昨今流行の異世界転生ものライトノベルのうち多くは、わが子を交通事故などで失った母親の手で書かれているということを……。
出オチかと思ったらめちゃくちゃ読み込ませる本だった。
トラックにはねられて死んだニートの息子が、異世界に転生したと信じた母が綴る、異世界の...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年03月21日
面白かった!伊藤ヒロ先生は夢幻廻廊とク・リトル・リトルしか知らず、ライトノベルは初めて。他の作品もまた目を通さねば……!本当に良かった!!
初めの方はチカちゃん「絶対母許さない」って感じ、普通の小説だったらここまで性格キツくないだろう……みたいな感じで伊藤ヒロ先生らしい雰囲気な気がする。でも最後の方...続きを読む
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