【感想・ネタバレ】ザッソウ 結果を出すチームの習慣のレビュー

あらすじ

●「ホウレンソウ」だけではチームは回らない
仕事をする上で、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」は大切です。こまめな報告があれば安心でき、連絡が行き届くことで無駄もなくなり、相談があることでいち早く問題を解決することができます。ホウレンソウは社会人にとっての基礎スキルといえます。ただ、ホウレンソウだけでは、チームのコミュニケーションが機能しなくなってきています。

近年、チーム間で(とくに、上司と部下の間で)個人的な話がしにくくなっています。働き方改革によって残業が減り、飲みニケーションや喫煙所での会話も少なくなりました。ハラスメントに注意しすぎて仕事以外の話もしにくく、つねに成果を求められているため、短期的な仕事の話が中心になっています。

こうしたコミュニケーションだけでは、人を成果を出すための道具としてしか見られなくなり、やがてチームのモチベーションは下がっていってしまいます。人としてコミュニケーションがとれる場を、チームとして継続的に設けることが必要なのです。

●チームを活性化させる「ザッソウ」
具体的にいうと、それはチームにおけるコミュニケーションのあり方を「ホウレンソウ」のステージから「ザッソウ(雑談・相談)」に上げる、ということです。
ザッソウを通して、メンバー同士が何を考え、何を感じているのかを共有し、言いたいことを言い合える信頼関係をつくる。それはチームに心理的安全をもたらし、メンバーのやる気を高めることにもつながります。

それに普段から雑談をしていれば、本当に困ったときに相談しやすくなります。旧来のホウレンソウだけの状態では、信頼関係ができていないわけですから、たとえ「いつでも相談していい」と言われていても、なかなか声をかけにくいものです。つまり話しかける心理的ハードルを下げるためにも、ザッソウは有効なのです。

それだけではありません。新しいアイデアが出ない、専門的な知識がなくて困っている……。そんな問題を解決したいとき、ザッソウでコミュニケーションをとるうちに価値が生まれることがあります。ザッソウは、イノベーションにつながるアイデアが生まれ、チームの生産性を高めることにもつながるのです。

▼内容構成
はじめに
・良いチームの条件は、気軽に雑談と相談ができること
・「ザッソウ」の文化を広げて働きやすい社会をつくる

第1部 「効率化」だけでは成果は上がらない
1.ひたすら効率化だけを求めた組織の末路
2.これからの仕事に求められるのは「創造性」
3.生産性と創造性には「心理的安全性」が必要だ
4.「ホウレンソウ」に足りないコミュニケーション
5.雑談+相談=「ザッソウ」でいこう!

第2部 「ザッソウ」でチームの成果は上がる
1.なぜ、今「ザッソウ」が求められているのか
2.成果を上げる「ザッソウ」の使い方
3.「ザッソウ」がチームに及ぼす6つの効果
4.働きがいと働きやすさを高める「ザッソウ」

第3部 「ザッソウ」しやすい職場のつくり方
1.「ザッソウ」できる職場へのプロセス
2.「ザッソウ」が生まれやすい環境のつくり方
3.「ザッソウ」しやすい心理的安全性の高め方
4.「ザッソウ」できる職場をつくるリーダーの姿勢
5.「ザッソウ」で考えるコミュニケーション術

第4部 チームと人を変えていく「ザッソウ」
1.「ザッソウ」がチームに果たす役割と本質
2.「ザッソウ」できる職場にはゆとりがある
3.チームの境界を越えていく「ザッソウ」
4.「ザッソウ」で組織は変わり、人を変えていく
5.「ザッソウ」あふれるチームで働く人を幸せに

▼著者について
倉貫 義人(くらぬき よしひと) 株式会社ソニックガーデン代表取締役
大学院を修了後、大手システム会社でエンジニアとしてキャリアを積みつつ「アジャイル開発」を日本に広げる活動を続ける。自ら立ち上げた社内ベンチャーを、2011年にMBOし、株式会社ソニックガーデンを創業。月額定額&成果契約という「納品のない受託開発」を展開し、注目を集める。新しいワークスタイルにも取り組み、リモートワークを実践し、そのノウハウも発信し続けている。著書に『管理ゼロで成果はあがる 「見直す・なくす・やめる」で組織を変えよう』(技術評論社)、『「納品」をなくせばうまくいく』、『リモートチームでうまくいく』(ともに日本実業出版社)がある。

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Posted by ブクログ

自分は開発チームのいちメンバーに過ぎませんが、チーム内のコミュニケーションをもっと大切にしよう、ザッソウを取り入れてみたい、と感じさせられる本で良かったです。


個人的には課長や部長には課員の誰よりも暇であって欲しい、定型業務よりもコミュニケーションなど創造性の高い業務に時間を使って欲しいと思っています。

現状だと上長は会議や承認処理などで手一杯な感じなので、まずは自分にできることとして
・課員とのザッソウを自ら積極的に行う
・課員同士で気軽に相談できる環境を作る
・自分で判断が出来るメンバーが増える
・上長の負担が減って課内の事に気を配れるようになる
という戦略で行ってみます


他には「遠慮は自分のための行動ですが、配慮は相手のための行動」という言葉がはっとさせられました。

今まで自分がどう思われるかばかりに気をつかっていましたが、それだと課の心理的安全性が高められないと気づきました。
なので、配慮はしつつ、プライベートなことにも多少踏み込んで、同僚とザッソウを重ねていくことにします。

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2024年03月07日

Posted by ブクログ

新入社員の時、報連相は大事と学んだが、かしこまってしまう傾向があった。
しかし、この本では雑談+相談を「雑相」と呼び、気軽にコミュニケーションを取ることでアイデアが浮かび、問題点と感じたら即対応できるとしている。
時代とともに考え方も変わっていくのだなと実感した。
今年に入ってからテレワークが日常となり、私は新入社員ともコミュニケーションに、この雑相を早速取り入れています。

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2020年09月12日

Posted by ブクログ

帯に書かれた「お話があります。お時間をください」に身に覚えががあったので、読んで見ました。弊社でも10年ほど前に社内SNS立ち上げたもののほぼ業務連絡ボードと化している理由が分かった気がします。オンライン・オフライン問わず、先ずは私からの雑談の問いかけ、相談ですね。

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2019年12月01日

Posted by ブクログ

仕事中に話しかけづらい職場環境はよくある話。聴けばすぐに解決するようなことでも、まずは自分で調べてから、という考えが頭にあるために聴くタイミングがずいぶん遅れてしまってタイムロスになっている。ggrksという言葉に怯えているのも一因か。この状況、ザッソウできる雰囲気があれば、少しは解消するかもしれない。ただ雑談用のツールや場所を区別しないで使うのは、ボトムアップではやりづらい。上の人から率先してやってくれないと。それによって会社のカラーも作られる。「クマってあげる」ことの効用は、たしかに有効だと思う。チームごとに机の島を割り振るのではなく、背中合わせの席次にするのは、やったことがあるけれど、本書で書かれているように、ほんとに相談したり話しかけやすくなるのでぜひ広まってほしい。これもある程度の上位者が「腑に落ちて」くれないと実現が難しい。

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2019年11月03日

Posted by ブクログ

雑談、相談が大事大事というが、
相談の前に雑談が必要な理由について、
著者の考え方が分かりやすく書いてました。
読んでみて納得です。

また、ザッソウには「雑な相談」という意味もあり、
雑でも相談出来る関係になることが強い組織、
クリエイティブな組織に求められる関係性である。
なので、笑いも入るような組織づくりが出来るよう、
私も今のプロジェクトで頑張ります。

【勉強になったこと】
・チームで働くことで、自分の強みを活かすことが
 出来るのと同時に、仲間の弱い部分を自分の強みで
 補い合えるからこそ、より大きな成果を出すことが
 出来る。

・生産性の高いチームの共通点
 心理的安全性(ミスしても非難されない)
 相互信頼(仕事を最後までやりきってくれる)
 構造と明確さ(有効な意思決定プロセスがある)
 仕事の意味(自分にとっても意義がある)
 インパクト(貢献している内容を理解している)

・結果を出すチームは、目的達成のために、
 自分事で考え、働くことのできる人たちで
 構成されたチームである。

・1on1ミーティング=ザッソウ

・悩むは同じ場所で思考が止まっている状態で、
 考えるは前に進むためにどうすればいいかを
 思案している状態と両者は似て非なるもの。

・ザッソウがもたらす6つの効果
 ①助け合いのできる信頼関係が構築される
 ②共通の価値観やカルチャーが醸成される
 ③社員のキャリアや将来への不安が少なくなる
 ④気軽なフィードバックで仕事の質と速度が向上する
 ⑤マニュアル化されにくい暗黙知が共有される
 ⑥自分たちで判断して仕事を進められる社員が育つ
 上記のうち、個人的には⑤、⑥が特に大事だと思う。

・責任を持って任せることは大事だが、
 それよりも大事なのは素晴らしい成果物を作ること
 成果物がプアにならないようにマネジメントする
 のもサポート役の大切な仕事。

・決断力は、自分で決断した経験の積み重ねによって
 のみ身につけることが出来る。

・心理的安全性を高める9つの観点
 ①チームの目標がはっきりしている
 ②適度に対話しやすい人数である
 ③強みを知り、認め合っている
 ④強みだけでなく、弱みも見せる
 ⑤プライベートなことも共有している
 ⑥情報がオープンになっている
 ⑦判断基準と価値観が共有されている
 ⑧リアクションの意識がそろっている
 ⑨「肯定ファースト」と「Noと言うこと」

・人間の脳は、自分の知らないことやわからないこと
 に対して、ネガティブな想像で補完してしまう傾向
 にあるもの。

・創造性が必要になればなるほど、個性や強みを活かし
 成果を上げるようなマネジメントが必要となる。

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2019年09月14日

Posted by ブクログ

雑談してこまめに相談できるとよし

×人間関係が希薄、助け合いが起きない、チームで相談できない、チームで働く意義が感じられない、弱みを見せることができない、新しいことに挑戦しない

今の組織は駄目な点が全部当てはまっていた…

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2024年04月13日

Posted by ブクログ

・チームで働くことで、自分の強みを生かすことができるのと同時に、仲間の弱い部分を自分の強みで補いあえるからこそ、より大きな成果を出すことができるのです。
・効率化だけを求めるチームでは、すぐに成果が出ないような意見を出しにくくする「同町圧力」が発生します。なるべく多数派に巻かれておく方がもめることもないので、平和に過ごしたい多くの人にとっては「意見なんか出さなくていい」となってしまうのです。
・生産性の高いチームの共通点
1.心理的安全性(たとえミスしても非難されない)
2.相互信頼(仕事を最後までやり切ってくれる)
3.構造と明確さ(有効な意思決定プロセスがある)
4.仕事の意味(自分自身にとっても意義がある)
5.インパクト(どう貢献しているか理解している)
・テディベア効果:自分勝手に話しているうちに自己解決すること
・とりわけ再現性の低い仕事において重要なのは、共同化と呼ばれる暗黙知のまま共有していくプロセスです。創造性を求めると属人性が高まることは仕方ないとして、「どうやって個人の持つ暗黙知を共有していくのか」「どうやって形式知に落とし込めない経験則や学びを伝えるのか」これらについて考えなければなりません
・チームワークの7つの段階
 レベル7 : 新しい価値を共に生み出す Create new Value
 レベル6 : 協力する Deal with conflicts
 レベル5 : 相談する Consult across domains
 レベル4 : 共通のゴールを持つ Share a common goal
 レベル3 : 理解する Understand one another
 レベル2 : 話をする Share casual conversations
 レベル1 : 知っている Know each other
・タックマンモデル:形成期(フォーミング)→混乱期(ストーミング)→統一期(ノーミング)→機能期(パフォーミング)
・ストーミングは一時的に生産性が下がるが、徹底的にすり合わせて超える
・YWT : やってきたこと、わかったこと、次にやること
・相談を受ける側は軽やかに、悩むことなく受け止めて話しを聞いてあげると、それが相手の行動を促すことにつながります
・出来上がりの良しあしの前に、まずは仕事をしたこと、確認できるところまで持ってきたことを認めるべき

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2024年04月11日

Posted by ブクログ

従来のホウレンソウ(報告・連絡・相談)に取って代わるザッソウ(雑談・相談)を提唱した本。

雑談やモヤモヤを言語化するための「雑な相談」をしていくことで、チームの心理的安全性が高まり、成果が最大限に引き出されるというもの。多様なニーズに対応していかなければならない現代では必須のコミュニケーションだなと感じました。

チーム内でのコミュニケーションが硬いなと感じるリーダーにおすすめの一冊です。

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2022年02月20日

Posted by ブクログ

自分がチームを作る側の立場になり、考えるところがあり、手に取った。自分自身、雑談は色んなことを生み出すという経験があり、大切にしているが、これで良かったんだということを再認識できた。雑談配信+相談のザッソウをこれからも大切にしようと思う。

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2021年05月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

雑談できるチームが強いのか、強いチームだから雑談できるのか。
タマゴニワトリ理論と同じで、どっちが先かはわからないが、
「心理的安全性」を確保できたチームを作ることで、雑談がうまれ、相互に信頼する関係が築けるはず。

「チームワーク⑦つの段階」を見て、自分の所属する組織の位置を把握することから。
の段階に登るために、何が必要なのか。
お互いを理解したうえで、「共通のゴール」を持つところかなぁと感じつつ
どんな位置であっても、雑談の力は有効とも感じる。

お互いを認め合い、理解しあい、「違い」を知るために、積極的に雑談する(自己開示する)姿勢を持ちたい。

「トップから、「雑談」を推奨していかないと、なかなかできないよねぇ。」
と思う若手の方が多いと思うので、どれだけ相手の目線で雑談できるかがカギになりそうな気がする。

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2020年08月20日

Posted by ブクログ

これは、まさに今の時代を反映している。
オープネスが大事だという本を以前に読んだが、それを作りだすための空気作りに「ホウレンソウ」ではなく雑談+相談の「ザッソウ」が必要だということに、心から賛同した。

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2020年02月23日

Posted by ブクログ

報連相は時代遅れ感を感じていた。チームは段階があるのを知った。同意形成はチームが未熟の段階なのは驚いた。

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2021年05月01日

Posted by ブクログ

職場での雑談の重要性と雑談によって得られる成果や安全性など。雑談をするための環境づくりや雑談のポイントなどの記載も。
実現するためには少人数から初めて徐々に広げるようなやり方をすれぱ浸透していくようにも感じた。

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2020年12月21日

Posted by ブクログ

ホウレンソウではなく、ザッソウ=雑談・相談が大事、という著者の主張は納得。

ただ、昨年の出版なので難しいのですが、コロナ禍にあってリモートワークが一気に普及したことを考えると、そういった勤務体系にあっても雑談・相談を促進するためのヒントがもう少し欲しかったところです。

ザッソウを普及させるポイントとして書かれている内容はどちらかというとリアル出社を前提としている内容に思えました。著者の会社も全員リモートワークにより勤務とありますので、それにも関わらずザッソウできているということであれば、そこからの知見こそが、いままさに大事なものといえると思います。

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2020年08月13日

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