【感想・ネタバレ】戦場のコックたちのレビュー

あらすじ

1944年6月、ノルマンディー降下作戦が僕らの初陣だった。特技兵(コック)でも銃は持つが、主な武器はナイフとフライパンだ。新兵ティムは、冷静沈着なリーダーのエドら同年代の兵士たちとともに過酷なヨーロッパ戦線を戦い抜く中、たびたび戦場や基地で奇妙な事件に遭遇する。忽然と消え失せた600箱の粉末卵の謎、オランダの民家で起きた夫婦怪死事件、塹壕戦の最中に聞こえる謎の怪音――常に死と隣あわせの状況で、若き兵士たちは気晴らしのため謎解きに興じるが。戦場の「日常の謎」を連作形式で描き、読書人の絶賛を浴びた著者初の長編ミステリ。【目次】プロローグ/第一章 ノルマンディー降下作戦/第二章 軍隊は胃袋で行進する/第三章 ミソサザイと鷲/第四章 幽霊たち/第五章 戦いの終わり/エピローグ/主要参考文献ほか/解説=杉江松恋

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Posted by ブクログ

ネタバレ

臨場感あふれる描写、詳細な書き込み、魅力的なキャラクター、ミステリとしての面白さ。
これらを兼ね備えつつも、決して単なるエンタメ小説ではないと感じました。

本作はノルマンディー上陸作戦に始まり、第二次世界大戦のヨーロッパを進軍するアメリカ陸軍のコック兵、ティムの視点で進みます。

次第に語られる登場人物たちのバックグラウンド、主人公たちの過酷な体験、戦場で目にする凄惨な光景。
読み進めていくとやがて、戦争はなぜ絶えないのか、人間はなぜ憎悪し合うのかという命題に突き当たります。
非常に重厚な一冊でした。

0
2024年04月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2019/8/11 喜久屋書店北神戸店にて購入。
2025/5/20〜5/31

 2016年度のミステリランキングを賑わした本作。ようやく読むことができた。ノルマンディー上陸作戦からドイツの降伏まで、コックとして兵役についたキッドことティモシーを主人公に、戦争の悲惨さ、兵士の複雑な感情などを描きながら、周辺で起こる不思議な事件を、キッドの親友エドが解き明かす。
 単なる謎解きに収まらず、重厚なテーマをぐいぐい読ませる。エピローグがあることによって作品の厚みがさらに増している。名作。

0
2025年05月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

19歳という若さで戦場のコック、ティム。彼が経験し、目にしてきたものは。
作者の戦争に対する表現はとても胸に刺さるものがあった。一部抜粋すると。
「人間は忘れる生き物だ。やがて明らかな過ちさえ正当化する。誰かが勝てば誰かが負け、自由のために戦う者を、別の自由のために戦う者が潰し、そうして憎しみは連鎖していく」
それでも平和であることを祈るしかない。

0
2025年04月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

食べることと料理が好きなティムが特技兵(コック)として戦場に出る物語。
料理を提供し、仲間と過ごし、不可解な謎を解き、時には敵を殺す。

死はいつ訪れるかわからないが、この瞬間にも死ぬかもしれない戦場は現代人からしたら遠い話のようで想像できなくはない現実だなと思う。

抗えないことに対抗するのではなく、
抗えないことの中で必死に生き(そして染まっていく)、非日常を日常に昇華する兵士たちは、帰還後に見慣れていたはずの生活に違和感を覚えるのは当然なのか。

何というのか、言語化できない思いが残る小説だった。

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2025年04月03日

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