【感想・ネタバレ】実験(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

新作が書けぬ小説家・下村に届いた旧友春男の近況。長く疎遠だった春男は、三十を過ぎうつ病を発症したという。青春の華やぎを一切拒絶して引きこもる息子を案じ、両親の相談を受けた下村は、筆の進まぬ窮状を脱する好機と、ある不穏な「実験」を思いつくが……。潮風と砂が吹きつける海峡の町で、孤独且つ平和という泥濘であがく人々の精神の危機を冷徹にえぐる表題作ほか2篇。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

自身をモチーフとしたと思しき新作が書けない小説化を主人公として、うつ病で悩み自殺願望を持つ友人との交流を通じて、彼をテーマにした作品を書くことで1つの実験を試そうとするがその結末は・・・。帯の「お前の苦しみを小説のネタにもらっといてやる」という一文そのままの小説。

他人の苦しみですら小説の糧として利用せざるを得ない小説家という職業を露悪的に描きつつ、きっちりラストで希望を描いている点は巧いと思う。

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2013年02月17日

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