あらすじ
なぜ30歳を過ぎても、私は働かず母の金で酒を飲んでいるのか。それはあの目に出会ってしまったから。中学の古参教師に告白させた生涯の罪を、虚無的に冷笑しつつ、不敵な価値転倒を企てる野心的表題作。級友たちの生け贄として凄惨ないじめの標的にされた少年が、独自の「論理」を通じて生存の暗部に迫る、新潮新人賞受賞作「冷たい水の羊」を併録。気鋭の作家、鮮烈のデビュー作品集。
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Posted by ブクログ
ニート主人公のクズっぷりが伺える祖母との会話シーン。異常に長い独白が身も蓋もない。ページを捲る毎に、祖母は遮ることもなく延々とこれを聞かされているのかと、ふと我に返る。
小説というより漫談に近い独白が数十ページにも渡って気付いたら誰も居なくなって終わる。
「冷たい水の羊」はいじめに遭う中学生の真夫が独自の理論でいじめを認めないことでなんとか生きる葛藤を描いている作品。故にいじめだと断定して心配してくる水原を敵視し、さらには殺意と性欲の対象にして憎悪を向けてしまう。
各々の登場人物が自分の考えや心情を相手に向けているが、決してそれがお互いに交わることなく自己完結している。それぞれが、双方にとって、あくまで自身に関係の無いテリトリーの脇役として登場している。
目に映る景色の表現が詩的で豊かな感じが、内向的でその人物の心情や関心にスポットが当たっているようで没入しやすい。
そのせいか、ラストパートで鳥居の前まで来た時に決意を決めて実行したのかと驚いたが、それもこれも妄想で、何気ないいつも通りの日常が始まるところで終わる。
ハッピーエンドと言って良いのか、決意を決めたものの、運命なのか、水原は家族と共に救急車に連れられ、一人で死のうと思って移動するも、かえって頭の中は安堵感で満たされ、高揚感と妄想で十分決意の意味など皆無になっている。
こうして読んでみると、真夫は別に家庭環境や周囲に恵まれないわけでも、不登校を決めるわけでもなく、普通に周囲の人に接してもらい、北上らに目をつけられていることを除けば特段希望がないわけではないように思えてくる。それは真夫自身が向ける情景にも感じ取れ、決意の重さに比べれば代わり映えのしない日常の方が余程平和なものだという改心が見受けられる。
水原を見る目が今後どう変わったのやら。
Posted by ブクログ
図書準備室、冷たい水の羊の二編からなっている本。星4つをつけたのは後者の方。図書準備室はぼちぼち。冷たい羊はいじめをあつかっている作品。いじめられている彼は自殺を考えるようになる。色々な理由をつけ、最良の日を選択する。どうなるか。暗い内容を書いている本だが、好きな感じの落ちで、読み終われば爽やかな感じがした。次は著者の切れた鎖をよんでみたい。