あらすじ
1954年、大分の小鹿田を訪れたイギリス人陶芸家バーナード・リーチと出会った高市は、亡父・亀乃介がかつて彼に師事していたと知る。──時は遡り1909年、芸術に憧れる亀乃介は、日本の美を学ぼうと来日した青年リーチの助手になる。柳宗悦、濱田庄司ら若き芸術家と熱い友情を交わし、才能を開花させるリーチ。東洋と西洋の架け橋となったその生涯を、陶工父子の視点から描く感動のアート小説。第36回新田次郎文学賞受賞作。
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Posted by ブクログ
最初、割と可愛らしい表紙だったので、コメディっぽい話なのかと思ったけれど、バーナード・リーチという陶芸家のお話だった。
やっぱり原田マハさんの小説は良い!
というのが読み終わった…あとの感想。
芸術っていうのは冒険なんだな、と思った。
登場人物が、純粋に芸術という憧れを追い求めていくからこそ、読んでいる私もハラハラドキドキしてしまうんだろう、きっと。
日本に帰ってから、結局リーチに合わずじまいで、名も無い花として九州に骨を埋めた亀之助。
日本に帰ったあとの亀之助の人生は小説には書かれていないけども、濱田と別れてから亀之助は何を思って各地を彷徨い、どういう気持の変化があったんだろうかと考えてしまった。
私としては、大好きだったリーチ先生にも、シンシアにも会わずに人生を終えた亀之助はやっぱり寂しいと思ったのだけど、息子の高市やリーチ先生はそうは思わなかったんだなあ。
ラストで、亀之助の昔の恋人のシンシアが出てきたけど、亀之助の帰りを待って、工房を守ってたとしたら切なすぎるよ。いや、そこら辺は何も書かれていないので、シンシアも他の人と結婚して、子どももいるかもしれないけどさぁ。
でも読後感は悪くなかった。亀之助の陶芸への想いが息子の高市に受け継がれて、芸術や生活は続いていくんだなと思うと、素直に温かい気持ちになった。