あらすじ
恋バナ収集というちょっと変わった活動を行うユニット「桃山商事」の代表を務める著者が、これまで1200人以上の女性たちの失恋話や恋愛相談に耳を傾けるなかで気づいた、失望される男性に共通する傾向や問題点とは? 女性たちの生の声を聞いてみると、男女でこんなにも違う景色が見えているのか、ということが浮かび上がってくる。ジェンダー観のアップデートが求められる現代を生きる、すべての人たちに贈る、より良い関係を築くための「心の身だしなみ」読本。
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Posted by ブクログ
女性の男性との恋愛に関するの悩みや不満をアンケートする団体のメンバーが、あるあるな内容を取り上げ意見を述べていく構成となっている。冒頭には著者自身の自戒の言葉も添えられており、その思いに激しく同意する自分もいるというテンドンを続けながら興味深く読み進めていけた。
目下悩んでいるからか「話し合いできない男たち」の単元が自分のことを言い当てられているようで、身が引き締まる思いだった。
話し合うは双方向であることが大原則、お互いの意見を交換するところに話し合いの本質がある。切り出すのが常に女性側だったり、自分の意見を述べなかったりというのはこの原則から外れる。
「責められている」と感じる傾向がある。相手の言葉を的確に理解し、自分の内面を言語化する力が求められ、能力不足から面倒くさいと投げ出してしまうのか?他の書籍だけど、男性はどうも自分自身の内面に対する解像度が低く、身体や心に感じていることをうまく言語化する能力が女性に比べ劣っているのではという指摘がある。自分を省みても、その性質は多分にあるかなーと納得。
女性は「目前の問題に対して意見を述べ合い、そのすり合わせを図る行為」、男性は「相手の期限をなだめるための行為」として話し合いを解釈している。ここに齟齬があり、一旦険悪な関係が緩和されても、根本的な問題解決には何一つ発展していないのだから、寧ろ問題は深くなっている。これは、もう。。。はい、その通りでございますと首肯しかない。
全体的に感じたのは、男性性の社会的優位にあぐらをかいてどうも対話や感情の表現の機会や修練を怠ってきた男性像というのが一貫した問題で、そこに自分自身も含まれていることに問題があるのだなと。環境や相手への共感があれば、一旦立ち止まって行動や発言を修正するチャンスが生まれる。そう念頭に置いて日々過ごしていく気概を持つのだ。
各専門家との対談もアカデミックに男性を研究されている内容を触れることができ、非常にためになる。須長先生のホモショーシャルでの存在証明を得るためのからかいと人格テストという指摘は、今でも自分もこの手法を使用しているなと気づかされた。適度に攻撃し合いながらの、上手い返しで盛り上がってくという雰囲気は本当にいつでもある。対象となっているときは気分が悪く嫌気がさしていることが多々あるのに、する側となっているときは何か良い連帯感や優越感などを感じてしまっている。何かいびつな関係性なんだなと認識を改めさせられた。
表紙はキャッチーでライトなエッセイ本かなーと思ったけど、清田さんは主観を断定することはなく各種専門家の意見や研究内容などを参考に意見をまとめてらっしゃって、非常に好感が持てる内容だった。