あらすじ
607年、日本は隋の煬帝に「日出ずる処の天子」で名高い書状を送る。以後、対等の関係を築き、中国を大国とみなすことはなかった――。こうした通説は事実なのか。日本はアジア情勢を横目に、いかなる手段・方針・目的をもって中国と交渉したのか。本書は、倭の五王の時代から、5回の遣隋使、15回の遣唐使、さらには派遣後まで、500年間に及ぶ日中間の交渉の軌跡を実証的に、「常識」に疑問を呈しながら描く。
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Posted by ブクログ
古代の日本と中国の「関係」を仏教文化などに注目しつつ通説を、切っていくような本で。昨今の中公新書歴史ものらしく骨太でかつ斬新。特に白眉は遣隋使を対等外交でなく、やはり朝貢に近いものであったとする点である。このあたりについてはやはりまだ多くの論者が出てきてほしい部分であるが、確かに筆者の見解に従えばスムーズに関係史を理解できそうである。それにしても、分裂期の中国史は殺伐として混乱を極めているなあ。仏教が大事にされていく背景としてはとても重要な側面だと思う。
仏教の思想的な面がどのように消化されていたのかは疑問が残るが、それはまたほかの本をあたるとしよう。
以下、勉強になったポイント。
・19p雄略天皇 ワカタケル?
・33p天下とは?支配領域のこと
・41p雄略 画期性
・河内祥輔 天皇の皇位継承 なるべく、皇女と皇族の子供が良い
・55p梁の武帝 皇帝菩薩
・77p遣隋使 書をいたす
・89p仏教的側面から遣隋使読み直す
・97p当時は冊封不要の時代だった
・112p大一回遣唐使と高表仁
・135p則天武后と日本
・143p遣唐使は 朝貢
161p鑑真は密航
173p称徳女帝と淳仁
215pさだ軍団
224p呉越国
237pなぜ外交でないのか