【感想・ネタバレ】全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】のレビュー

あらすじ

経済学者・官僚がこっそり読んだ『奇跡の経済教室』待望の第2弾。政治家に読ませたい本No.1!世界で起きている変化、日本がとるべき戦略が面白いほど見えてくる!全米騒然・日本上陸のMMT(現代貨幣理論)がよく分かる特別付録つき

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行政改革の失敗や成長戦略に加え、著者が他の著作でも力説するMMT(現代貨幣理論)についての付録(解説)もあり、経済停滞や財政赤字の意味を考えるテキストにもなると思います。

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2024年09月18日

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ものすごい!MMT(現代貨幣理論)に立脚しながらなぜそれが受け入れらないのかを、合成の誤謬、認識の共同体、予言の自己実現、経路依存性等の概念で読み解く。ここまで言えるにはかなりの自信が必要だし、単に経歴だけでなく相当の研鑽があればこそ。

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2024年04月20日

Posted by ブクログ

「全国民が読んだら歴史が変わる」とタイトルに記載されるように、論壇でも賛否あり、誤解も多いが、デフレ対策の本質を射抜くテーマである。最近選挙でも「日本だけがなぜこの30年間賃金が上がらなかったのか」現政権への批判と共に主張する候補者が散見された。平均年収は変わらず、税負担は増え、至近寺は物価高騰、スマホやネットなどの通信費や高騰する電気代も加えた家計の固定費も上がり、国民の生活は益々苦しくなっている。真面目に働く日本人がなぜ。ヒントはこの本にある。

経済政策は、「思想決定説」と「政治決定説」に区分される。つまり、経済思想で判断するか、政治力学で判断するか。政治力学というと、外交戦略も絡むだろうが、本著では主に既得権益を取り上げる。この二説のどちらが正しいということは無い。

本著の一番の肝であり、私が面白いと思ったのはMMT、現代貨幣理論を詳しく噛み砕いて説明している点だ。素晴らしい。賛否あるが、端的に言えば、自国通貨発行権を有す国は、通貨発行する事で景気対策すべきだと。通貨はそもそも徴税のために普及させるべく、先に国がばら撒いたものだから、事前に徴税する必要はない、と。アベノミクスやれいわ新撰組が近い思想を持っていたと思うが、とにかく、これが主論の軸になる。

炭素税は二酸化炭素排出を抑制するための仕掛け。消費税は、消費抑制の仕掛け。三橋貴明も同じ事を言っていたが分かりやすい。では、税に頼らず、通貨発行によりインフレ誘導し、賃金アップで消費刺激に繋げるとして。何故、その好循環に至らなかったのか。デフレを望ましく思う既得権益。そことゲームチェンジした所で登場するレント・シーカー。そもそも、通貨発行やインフレ誘導に否定的、現状変更したくない認識共同体や経路依存性の問題。しかし、諸悪の根源はグローバル化による自己決定権の喪失や賃金中和反応ではないか。

この手の本で興奮したのは久しぶり。もっともっと、勉強したくなった。

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2022年08月14日

Posted by ブクログ

基礎編では日本が陥ってしまった現状とその解決策が紹介されていた。この様な解決策があるなら何故実行に移さないのか、またその様に考える人は少ないのかと疑問に思った。
戦略編では思想的な側面から、何故日本をデフレ→適度なインフレへと向かわせることが難しいのかということが解説されていてわかりやすかった。

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2021年09月12日

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【政治・経済】
よく政治経済といいますから経済と政治は密接に絡んでいるということです。

しかし、われわれ賃金労働者は無知であるが故にいいように扱われています。

資本家の論法は、
景気がよくないから賃金を上げることができない。
会社が潰れたら給料を払えなくなる。それは困るでしょ。
だったら会社を存続させるために、少しの減給は我慢できるはず。

このような論法になっています。

ー デフレ ー
デフレとはお金の価値が上がる状態です。
お金を持っている富裕層、資本家、企業はデフレでそれほど困ることはありません。しかも、コストとなる労働者の賃金は抑えることができます。
発言権を持つ人がデフレで困っていないのであればデフレは続くことになります。
お金を持たない労働者はますます貧困な状態に追い込まれることになります。

ー 不換紙幣 ー
不換紙幣の仕組みは理解しておくべきですね。
常識を覆すものです。
まだ、ふぁっとした感じでしか理解できていません。
勉強します!


『奇跡の経済教室』是非読むべき本です。

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2021年03月09日

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コロナウイルスが流行し、経済がズタボロになっている中で政府の対応などに疑問を感じ色々勉強していく中で、出会った本。これまでの学校の教育で悪いものだと教えられてきた財政赤字についてや、政府の債務について目からウロコの話ばかりだった。まだ20年くらいしか生きてはいないけれども、日本がどんどん貧しくなっているように感じていた。それは政府の対応が間違っていたからなのだと気付かされた。今のコロナの状況で経済的に苦しみ倒産や自殺を選択せざるを得ない人が増加している現状を、政府は救う力があるのにも関わらず救ってくれない。今の日本の状況を考えると絶望を感じてしまう。日本が死なないためにも国民が政治に興味を持って賢くならなくてはいけないと思った。

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2020年12月30日

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初級編を読んだのでこっちも読んでみた
デフレ対策以外の話も納得できるところが多くておもしろかった
もう一回読みたい
初級編でも書いたけどこれに対する回答反論する書籍ってないのかな

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2020年09月12日

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著者の提唱する経済政策を実行できる政治家は誰なのか、
山本太郎か、どうなんだと考えさせられた。
まさに全国民が読むべき本だと思う。
反論する意見もあるだろうし、私自身本当にこの著者の考えが正しいのか分からない。が読む限りにおいては十分納得できるものであった。
反論者との対談集とか読んでみたい。

MMTが受け入れなれない心理学的な理由
・政府の財政赤字と債務は家計の財政赤字と債務とは全く違う。それにもかかわらず「財政赤字」とか、「債務」という言葉のもつ影響力は非常に強く、MMTの論理を吹き飛ばすほど強い。
・通説にそぐわない見解を拒否する傾向

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2020年02月13日

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前著の基礎知識編では、間違ったデフレ政策を指摘し進むべき道筋を提示しました。戦略編の本書では、その背景となった新自由主義の本質を解説し、従来の保守、リベラルの変質の経緯を解き明かします。グローバル化がデフレや格差拡大の最も大きな要素であり、それに業を煮やした人々が、トランプ大統領誕生やブレグジットそして黄色いベスト運動に向かっています。もともとグローバル化を胡散臭く思っていましたが、国民国家の民主主義とグローバル化は両立しないとの本書の説明はまさに我が意を得たりです。

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2020年01月26日

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ネタバレ

デフレは貨幣の価値が継続的に上昇することで、人々は、モノよりもカネを欲しがるようになる!
政府は自国通貨発行権を有するので、自国通貨建て国債が返済不能になることは理論上有り得ない!
そもそも、自国通貨発行権があるんだから、税金を取る必要も、国債を発行する必要もないのに、何故国債を発行するのか、それは金利を調節するためのツールだから!何故税金を徴収するのか、それは税の支払い手段である通貨の需要を生み出すため!
デフレ時代には、アメ型成長戦略で良いのに、何故かムチ型成長戦略が採られる。規制改革、構造改革は聞こえは良いが、PFIで民間にやらせても、民間は儲けないといけないから、効率が上がった分価格を維持するインセンティブが働く。先行事例のイギリスが見直す方向なのが何よりの証左!オリックスの宮内会長が様々な委員会で規制改革を主導し、結局利益誘導するレントシーキング問題は、看過できない。。
人手不足で賃上げ、脱デフレのタイミングで、女性活躍、人生100年で主婦や老人を非正規で働かせて人件費抑制、更に外国人を入れて人件費抑制。。。デフレが更に進む政策ばかり。。

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2019年12月08日

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基礎知識編に続いて一気読み。相変わらず良書である。
メッセージを持って飽くことなく平易に語りづつけるのはすばらしい。中野さんの論文も読んでみたい。

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2025年08月12日

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【星:4.0】
前作の「基礎知識編」ほどのインパクトはなかった。
また、本書もMMT理論全面推しなのかと思ったが、そうでもない感じである。

言っていることは一貫していて、財政赤字が増えても日本は通貨発行権を持っているので、自国国債でのデフォルトはない。このデフレ時代には緊縮財政ではなく積極財政でといった論調である。

ただ、この本の面白いところは、経済の話を中心に据えつつ、経済の観点から国際情勢、政治情勢など幅広い内容となっているとことだと思う。

そして、視点の中心をMMT理論という新しい経済学に置いているので、色々な物事に対するこれまでとは異なる見方を見につけられた気がする。

ただ、このMMMT理論が正しいかどうかは、また別の話である。

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2024年04月24日

Posted by ブクログ

感想や読書メモが残してなかったため、再読。
基本編に引き続きとても分かりやすい文章で、MMTや新自由主義、インフレとデフレ、レントシーキングなどについて、「アメ型成長戦略」「ムチ型成長戦略」を軸に書かれている。
ただ、筆者の思想というか特定の人への批判が強いので盲目的になるのもなあといった印象を受けた。
そこを差し引いても、新たな視点をわりと容易に得られるのでおすすめ。

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2024年01月13日

Posted by ブクログ

何かで聞いたことがあったMMT(Modern Monetary Theory)の唱道者である著者が、『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』に続いて書いたもので、おそらく内容的にも同じことが書かれてあるのでしょう。

これからの政策で必要なことは、
①財政支出を拡大して、デフレを脱却すること。つまり緊縮財政から積極財政へと転じること。
②これまでの「ムチ型(企業利潤主導型)成長戦略」から、「アメ型(賃金主導型)成長戦略」へと転換すること。
とまとめにある。

とにもかくにも、デフレは悪だと。
そして、一見放漫な政策と思えるMMTこそが、このデフレ脱却には効果があると。
MMTは、「自国通貨を発行する政府はデフォルトに陥ることはあり得ないから、高インフレにならない限り、財政赤字を拡大しても問題ない」という単純明快な理論。
日本は自国通貨(円)を発行し、国債をすべて円建てで発行しているので、デフォルトすることはない。
政府の債務は、民間の債権。つまり、国債は国民の資産。政府は、国債の償還のために徴税する必要はない。政府は、借り換え(国債の償還のために、新たに国債を発行すること)を繰り返せばよい。
従って政府債務は「将来世代へのツケ」にならない。
しかも、国債を発行して財政支出を拡大し、インフラや教育、技術開発のために使えば、将来世代に「ツケ」どころか「資産」を残すことができる。
一方この理論は異端で、財政規律を守るべきだと言うのは本流だとも聞く。
どちらの意見も聞いて(知って)、どうあるべきかを判断すべきなのだろうな。

話題のMMTの考え方や、効能とされることが分かった。

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2023年10月19日

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著者の話のエッセンスは前著(「基礎知識編」)で言い尽くされている。それぐらいわかりやすくシンプルということだ。本書は、なぜその主張が世の中に広がらないのかを論じている。その着眼点や議論の進め方は切れ味鋭いが、それは著者の立ち位置がユニークでブレないからこそ、生み出されたものだろう。ただ、この議論が実際にグローバル化にブレーキをかけ格差是正につながるという道筋を具体的かつ現実的に描けているかというと若干心もとない。新自由主義がやはりシンプルで勢いのある議論を展開しながら、肝心なところで“トリクルダウン”という甚だ怪しい理屈に走ったことが想起されるが、著者の議論が同様のものでないことを祈りたい。194頁で「実際に起きていることは、将来世代の納税者から国債保有者へと、同じ世代の国民の間でお金が移っているだけなのです。右のポケットにある小銭を左のポケットに移したようなものなのです。」「もちろん、将来世代の納税者から国債保有者に富が移るということは、 格差を拡大させる方向に働く所得配分になります。だからこそ、増税、とりわけ逆進性がある(低所得者の方が負担感の大きい)消費税の増税によって、国債の償還を行うべきではないのです。」としているが、では、インフレ期に増税が必要となった時、どのようにして累進的な課税を実現するのか?単に“民主政治を実現する”というだけでは心許ない。もちろんこうなると経済の話ではなくなるが、本書の議論はすでに経済の話だけに収まっていないので、そこのところも論じられて然るべきだろう。

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2023年07月29日

Posted by ブクログ

今までは「今は、国債のほとんどを国内貯蓄で消化しているから金利は低いが、外国人が国債を買うようになったら金利が上昇する」と自分も思っていた。
しかし、赤字財政支出は、それと同額の民間貯蓄を生むのであって、民間貯蓄が財政赤字をファイナンスしているわけではないみたい。
これはやはり目からウロコ。

サミュエル・ハンチントンなどの保守派の知識人たちは、1970年のインフレは民主主義が過剰になったせいだとした。
ほんとは(ベトナム戦争による軍備費のかくちょう、石油危機による原油高、変動相場制によるドル安など)

新自由主義「グローバル化」は良くない。
移民により労働者の実質賃金の下落、雇用数の減少。
大企業だけが潤う

アメリカの民主党は、階級よりも「アイデンティティ」に焦点を当て、その結果「進歩的新自由主義」とかした。

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2022年03月27日

Posted by ブクログ

先日の「基礎知識編」に続いてこちら「戦略編」も読んでみました。なかなか興味深い。
内容は「経済教室」というより、経済政策のベースとなっている「思想(イデオロギー)」と「政治」、具体的には「グローバリズム」と「民主政治」の関係と、その日本および米・欧における現在の状況の解説なのですが、とても端的に分かりやすくまとめてくれていると思います。分かりやす過ぎて危険かもしれませんが、個人的には著者の整理の仕方に大筋違和感ありません。かなり頭の整理になりました。

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2022年01月05日

Posted by ブクログ

基礎編よりやや熱が(笑)
政治的なイデオロギーとインフレ・デフレの話はとても面白かった。幹になる考え方を物凄くシンプルに伝える本。

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2021年02月22日

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ここまでデフレが続くなか、エリート達が考えを改めない理由に納得した。
経済的な話だけでなく、そういった精神面からのアプローチで今の現状を分析しているあたり非常に参考になった。

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2021年02月01日

Posted by ブクログ

なるほど、と思うことばかりなんだけど、はっきりしてるのは、このままだと日本はどんどん首を絞める政策から離れられないということ。

グローバルな民主政治が実現することはないって、内心そう思ってたから、嬉しかった。
グローバル、良いことのようだけど、「国民」という存在がある限り、無理だよね。存在が相反してる。

日本の官僚はそもそも強くなかったのか。
調整型官僚が、1980年代から少なくなってきた話、なんかすごく分かる気がする。面倒臭いことだもんね、調整するって。でも、そういうことできる人に官僚になって欲しいんだよな。

日本だけでなく、海外にも股をかけてエリート官僚同士つながって、そこで共通の認識を得ているっていうのも興味深かった。

センメルヴェイス反射も、なるほどだった。
人間の脳には、多数派の見解に逆らおうとすると、むしろ多数派に同調しようとする機能がある…。

覚書〉
MMTは、「通過の価値を保証するのは、政府の徴税能力」と説明している。

財政赤字の削減は、固定相場制では正しいことだった。経常収支が赤字になると、外貨が不足してしまった。
角栄の時代は、インフレ。財政赤字の削減は、インフレ対策だから正しい。今はデフレ。積極的な経済政策が有効なとき。
でも、デフレを嫌うのは資産家、そして資産家に支えられてる政治家。
私たちには、イデオロギーの経路依存性が働いてしまってるのかも。

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2020年12月26日

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日本は1990年代ごろからムチ型戦略に構造改革がなされてきたという。(バブルの崩壊がきっかけ)
⇒株主重視の経営、女性・高齢者活用、移民
ムチ型経営は投資家や経営者にとっては利益となる。
デフレも投資家にとっては(お金の価値が高いから)うれしい。またそれが政治、政策にも影響を与える構造になっている。この構造を変えてアメ型の戦略をとることが日本にとってまさに必要である。


〇成長戦略
「アメ型」戦略⇒インフレ圧力
・賃金上昇により経済全体を成長
・人手不足に対して、生産性向上や付加価値創出で対応(積極技術開発)
・労働組合の力が有効(人件費カットしにくい)
・政府による労働者保護、国境規制(非グローバル)

「ムチ型」戦略
・賃金抑制により企業が利益を出して経済全体が成長
・労働者保護規制の緩和(グローバル化)
・移民の受け入れによる労働者間の競争⇒賃金抑制
・ただし、企業は海外市場に打って出て需要を取り込む
・技術は開発するよりも買収する。
⇒企業の利益にはなるが、国全体としては・・
 格差拡大

〇その他
・お金という単なる紙切れに通貨としての価値を見出すのは、その紙切れで税金の支払いができるから。(政府支出の後に徴税)

・インフレ=民主主義の過剰という考え方がアメリカで出現(民意を取り入れすぎて財政赤字を拡大した経験)。したがって、保守派は民主主義の過剰を恐れる。
⇒デフレで恩恵を受ける富裕層からの支持を得られる。
⇒抜け出せなくなった。

・リベラル派は、アイデンティティ(女性、LGBT,少数民族)に注視するようになり、新自由主義と結びついた。
⇒保守もリベラルも、新自由主義(グローバル)の土俵の中で戦っていた!

・グローバル化と民主主義は相反する。
例)EUの決定は各加盟国の法律の上に位置する。
マーストリヒト条約は、ユーロ通貨加盟国に対して、財政赤字をGDPの3%以下、政府債務を60%以下にするように義務付ける。ユーロの安定化のために各国の財政対策は制限されている。。。

・国際条約による民主政治のすり抜け
国内の法律より優先される上に、衆議院だけで可決できる。

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2020年06月20日

Posted by ブクログ

政策が間違ってるから財政赤字が改善しないとせず、国民の努力が不足してるからとか国民の品格が落ちたからと精神論にすり替えて論じてる感じが戦時中みたいだなと感じた。著者の理論が正しいとしても、私達国民に出来ることってあるのかな。

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2019年12月31日

Posted by ブクログ

自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない
個人向け国債は未来への贈り物
デフレ化の増税や財政健全化は毒薬である
ポピュリズムの本来の意味は民主主義
ぜんぶ当たり前のことなのにな

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2019年12月24日

Posted by ブクログ

現在の経済対策に一石を投じる本。
見方を変えるとなぜデフレが終わらないのかがわかってくる。
特に後半3章くらいが面白かった。

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2019年12月09日

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財政赤字は、同額の民間貯蓄を生み出す。
自由貿易が経済成長を生み出すということは自明ではない。

新自由主義経済学は、DSGEモデル(動学的確率的一般均衡モデル)に寄っている。これはセイの法則を前提としている。

政府が国債を発行するのは、金利を調整するため。

賃金主導型成長戦略と利潤主導型成長戦略。
労働組合が強いという制約が、イノベーションを生む。
単に工場移転やリストラ、自社株買いで利益を生み出そうとしない。
株主に還元されるだけで、トリクルダウンは起こらない。
ゼロサムとプラスサム社会の違い。

デフレ時は、レントシーキングが盛んになる。他人の利益を収奪する。

強すぎる官僚から、弱すぎる官僚に大変化した。
調整型官僚から吏員型官僚=改革派と呼ばれる人たち=新自由主義の認識共同体。

MMTでは、就業補償プログラムも提言している。
むしろ問題は、財政支出を拡大してもインフレにならないこと。
MMTを受け入れられない心理学的な理由=センメルヴェイス反射=医師のセンメルヴェイスの名前から、少数意見を拒否することを言う。脳が多数派に同調し、知覚にすら働きかけて少数派の意見を拒否する。

P253


思想決定説と政治決定説。
租税とは、国民経済を調整するために必要なもの。財源確保の手段ではない。

賃金主導型と利潤主導型の成長戦略。
賃金主導型は、インフレ型。労働組合が強く賃金が上昇するので、技術革新が進む。
利潤主導型は、デフレ型。グローバル化によって賃金を抑えて利益を出す。新技術は、おカネを出して買う。
女性労働力の活用、人生100年時代、移民政策は、賃金を抑える手段になる。

新自由主義的改革は、アメリカでも景気改善効果はない。
単に規制緩和や民営化するだけでは、ゼロサムなので成長はない。ゼロサムなのにルールが変わるのは、利益誘導団体がいるから。
PFIは公共サービスを効率化するとは限らない。民間のほうが資金コストが高い、独占は変わらないので効率化するか、いったん受注すれば固定化しがちなのが、公共サービスの特徴、不正を監視するのは、公共部門にコストがかかる。

ルサンチマンを利用したレントシーカーの活動。既得権益に対するルサンチマンを利用して、自分に利益誘導する。
新たに登場した改革派官僚は、新自由主義的改革に陥りやすい。

戦後の先進国で、財政赤字の拡大でハイパーインフレになった国はない。インフレになるのは、資産バブルだけ。1980年代の日本、2000年前半のアメリカの例。
むしろ財政赤字を拡大させただけでは、インフレは起きないかもしれない。

ローマ―が主流派経済学を批判した。過剰な自信、一枚岩の共同体、グループの一体感、がある。これが新自由主義として結実して、他の意見を聞かない。

赤字、債務、という言葉に対する嫌悪感、抵抗感が、MMTを認めさせない。
センメルヴィス反射=通説にそぐわない見解を拒否する傾向。
MMTによれば、消費税増税は最悪の手段である。
リカーディアン均衡にはまっている日本には、中央銀行が赤字を補填するというコミットメントが必要。

本来、保守主義と新自由主義は相いれないもの。
保守主義では、民主主義が行き過ぎると社会秩序が崩壊する、と考えるのが本筋。
民主主義にするとインフレがとまらなくなる、これと結びついて、新自由主義と保守主義が結びついた。
反対に、リベラル派は、大きな政府を唱えるべき。しかし自ら新自由主義に傾いていった。

社会主義の崩壊により、階級から個人の解放へ軸足が移った。その結果、国家や社会の制約から解放することが目的となり、小さな政府、規制緩和に反対しなくなった。ビルクリントン政権は、リベラル派だがグローバル化を推し進めた。トニーブレア政権も労働党伝統の政策ではなく、新自由主義を取り入れた。日本の民主党政権も、政府支出の抑制を掲げた。女性の活躍、マイノリティの活躍を応援するだけで、構造的問題は、新自由主義そのもの。

その結果、リベラル派は、進歩的新自由主義、保守派は、保守的新自由主義、といえる。
小泉政権のころ、財政再建派と、上げ潮派があった。どちらも財政赤字を削減しようとしている点で同じ。

女性の活躍、移民政策などは、新自由主義的政策だが、リベラル派も個人のアイデンティティを守る立場から、賛成している。これでは賃金は上がらない。

イデオロギーの4元構造=保守とリベラル、グローバルと反グローバル。

ポピュリズムの正体は、怒り、ルサンチマンによるもの。
財政健全化、グローバル化、自由貿易、規制緩和で成長、などはフェイクニュース、それを信じている層への不信感から、ポピュリズムの政治家を支持するようになった。専門家や権威ある機関への信頼がない。
ポピュリズムはフェイクニュースに踊らされる、新自由主義がフェイクだったら、その種をまいたのは新自由主義者。

グローバル化、国民国家、民主政治、の3つはトレレンマ状態。
憲法は民主政治から基本的人権を守るもの、これが立憲主義の基本。

主流派経済学では、不換紙幣がなぜ流通しているか説明できない。インフレに対する恐怖症がある。MMTでは、税金の支払いのため、との説明。
財政民主主義により、民主政治に徴税権があるはず。しかし民主主義は信頼が置けないので、中央銀行が通貨を管理すべき、と考える。主流派経済学は、反民主主義的で、エリート主義的。

正しい貨幣論からは、経済政策を民主化すべきとなるが、完全ではないゆえに賢明な判断ができるかはわからない。

経路依存性=一度決まったことは変更しにくい。
タイプライター、軽水炉、労働者派遣事業、移民政策、デフレもその可能性がある。
イギリスのEU離脱が難しいこともこれで説明できる。
財政健全化路線、グローバル化も同じ。
グローバル化は、民主政治とは相いれない。民主政治の破壊に至る。自分のことは自分で決めることができず、世界と歩調を合わせる必要がある。

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2019年11月13日

Posted by ブクログ

経済の舵取りをめぐって「緊縮か否か」が問われている。財務省は緊縮しか眼目にない。家計の倹約は美徳でも国家財政にその論理を持ち込めば景気を冷やし人々の暮らしを脅かす。緊縮を「大義」とみなす風潮に疑義を投げかける。国は通貨を発行できる主体であり将来を拓く投資こそ使命だと説く。無駄を恐れるあまり未来を閉ざすのかそれとも需要を支え希望を紡ぐのか。選択は私たちの手に委ねられている。

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2025年09月30日

Posted by ブクログ

基礎知識編が面白すぎたので、続編である本書も読んでみた。
非常にわかりやすく書かれているので、面白く読ませてもらったが、言っている事は、基礎知識編とあまり変わらないように感じた。
基礎知識編を二回読んだ方が良かったかも。

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2023年02月08日

Posted by ブクログ

基礎知識編と同じ内容が書いてあります。

異なるのは下記の4つの要素によって認識が歪められていると主張しています。
「レント・シーキング活動」、「認識共同体」、「センメルヴェイス反射」、「経路依存性」
これらによって、これまでの日本の経済政策に誤りがあるのに転換させることができていないと主張しています。
(海外諸国に関してもですが)

人間の脳はとても不合理である。
その一言に尽きる書籍です。

最終的に、ではどうすれば著者の指摘の通り日本人の経済政策に関する考えを切り替えて、デフレ脱却に向けた行動に移すことができるのか、
著者は「新時代へのピボット戦略」=行き詰まった際の方針転換 こそが必要だと主張します。
代表例として「令和の政策ピボット」や「薔薇マークキャンペーン」を挙げています。

これはとても弱い主張に感じます。
基礎編、戦略編、500ページ程を使って日本政府の政策の誤りに対して、どのように今後対応すればデフレが脱却できるのか、に対しての回答があります。

しかしながら答えがわかっているのに実行するのがとても難しいと戦略編の200ページあまりを使い説明したのにも関わらず、どう考えをピボットさせて実践すれば良いのかがありません。
そんなんこっちのが正しいんだから考えればわかるっしょ!的なニュアンスなので。

著者の言うように人間の脳はとても不合理だからそうなってるわけですよね?
それじゃあ誰も変われないじゃないですか。

著者の主張するところの、レント・シーキング活動及び認識共同体によってつくられた常識が経路依存性によって形つくられ、センメルヴェイス反射によって拒絶反応を示す現段階においてどう解決するのかが弱すぎます。
結論が「ピボット」です。
で何か変わるわけがないでしょう。

デフレ対策に関しては、経済学者ではなく、心理学者や行動経済学者の領域かと感じます。
ぜひタッグを組んでもらいたいと感じました。

行動経済学者が語るMMTに関する書籍も漁ってみようと思います。

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2021年05月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『経済政策というものは、どうやって決まっていくのか?おおざっぱに言って、二つの説がある』
・「思想決定説」
発想の元となっている思想が、経済政策を決めている。経済政策が180度間違っているのは、経済思想が180度間違っているから。したがって経済政策を改める戦略とは、思想を改める戦略である。
・「政治決定説」
背後に、政策を動かしている勢力がいる。その勢力が、自分たちの得になるように政策を決めている。180度間違った経済政策が実行されるのは、一部の間違った政策によって甘い汁を吸うことができる勢力が政治を動かしているからだ。したがって経済政策を改める戦略とは、政治を改革する戦略である。

『合成の誤謬(ごびゅう)』
ミクロ(個々の企業や個人)の視点では正しい行動でも、それが積み重なった結果、マクロ(経済全体)の世界では、好ましくない事態がもたらされてしまう現象。
デフレ下での支出の切り詰めという正しい行動が、さらなる需要縮小を招き、デフレが続く。
このデフレという合成の誤謬を回避するためには、誰かがデフレなのに支出を拡大するという経済非合理的な行動を起こさなければならない。
それは誰か?それは、『政府』にほかない。

『一国の成長戦略には、二つのタイプがある』
・「賃金主導型」(アメ型)
賃金の上昇を労働者に対するアメにして、国民経済全体を成長させようとするもの。積極財政。
・「利潤主導型」(ムチ型)
解雇や賃下げの脅しを労働者に対するムチにして人件費を抑制し、企業がより稼げるようにし、経済を成長させようとするもの。緊縮財政。
平成からのデフレ日本にはアメ型の政策が必要なのにムチ型の政策を進めてきた。
なぜか?ムチ型で利益を得る人がどこかにいる…


デフレ脱却には財政支出を拡大して、アメ型の成長戦略を実施し、緊縮財政から積極財政へ転じる。
そして議論を通じて人々の考え方『思想』を動かし、そして『政治』を動かし、経済政策を動かす。
民主政治とは、本来、そういうものであるべきである。


「基礎知識」の続編。内容はぐっと本格的になり専門用語もいくつか出てきて難解になり、
付箋だらけに。
中〜後半にかけて、実名で経済学者をバッサリしているのは、基礎知識と同様。
MMTがよくわかる付録付き!これが凄くわかりやすく、たくさん出発されているMMT関連本を読むよりオススメ。

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2021年04月19日

Posted by ブクログ

基礎知識編の補足説明のようであまり発見感はなかった。確かに膨大な財政赤字を考えずにインフレになるまで積極財政を行ってみるというのは革新的でおもしろい。問題はこれまでの発想を大胆に転換させて実行できるかどうか。円の価値が暴落するリスクも大いにあると思う。いずれにせよ賃金主導型の労働者保護を重視した社会への転換が求められていると改めて思った。

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2021年04月11日

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