あらすじ
【電子書籍には特典として書き下ろしSSを収録】
大学卒業後、「滴水古書堂」という古本屋でアルバイトを始めた「私」こと楠田由宇子。普通の古本屋かと思いきや、店が取り扱う商品は、普通の流通ではまずお目にかかれない奇妙なものばかり。しかも、店主の古戸時久に持ち込まれる依頼の数々のおかげで、一般常識ではおよそ考えられないような奇妙な事件に遭遇することになるのだった。
ある日、滴水古書堂に古戸の大学時代の同級生の乾という男がやってくる。歴史学者の乾は、ある遺跡を発掘中に見つけた不思議な金属の写真を古戸に見せ、この物体の正体と知りたいと相談を持ちかける。かくして古戸と由宇子は乾の遺跡発掘に同行することになるのだが……。人類の不思議な進化を巡る「時代の墓碑銘」など、全4編を収録。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
シリーズの第2巻だが、クトゥルフ神話がメインテーマの作品としては、リプレイ小説とクトゥルフ神話小説のちょうど中間くらいの位置を保っていてちょうどいい。登場人物たちも、由宇子のように武道に精通した探索者もいるし、古戸さんも半分神話生物だろうが、まぁ狂信者的な立ち位置とも取れ、それぞれ探索者として違和感のない程度の能力値のように思える。他の登場人物たちも各々正気度を削りながら非日常と対峙している様が分かる。
小説としてどうこう、というよりも、クトゥルフ神話モチーフの作品として、私はこの作品をとても気に入っている。
古戸さんの正体もさることながら、これからもっと太刀打ちのできない神話生物が出てくればいいなと思う。
ただ、クトゥルフ神話を知らない読書が、この宇宙的恐怖と出会ったとき、どうなるのだろうという密かな楽しみ、いや、心配ごとがあるのも事実である。