【感想・ネタバレ】蛻のレビュー

あらすじ

尾張藩の江戸下屋敷内に実在した、「御町屋(おまちや)」と呼ばれる宿場町。この町では、赤の他人が見せかけの夫婦(めおと)として割り振られた家に住まわされ、仮の商いを営み、藩主が遊覧する時だけ立ち退かねばならなかった。ところが、御町屋で連続殺人が発生し、偽の住人たちは疑心暗鬼に陥る。人心の謎と闇を射貫く、時代小説の決定版。江戸に実在した「偽の宿場町(テーマパーク)」で連続殺人発生。すべてが偽で、すべてが嘘? 気鋭の作家が虚実を重ねて仕掛けた渾身の時代小説!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 尾張藩の江戸下屋敷内に造られた宿場街「御町屋」。藩主が庶民の生活を覗き見るため、という目的で造られたこの町では、一人ひとりに家や職業が割り振られ、住民たちはかりそめの生活を送っていた。
 そんな御町屋内で殺人事件が発生。住民たちは疑心暗鬼に陥っていく。

 江戸時代に実在していたという御町屋。現代で例えるなら、実際に住民が住んで生活している、”リアル時代村”といった感じでしょうか。

 しかし、そこで暮らしているキャストたちは、ほんの少し前までは顔も知らないまったくの他人だったわけです。それぞれが割り当てられた役割に従い、日々を生活しているだけなので、そこには絆が生まれません。そんな中で殺人が起こると、誰も信用できない、という状況に陥ります。

 住民たちの不信感は、彼らを管理する役人や差配役たちに対しても向けられます。藩主たちの気晴らしのため、農園の動物のように、御町屋の中だけで生活させられている状況に「自分たちは果たして人間扱いされているのか」と上も横も信用できない、状況になるのです。

 とにかく舞台設定が面白いです! 疑心暗鬼が渦巻き、住民たちが追い込まれていく様子が身に迫ってきます。

 時代小説でありながら、クローズドサークルの心理サスペンスとしても読める、そんな何とも稀有な小説でした。

0
2016年02月03日

Posted by ブクログ

実在した偽の宿場町をモチーフにミステリー仕立てに構築した時代劇。
士農工商のヒエラルキーを痛いほど感じた秀作。

0
2018年06月09日

「歴史・時代」ランキング