あらすじ
「発達障害に関心のある人には、ぜひ手に取って頂きたい一冊」――岩波明氏(昭和大学附属烏山病院院長、『発達障害』著者)推薦!/ロンドンブックフェア(2018年)で話題沸騰! 自閉症スペクトラムの概念を拡大したアスペルガー医師の裏の顔を、史料の掘り起こしで白日の下に! 待望の邦訳。
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Posted by ブクログ
・カナーもアスペルガーもオーストリア出身。
・自閉症の発見の先駆として、医師ゲオルグ・フランクルと心理学者アンニ・ヴァイスが、カナーとアスペルガーの両者に関わりを持っていた。
・アスペルガーは敬虔なカトリック。
精神分析をあまりに合理的なものとしてさげすむ反面、問題のある子供たちを冷徹に観察した。
・ローナ・ウィングはアスペルガーを”発見”したが後年後悔している。
・アスペルガーは本格的な自閉の女性は見たことがないと述べている。
・ナチ親衛隊の14パーセントがオーストリア人。
・シュピーゲングルントの生還者への補償は1990年代以降。
Posted by ブクログ
アスペルガー症候群の元となる症例を発見したアスペルガー医師によって自閉症が「見出されていく」過程を、丁寧に説明していてとても面白かった!発達障害とかの本を読むほど(結局自閉症の定義ってなんやねん…)となってしまう理由の一端が、見えた気がした。
日本でも最近大人の発達障害がよく取沙汰されるけど、ある種の特質を、差別とは言わないまでも区別する“自閉”という概念が、「個人は共同体に参加しなければならい」というナチスのイデオロギーから発生しているというのは、なんだか怖い。
「自閉症と診断された子どもは、そのような診断のために、その行動が常に自閉症特有の行動なのだと見なされ、その子の個人としての独自性が考慮されなくなってしまう」ということを危惧する筆者のエピローグがよい。