【感想・ネタバレ】カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」のレビュー

あらすじ

【現代ビジネスの最重要課題「カスタマーサクセス」待望の入門書】

デジタル時代の「お得意さま」戦略
「売り切りモデル」が行き詰まり、新たな経済原理が支配する世界で
日本企業はなぜ、どのように変わらなければならないのか。
これからのビジネスにおける最重要課題を明解に語る。
《事例紹介:リクルート、メルカリ、Sansan》


“本書で最も伝えたいのは、カスタマーサクセスは日本企業にこそ必須の概念だということだ。何よりもまず、そのことを理解し納得してほしい。そのため本書は、日本企業に向けたカスタマーサクセスの「必然性(Why)」と「本質(What)」に最大の焦点をあて、納得感を最優先しつつ、なるべくシンプルに紐解くことに努めた。”(「はじめに」より)


★あらゆる業界で「定額制」「サブスクリプション」が広がる今日のビジネス環境において最重要課題とも言われる「カスタマーサクセス」の入門書。
★カスタマーサクセスの考え方と背景潮流をわかりやすく説明。実務担当者にも経営層にも、ビジネストレンドを知りたい人にも役立つ内容。
★米国から日本企業に情報発信やコンサルティングを行う著者だからこそ語れる、カスタマーサクセスの「日本企業にとっての意味」の解説も特長。
★実務担当者やこれからカスタマーサクセスの仕事に就きたい人に向けた付録「キャリアとしてのカスタマーサクセス」も収録。


デジタル時代の競争の舞台は激変した。価値の源泉は「所有」から「体験」に変わり、経済取引の選択権はユーザーへ移行。プロダクトは常に更新・最適化が求められ、少額・親密な継続取引が成長の鍵を握る。

従来の「モノ売り切りモデル」は行き詰まり、カスタマーを虜にするビジネスモデル――「リテンションモデル」へのシフトが、SaaSはもちろん、モノづくりを含むあらゆる業種で喫緊の課題となっている。

そんな中、世界的に広がりつつある新たなビジネス常識「カスタマーサクセス」。それはいわば日本伝統の商慣行の進化形であり、「商いは買っていただいた後が大切」の精神で「カスタマーに“成功”を届ける」ことだ。しかしデジタル化した現代の事業環境において日本企業の動きは危機的なまでに鈍い――。

アドビ、Slack、ウォルグリーン、リクルート、メルカリ、Sansanなど多種多様な企業の事例を挙げながら、日本企業の競争優位性を無効化しかねない不可逆的なトレンドの構造を読み解き、カスタマーサクセスの必然性と本質、成功要因と実践指針をわかりやすく語る。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

【デジタル自体に強い競争力を持つリテンションモデルとは】
・利用者が、日常的・継続的にそのプロダクトを利用し、モノの所有に対してではなく成果に対して対価を支払う
・利用者が、いつでも利用を止める選択権を持ち、かつ初期費用が非常に少なくて済む
・利用者が、それ無しでは生活や仕事ができない・使い続けたいと断言できるほど明らかにプロダクトが常に最新状態に更新・最適化され続ける
・利用者が、自分にとって嬉しい成果を得られるならば、自分の個人データをプロバイダーが取得することを許す

物売り切りモデル:売った瞬間にプロダクトの価値が固定化される
→一つの収支モデルで一定期間にコスト回収することを前提に事業計画を立てる
リテンションモデル:売った後もずっとプロダクトの価値が最新・最適化され続ける
→供給者は収支モデルの変化を前提に事業計画をたてる必要がある

【カスタマーサクセスとは】
・「農耕」であって「狩猟」ではない
・「商いは買っていただいた後が大切」=加速的な売り上げ成長

原則
①成功を届けられるカスタマーとの末長い関係に責任を持て
1-1 カスタマーの成功を正しく理解する
1-2 成功を届けられない相手には売らない覚悟と仕組みを持つ
1-3 成功を届けるまで責任を持って行動する
→LTVの最大化
②素早く・負荷なく・漏れなく成功を届けよ
2-1 オンボーディングで「ワオ!」を素早く届ける
2-2 カスタマーがイライラする負荷をなくす(エフォートレス体験)
2-3 漏れなく確実に成功を届ける
→買ってもらってからが勝負
③プロダクトチームとサクセスチームがベタベタに連携せよ
3-1 プロダクトチームがカスタマーの声に触れる時間をサクセスチーム主導で作る
3-2 カスタマーデータからサクセスチームが洞察を抽出しプロダクトチームへ渡す
3-3 理想的なカスタマーの「人物像」と「成功への道のり」を一緒に作る
3-4 共有するゴール指標を最低一つ設定して進捗を定期的に確認し合う
→手放せない・外せないプロダクト
④データの統合・分析に投資し組織全体でデータをフル活用せよ
・CSの武器は人(CSM)ではなくデータからカスタマー一人一人を知り尽くすこと
・「先回り」ではなく「予測して仕向ける」ことが大事→究極のエフォートレス体験
→データからカスタマーの未来を創る
⑤カスタマーの手と知恵を生かせ(そのための基盤を育め)
・原則1〜4を実行する前提として必要不可欠なサクセスの組織能力
・組織のキャパを人材の質・量に依存させず青天井で増やせる「再現性」✖︎「急進性」の高い組織づくりが何より重要(事業のスケーラビリティは組織のスケーラビリティに大きく依存する)
【秘訣1:セルフサービス】質問などがある時に、問い合わせたりイベントに参加したりする代わりに、自分で調べて解決すること
【秘訣2:ピアツーピア】カスタマー同士の互助。質問などがある時に、売り手ではなく同じプロダクトを使う仲間の話を聞き教えてもらうこと
→これらが促進される優れた基盤をつくることに時間をかける
→スケーラビリティ構築力

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2021年01月14日

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