あらすじ
なぜ同じような境遇でも前向きな人もいれば、辛く苦しい日々を過ごす人がいるのか。出来事ではなく認知がストレス反応を生んでいる。そう、私たちが生きているのは「事実の世界」ではなく「意味の世界」なのだ。
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Posted by ブクログ
最近、イヤな出来事を引きずる。
自分の評価を気にしたり、マイクロアグレッションを思い出し、本当は仲の良い相手の嫌な面を気にし出したり。コントロールできれば良いが、かなりの頻度で無自覚に想起されて感情に引火する。次第に頻度が下がり忘れていくが、理性ではもっと早く切り捨てたい症状。だから本書を読んだのだが、そんな心境には、刺さる内容だった。
ー 愚痴っぽい人がネガティブな体験ばかりしているかというとそうではない。気分一致効果は記憶に刻む時点(記銘時)のみならず、記憶を引き出す時点(想起事)にも作用する。
ー 楽しい気分でいれば、楽しいエピソードを思い出しやすい。楽しいエピソードが記憶に刻まれやすい。逆にネガティブな気分の人は、ネガティブなことを思い出しやすく、記憶に刻みやすい。
ー ふとした瞬間に何気なく思い出すことを心理学では、無意図的記憶とか不随意記憶と言う。
ー 人生の意味も記憶が与えてくれる。日々の出来事やそれにまつわる思いを記憶に刻み、そのようにして作られる記憶を自伝的記憶と言う。ゆえに、エピソード記憶を失う事は、自分を見失うことである。
ー 同じ出来事であっても、異なる意味付けをするのは自分次第。自伝的記憶がポジティブかネガティブかは変えることができるのである。
ー 大切なのは、後ろ向きの意味付けをするのではなく、前向きの意味付けをすること。私たちは事実の世界の住人ではなく、意味の世界の住人であり、経験から意味を紡ぎ出すようにして生きているのである。
ー 日々を気分良く過ごすことが大切で、気分良く過ごしていれば、ポジティブな記憶が作られていくし、ポジティブな記憶が引き出されやすくなる。
記憶が人格を形成するというのは、ある程度分かる。同様に人格が記憶を意味づけする、という要素もあるので、半々だろう。意図的に楽しい思い出を作るとか、過去の楽しい思い出を思い出すとか、懐かしい場所をめぐってみるとか。無理やりにでもポジティブ演出をして、記憶の意味を塗り替えていく事が効果的、という事だ。
Posted by ブクログ
科学的根拠を踏まえつつ、前向きに生きていくためのヒントについて示した一冊。記憶と気分の関係性、過去の出来事をマイナスに解釈して「嫌な記憶」として固定化してしまう問題、「良い記憶」に塗り替えることの大切さ、記憶を整理してプラスに解釈するコツが説かれています。気分一致効果という用語が、ようやく咀嚼できたように思います。厳しくも優しい印象で、機嫌よく生きる方策とその効用が胸にストンと落ちる本でした。
Posted by ブクログ
人生を前向きに生きるためのヒントを示すことが本書の目的とのことで、どうしたら人生を前向きに生きることができるかの鍵を握るのが記憶であり、記憶の意味付けが大事だということが書かれている。
極論すると、記憶とはその当時の心理状況が大きく影響しているとともにそれを振り替える"今が幸せな状態にあるかどうか"が、大きく影響している。
後に振り返ってみたときにどういう
"意味付け"をするかによかって、その記憶がいいものになるか嫌な記憶になるかが決まる。
ポジティブな人はポジティブな意味付けができるから、思い出す記憶もハッピーなものが多く、ネガティブな人は悲しいシーンを思い出すことが多いため、辛い記憶ばかりと感じてしまうらしい。
章立ては次の通りだが、上述の内容が繰り返し書かれていて、正直、少し飽きてくる。
第1章 記憶を制する者は人生を制する
第2章 「そのままの自分」でいいわけがない
第3章 記憶は「今の自分」を映し出す
第4章 前向きになるための記憶健康法
第5章 心のエネルギーが湧いてくる記憶
第6章 記憶の貯蓄と記憶の塗り替え