【感想・ネタバレ】明治乙女物語のレビュー

あらすじ

選考会で圧倒的支持! 松本清張賞受賞作

西欧化の波が押し寄せる鹿鳴館時代。女高師で学ぶ咲と夏は、学校生活を謳歌していた。ある日、森有礼主催の華やかな舞踏会に出席した二人は爆発事件に遭遇。それは、明治を揺るがす事件の幕開けだった――。東京、横浜、下田を舞台に繰り広げられる青春ミステリー。選考委員の圧倒的支持を得た松本清張賞受賞作。解説・中島京子

*この文庫は、2017年7月刊行の単行本を底本にしています

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ここにいる少女も女性も、令和という新しい元号に変わって変わらない私たち女性と同じだ。
学問に秀でること、美しくあること、変えることの出来ない生まれ、性別。
恵まれた環境にいるはずの彼女たちが、コンパニオンのように鹿鳴館に呼びつけられて、あろうことか総理大臣の伊藤博文にセクハラをされる理不尽。
それなのに、自分に隙があったと、己を責め、男に生まれたかったと嘆く女性。
上質なミステリーであると同時に鏡写しのように現代も写し出しているこの作品。
素晴らしい一作です。

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2019年06月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

明治21年の女高師(現・お茶の水女子大学)の女学生を中心に、爆裂弾事件の真相を追うミステリー。
ミステリーとしての出来は単純で、謎解きの楽しみはそれほどでもないが、歴史小説としては素晴らしい。
特に情景描写が上手いのか、当時の情景が浮かんでくるような、自分が明治の街を闊歩しているような気分になった。

また、森有礼、大山捨松をはじめ、歴史上の有名な人物も多数登場するのが楽しい。
主人公の二人にもモデルがいるとのことで、駒井夏のモデルはラストで安井てつだと分ったが、野原咲のモデルが誰か分からず、調べたら野口幽香という人物らしい。
野口幽香、全く知らなかった。。。

そして何と言っても藤田五郎!
明治で藤田で警察官といえば!
元・新選組三番隊長、斎藤一!である。
この人も最後まで名字しか出なかったが、登場時からもしや?と思っており、終盤で事件の黒幕と対峙するシーンで確信した。
明治維新を生き抜いた元・新選組隊長に、そこらの旗本のボンボン崩れが敵うはずもなく……。
晩年は、女子高等師範学校の庶務兼会計係になったきっかけが、こんなところにあったとはw

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2024年03月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

時代の狭間で、自分の足で立ち始めた乙女たちの物語。そして、時代の狭間に生まれその大波に翻弄されてしまった者たちの物語。
何かあるとすぐバットを振り回す咲ちゃんが可愛かった。久蔵さんには本当に幸せになって欲しかった。つらすぎ。あと最初話のわかるやつかと思った森有礼が、国家の未来を見据える代わりに、激動の時代に翻弄される、小さき者たちへの視線に欠けていたことにガッカリだった。

個人的に会津藩には思い入れがあるのでフタ婆、藤田警部、桂あたりの葛藤に涙。

時々時系列と、あえて隠そうとする風景を描写する書き方のせいでよく分からなくなったとこもあるけど、全体的に好感触でした。

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2021年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

西洋文化華やかなりし鹿鳴館時代に、女高師で起こった爆発事件をめぐるミステリー。どこまでフィクションなのか分からないけど、史実がうまく織り込まれていて面白かった。警部の人、作中でははっきり書いてなかったけど!あの人じゃんね?!

西洋にまだ慣れない時代だから、という描写になってるけど、ニッポンジンの排他性は今も変わってねーなっていう感想…。
鹿鳴館時代の西欧化の反動から国粋主義が起こり戦争の時代に突入していく、という歴史の流れがよくわかった。なるほどなぁ。

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2019年07月20日

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