【感想・ネタバレ】ニセモノの妻(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

「もしかして、私、ニセモノなんじゃない?」妻と思ってきた女の衝撃的な一言で始まったホンモノの妻捜し。けれど僕はいったい誰を愛してきたのだろう(「ニセモノの妻」)。ある日、仲睦まじい夫婦の妻だけが時間のひずみに囚われてしまった。共に明日を迎えられない彼女のために夫がとった行動は――(「断層」)。その他、非日常に巻き込まれた4組の夫婦の、不思議で時に切なく温かな短編集。(解説・中江有里)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

表題作をはじめ、夫婦をテーマにした4つの短編を納める
相変わらず、ぞわっとするように現実が揺らぐ三崎ワールドが全開。4編いずれもはずれはないですが、「あなたとは傾きが違う」という名言?が良かった「坂」と、バカップルさが切なさと喪失感を一層際立たせる「断層」が好みでした
日常は奇跡的に維持されているもので、一瞬一瞬が貴重な瞬間であるということ。そしてそれはもしかしたら突然終了し、暗転してしまうことを否応なく認識させられ、それゆえ日々の大切さを忘れてはならない、ということを、あらためて実感させられます。

0
2019年03月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久々三崎さん。
主張が違う人、理解できない現象とやっていくために、自分の心とどうやって折り合いをつけるか…難しい問題です。
ここで描かれる主張はいやちょっと無理筋、みたいなものもありましたが。でも現実に「そうはならんやろ」みたいな説も目にするので、あまり変わらないのかも。
「坂」の主義主張大バトル面白かった。頓知か詭弁か。
お役所が杓子定規なところは、元公務員の三崎さんならではのリアリティあります。イラッとさせられる。
ラストを教訓めいた文言で締めてしまうんだな相変わらず…と思っていましたが、「ニセモノの妻」のブラックな終わり方は好きでした。「断層」は切ない。

0
2025年04月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

テーマが面白いです!
ただ、これで終わり?と少し物足りなく感じてしまう気持ちもありました…。
断層が1番面白かったです!
明るいテンポなのに、とても切なくて悲しくなりました…

0
2020年10月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

星3つは、最初の話の「終の筈の棲家」が星3つ。「ニセモノの妻」が2つ。「坂」が1つ。「断層」が4つということで、その平均(笑)
三崎亜紀は以前『鼓笛隊の襲来』というのを読んで、話のなんとも珍妙な設定がよくって。この『ニセモノの妻』もそれを期待したのだが、どの話も『鼓笛隊』ほどには珍妙さが足りなかった…、かな?(笑)

「終の筈の棲家」の星3つは、「最初だからこんなものか?」と評価はかなり甘くなっていると思う。
雰囲気は悪くないのだが、途中で出てくるエントランスの監視映像の少女のエピソードが投げっ放しで終わっちゃうところとか、かなり不満。

そこいくと、「ニセモノの妻」は最初の話より話が完成されているのだが、何か話が好きになれなかった。
たぶん、最初の話の不満が尾を引いたんじゃないかと思う(笑)
ていうか、この話。女性からするとどう思うのだろう。
消えなきゃならない運命にある、(女性である)“ニセモノの妻”が主人公の旦那(当然男)に対し、あまりにも従順、かつしっかりしているように思うのだ。
それは、まるで世の男どもが理想とする(かつての)日本女性のようで、妙に違和感があった(ありがちなフェミニスト的なつっかかりじゃなくってねw)。
もしかしたら作者はこの話を、(なんとなくのイメージとして)消えゆく、かつての日本女性像へのレクイエムとして書いたんじゃないか?なんて思ったり。
いや、最後に現れたホンモノがいいとかよくないとか、そういう意味では全然ないですのであしからず(笑)
ていうか、ここに出てくる“従順でしっかりしたニセモノ”が妻ではなく旦那の方だったら、女性はどう読むのだろう?また、男は「ニセモノの妻」と同じ気持ちで読めるんだろうか?とも思った。

「坂道」はつまんない(笑)
最後、やたらと話をいい方向にまとめちゃうところなんか、「くっだらねー!」のひと言(笑)
今の日本(人)って、いい話に飢えているようで、その反面いい話に辟易しているようなとこがあると思うんです。
それは、いい話やきれいごとじゃなきゃダメみたいな空気があるから生き辛くなっちゃうということを、みんな薄々気づいているからじゃないですかね(笑)
というわけで、著者にはぜひそんな話を書いてもらいたいな。

「断層」は上手い!のひとこと。
人間の幸せなんてものは、大好きな人(たち)とのバカ丸出しのコミュニケーションをいっぱいすることにある!ということなんでしょう。
特に男と女のコミュニケーションは、(親と小さい子供の関係を除けば)唯一バカを全身全霊でさらけ出せる関係なわけで、ま、なんだ。深読みするなら、作者は現代の恋愛事情について何か言いたかったのかな?なんて思ったり(笑)

全部、「断層」くらいの話だったらなーと、つくづく残念。

0
2019年01月14日

「小説」ランキング