【感想・ネタバレ】絶筆(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

この国に、戦前がひたひたと迫っていることは確かだろう――脳梗塞で倒れながらもいくつもの連載を持ち、作家として書き続けた12年。酒も煙草もやらずに過ごすリハビリの日々、混迷する現代社会への警鐘、自らの複雑な生い立ち、そして「火垂るの墓」にも描かれた敗戦前後の悲惨な体験。急逝するわずか数時間前まで書き続けた日記に、揺れ動く時代を浮き彫りにした最晩年のエッセイを収録。(解説・野坂暘子)

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Posted by ブクログ

野坂昭如氏が2015年末に亡くなっていた事を知った。彼の作品との出会いは、有名な火垂るの墓よりも先に「エロ事師たち」であった事は、今となっては私の黒歴史。耳や鼻やに男性器を挿入などの文章に大人の闇を除き、気持ちが悪くなったものだが、この辺は大人になった今も気持ち悪さは変わらず、自らの正常さに安堵。さて、その野坂昭如氏の絶筆、日記である。

率直に言うと、何気ない闘病、リハビリの日々が綴られるだけの遺作であり、この方のファンではない限り、つまらないかも知れない。ページ数多く、何を食べたとか、こんなニュースがあったとか、抑揚のないエピソードが2004年から続く。しかし、行間。垣間見える人となり、戦争の記憶。死を前にする人間から、感じ取れる事は多い。

テレビ出演も多かった同士。時の人。型にはめるコンプライアンスなどという言葉も生まれず、生き方の表現も自由な時代だった。一億総画一的経済人化。量産型文化人。
果たして、今の時代で、彼らは生きていけただろうか。

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2019年10月18日

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