【感想・ネタバレ】日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点のレビュー

あらすじ

偽装国家ニッポン!! いつからこの国は「嘘つき」だらけになってしまったのか? その驚くべき真相を最新の心理学が鋭く解き明かす! 心と文化をめぐる常識を次々と覆していくラジカルな日本社会論! ●構造改革が「安心社会」を崩壊させた●日本人とは「人を見たら泥棒と思え」と考える人々だった●「渡る世間に鬼はない」と楽天的に考えるアメリカ人たち●実は日本人は集団行動よりも一匹狼のほうがずっと好き●「心の教育」をやればやるほど、利己主義者の天国ができる●いじめを深刻化させる本当の原因は「傍観者」にあり●なぜ日本の若者たちは空気を読みたがるのか●どうして日本の企業は消費者に嘘をついてしまうのか●武士道精神こそが信頼関係を破壊する

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

挑発的なタイトルに思わず購入を躊躇いましたが、流石は山岸先生。文章は解り易く、そして現状分析に留まらずに先生独自の解決方法まで記載していて、文句なしに秀逸の作品です。
これからの時代には社会心理学がその地位を確かなものにし、そこから見える世界によってどう行動するか。そこが問われているような気がします…(少なくとも読後感は)。
『日本人は集団主義』『欧米人は個人主義』のステレオタイプが誰にでもあると思われますが、著者はそれを科学的手法を用いて否定。欧米人より日本人の方が個人主義的である。しかし、『みんなに合わせて行動する方がトクをする』もっと言えば『集団に合わせなければならない』外部環境にあると指摘。そこで現在の日本社会はエポックにあると述べています。
さらに上記の論を敷衍して、『安心』と『信頼』をキーワードに据え、いじめ問題や武士道精神について言及しています。
特筆すべきはいじめが起こる要因は傍観者の数にあると指摘している項。まさに瞠目に値します。
かの有名な糸井重里氏が、自身の運営するほぼ日刊イトイ新聞にて、『ほぼ日の母』と称する程の著作。やっぱり山岸先生は凄い!という事で、断然おすすめします!!

0
2011年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ここまで書いてある内容に「それは違うだろ!」とツッコミを入れながら読んだ本は珍しい。
それでも興味をもって読み切ったのは、同意しないけれど協調的に受け止めるという対話的な態度の成果だろう。
結局のところ、著者が判断の拠り所としている打算に基づく行動決定には、それだけじゃないだろとか、囚人のジレンマの実験で一匹狼を選ぶのは他人を信頼できない場合のほかに、他人に迷惑をかけたくない、かけるかもしれない自分が嫌という理由もあるのでは、などと納得できない部分も多くあった。
だたし、日本における「安心社会」の崩壊と「信頼社会」に行けないメンタリティの提示は興味深く読んだ。
著者は「信頼社会」への移行を流れとして考えているようだが、欧米の「信頼社会」も決してハッピーではない状況の中、混用してはいけない商人道と武士道のメンタリティの他に道があるのか、それとも両者の使い方に活路があるのか、意識のステージを上げてもらった。
11-87

0
2011年12月03日

「雑学・エンタメ」ランキング