あらすじ
異星人との遭遇は人類の結束ではなく、激しい不信と分断をもたらしてしまっていた。ヴィンセントはアメリカと激しく対立するロシアにテーミスを引き渡すことを決断。一方、ヴィンセントと決裂したエヴァはロシアからの脱走を図るが、真冬のバルト海上で襲撃を受けてしまう……。テーミスの故郷の惑星での9年間に、ヴィンセントとエヴァたちに何が起こったのか? 人類同士の争いと全面核戦争を食い止めることはできるのか? テーミスとラペトゥス、2体の巨大ロボットが地球と全人類の存亡を賭けて今、激突する……。物語はクライマックスへ!/解説=大野万紀
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Posted by ブクログ
モキュメンタリー文体で描かれたSF、第3部。
SNSの実況に通じると看破した解説に、さもありなんと頷く大作だった。文句なしの星5つ。
ただ、解説にて(意図的に書かなかったのか?)書かれなかったことだが、地球で起きた『収容所をめぐる一連の、非科学的極まりない差別』は『遺伝子』だけでなく『宗教、民族』もそこにふくんでいる。
主人公の一人に「わざと」自国の自主独立を主張させたり(少しぐらいそういう事を言わないと、という計略)。
サイコパスのようで実は切れ者の女性キャラに、ボスニア・ヘルツェゴビナの話をさせたり。
作者シルヴァン・ヌーヴェルは間違いなく、SFを語っている。
もちろん、オタク小説にありがちな、そして読者が期待する趣味に走った部分(エヴァの名前の由来とか!)も盛り込んでいる。
それと同時に、私たちを取り巻く世界にはびこる不平等、意図的に愚かであることを選択する愚行を描いている。
SFとしての芯の太さ、オタク向け小ネタ、そして現実の世界に対する作者なりの考察(を、決してお説教にならないように書く力量!)。
この3つが密接に絡みあい、本作は魅力を増している。
唯一お気を付けて頂きたい点:読みはじめると、読み止めるのが難しい。食事や水分補給を忘れずに読むことをオススメする!
Posted by ブクログ
巨大ロボの発見、起動実験、異星人の侵略者との人類存亡をかけた戦い、と王道を進んできたのにいつの間にかただのチープな親子喧嘩に。
異星人の文明が悪い意味でスペオペ的で、マンネリだったのもマイナス。大いに中弛み。
すげえラスボスとの死闘とかド派手な世界大戦とかエンタメに完全に振り切っても良かったのでは。