あらすじ
ハリウッド関係者が全員読んでいるストーリーテリングの必読書であり、19カ国語で翻訳された物語創作のバイブル『Story(原題)』が新訳でついに刊行!
伝説的シナリオ教室の講師が、あなたの創作人生を変える!
ロバート・マッキーは30年間世界中を飛び回り、脚本家、小説家、劇作家、詩人、ドキュメンタリー作家、プロデューサー、演出家を育成してきた。受講生には数多くのアカデミー賞・エミー賞受賞者がおり、門下生にはピーター・ジャクソン監督やピクサーの脚本チームが名を連ねるなど、ハリウッドの脚本家たちにとってマッキーの講座は成功するための登竜門となっている。
この伝説的なセミナーの内容を一冊に凝縮した本書では、脚本家が学ばなければならないストーリーの普遍的な「型」を解説するとともに、キャラクター造形の方法、または物語に必須の「事件」の描き方とその設定の仕方を徹底的に掘り下げている。特に、読者が目から鱗が落ちるように感じるのは、これまでの「脚本術」ではストーリーとキャラクターは別々であるかのように扱われていたフシがあるのに対し、本書が「ストーリーの構造とキャラクターとは等しいものである」と強く主張する点ではないだろうか。さらに、ストーリーを創作する上で物語の内容にふさわしい「形式」をどのように与えるか(選択するか)ということを詳説している。
本書では、セミナーの内容をマッキーの熱弁のまま再現しており、その切れ味鋭い断言の数々は読む者に疑問を抱かせる余地はない。
本書で論じるのは原則であって、ルールではない。
本書で論じるのは永遠に変わらない普遍的な型であって、公式ではない。
本書で論じるのは元型(アーキタイプ)であって、紋切り型ではない。
本書で論じるのは綿密さであって、近道ではない。
本書で論じるのは現実であって、執筆にまつわる種明かしではない。
本書で論じるのは技術の習得であって、市場の予測ではない。
本書で論じるのは観客へのリスペクトであって、侮蔑ではない。
そして、読者にとって一番気にかかる不安にも断言している。
本書で論じるのは独創性であって、模倣ではない!
ストーリーに必要な「型」を学ぶことによって、真のオリジナリティを引き出す技術は、脚本家だけでなく、小説家、ジャーナリスト、ノンフィクション作家、あらゆるタイプのストーリーテリングに新たな視点を提示する至上の手助けとなるだろう。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
体系的にまとめられていながらも、この本自体のストーリーテリングが軽妙で楽しい!
プロットに対する思考がスパッとインストールできて、
映画や本を新しい視点でも楽しめるように。
読書好きの皆さんにもおすすめかもしれない。
Posted by ブクログ
圧巻。
帯にあるとおり、まさにストーリー作りのバイブル。
著者の知識量がすさまじく、そこから引き出される方法論に圧倒される。
これを読めばストーリー作りが上達する、という簡単なものではないけど、ここが土台なのは間違いない。
人前で話をする全ての人に読んでもらいたい。
この本を手にとったきっかけは、昨年プレゼンスキルを向上させたくて何冊か参考書を読んだときに、必ずこの本が紹介されていたから。
プレゼンで大事なのはストーリーで、ストーリー作りに関してはこの本に書いてある、的な紹介。
本当にそのとおりだった。
読むのに1ヶ月かかったけど、それだけの重みがある一冊。
人生で何度も読み返したい。
Posted by ブクログ
もちろん、これを読んだからといってストーリーテラーの才能が開花するわけではない。でも、文章を書く仕事をしていると、なんでもいいからもっといいものが書けるようになりたくて、こういう本にも放浪したくなる。で、最後に、簡単じゃないねってことに気がつく。
Posted by ブクログ
物語の創作を目指す人にはとても良い本だと思う。
脚本を書くための理論を丁寧に解説してくれてるし、何より実例があるのでイメージしやすい。
(ルールではなく原則、公式ではなく普遍的な型、紋切り型でなく元型が論じられているとのこと)
ただ、私は映画ファンというわけでもなく、作品も知らないものが多くてピンと来ないところも多かったが。
海外ドラマで、構成や展開がぐいぐい引き込まれるものが多いなと感じてるけど、やっぱりこういった理論をベースに練りに練った脚本なんだろうな。やっぱりどんなものでも理論って大切。まぁ、それだけでもダメなんだけど。
人の数だけ人生があるように、映画の数だけストーリーがあるはずではあるが、その中でもざっくりと類型化できるらしい。構成、設定、ジャンル・・・等々。その辺りをわかりやすく書いてくれているのが映画初心者の私には有難かったし興味深かった。
また、構成の違いを知ることにより、自分がなぜその映画が好きなのか?また好きな映画のパターンを知ることができた。これはなかなかの収穫だったと思う。
読書メモ
・設計における3つの型(プラスアルファ)
①アークプロット(古典的設計)
能動的な主人公が自らの欲求を達成するために、主に外的な敵対勢力と戦う。ストーリーは連続した時間に沿って、因果関係の明瞭な矛盾のない架空の現実の中で展開し、絶対的で不可逆のクローズド・エンディングへと向かっていく。
②ミニプロット(ミニマリズム)
内的葛藤、受動的な主人公、オープン・エンディング。
③アンチプロット(反構造)
時間が逆転したり、交錯したり、分断される。偶然、断片化、空虚、不条理。
④ノンプロット
人生が停滞したままで弧を描かない。ただの描写。
・エンディングにおける2つのタイプ
①クローズド・エンディング
絶対的で不可逆の変化が起こって、そこまでに提示された疑問の全てが解決され、観客の感情をすっかり満たすクライマクス
②オープン・エンディング
一つか二つの疑問が解決しないままで、満たされない感情が少し残るクライマックス