あらすじ
植物の常識に照らすと、生態が少し奇妙なイネ。だがそれゆえに、人に深くかかわりその生活や歴史までも動かしてきた。イネとは何か、なぜ人を魅了してやまないのだろう。その秘密にせまる。
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文句なしの満点。分かりやすく興味深い内容。稲にまつわる情報が網羅的かつ簡易にまとめられてる。日本人と米の関係は深いものだと改めて感心した。令和の米騒動まっただ中のいま、日本人全員が読むべき良書であろう。
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軽い気持ちで手にとった1冊。
イネという,身近すぎて深く考えたことがなかった植物のいろいろな面に気づかせてくれた。
アミロースとアミロペクチンの分子構造の違いから,うるち米ともち米の腐りやすさや消化のされやすさが違う点はとても面白い。
科学的なアプローチだけでなく,歴史的,社会的な視点で考えるところも面白かった。
江戸時代の1食は1合(150g)。3合で1日分。1日分の米(3合)をつくるのに必要な面積を1坪。1人が1年間(昔の歴では360日)で食べるお米(=1080合)を1石。「加賀百万石」といったら,100万人の人が1年間生きていける分のお米をつくる生産力があるという意味。知らなかったなぁ。。。
日本人がお米とともに生きてきて,そのお米の良さを再確認。
ちょっと大げさだけど,日本人であることに誇りを持てる内容でした!
Posted by ブクログ
イネを科学、地理、歴史の切り口で解剖すると、文化が稲作とともにあったことがわかる。
お酒づくりに対応して、
お米づくりについても知りたいと思い手に取った本だったが、
期待以上の内容と面白さだった。
イネがいかに特殊な植物であるか、
日本の風土における田んぼの役割とは、
地理・歴史・文化は稲作とともにあったこと、
と、口語でわかりやすく説明されている。
情報の多さも、
それだけ密接な関わりがあるということとして伝わってきた。
繰り返しのフレーズが多いのはご愛嬌。
Posted by ブクログ
稲垣さんは植物学者なので、初めのイネはそもそもどんな植物なのか、というところが専門的で詳細に書いてあり、ある意味ここが一番難しい(と言っても読めばわかる)が、後半はイネと日本史、イネと日本人という内容がざっくりと書かれており、大変わかりやすい。
なぜふつうの白米よりもち米が白いのか、餅はごはんよりすぐお腹いっぱいになるのに、お腹が空くのも早いのはなぜか(まあ、消化がいいんでしょ、程度に考えていた)というような、素朴な疑問も全て解けた。
日本の田舎の風景とヨーロッパの田舎の風景を比較すると、ヨーロッパは広々として家も点在してるのに、日本はちまちまと寄り集まっていてかっこ悪いような気がしていたが、これもコメの作物としての優秀さを表しているそうだ。麦は連作障害が起こるため、牧畜を挟まないといけない上、コメと比較すると収量が低いので(15世紀で、撒いた種の3~5倍、コメは20~30倍。現在では麦は20倍、コメは110から140倍)面積を広くせざるを得ない。
稲は少ない面積でたくさんの人を養うことができる。だから日本の農家は寄り集まっている、というわけ。
ではなぜコメは連作障害が起きないのか、という理由も書いてある。
狩猟採集生活から稲作への転換で、貯えることのできる「富」としてのコメをたくさん持つことが権力となったことや、日本ではほぼ通貨として使われた訳など、コメがどれほど日本の歴史に大きく関わっているかがよく分かった。
この本を読んで初めて知ったことも多かったが、読み終わって、いや、これは日本人として、知っておかなければならない基礎知識だよな、と思った。こんなことも知らないで今まで生きてきたとは情けない、という気持ちになった。
とても読みやすく面白いので、日本に住んで、コメを主食として生きている人は読むべき本。
Posted by ブクログ
稲垣先生の本は、以前、読んだことがあり、そこそこ面白かったので、この本も読んでみました。
めちゃくちゃ面白かったです。
期待を遥かに超えましたし、以前読んだ本は完全にかすんでしまいました。
植物としてのイネ、食物としてのイネ(米)、貨幣の代わりとしてのイネ、イネの歴史、稲作の歴史、日本史とイネ(米)の関係、どこをとっても面白かったです。
日本人ならば是非読んでほしい、自分にとっては、そのぐらいレベルの高い1冊です。
Posted by ブクログ
自分は農学部出身なので、日本で最も重要な栽培植物であるイネについては一定のことは知ってるつもりだったけど、前半の部分は復習もかねて整理できてよかった。
後半はまぁ、1つの切り口として面白かったかな。
日本の国づくりの基本
日本が古来より国づくりの基本としてきたコメ、イネについて広範囲に分かり易く読みやすく書いてある。
単に植物学的な観点からだけではなく、日本史との絡みも書いてあって面白い。