【感想・ネタバレ】祐介・字慰のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年12月26日

クリープハイプ・尾崎世界観さんの、まさにエピソード・ゼロ。
何をやってもうまくいかなかった頃の物語を、五感フルマックスで、緻密に綴っている。
エッセイではないので全て事実というわけでないけれど、退廃的で強烈な出来事ばかり。

———あらすじ(公式より)———

「俺は、俺を殴ってやろうと思ったけれど...続きを読む、どう殴っていいのかがわからない。」

スーパーでアルバイトをしながら、いつの日かスポットライトを浴びる夢を見る売れないバンドマン。ライブをしても客は数名、メンバーの結束もバラバラ。恋をした相手はピンサロ嬢。
どうでもいいセックスや些細な暴力。逆走の果てにみつけた物は……。
人気ロックバンド・クリープハイプの尾崎世界観による、「祐介」が「世界観」になるまでを描いた渾身の初小説。
たったひとりのあなたを救う物語。

———感想———
面白いというより、ヤバいという言葉の方がしっくりくる。
めちゃくちゃヤバい。強烈。
祐介のセリフ、行動には全く理解できないものもあるし、筋が通っているわけではないけれど、なぜかしっくりくる。どこか哀愁もある。
共感より、そんな感情もあるのか、そんな行動をとるのか、と気づきの方が遥かに多かった。

僕は共感より発見を求めているし、未だ味わったことのないものに出会いたいタイプなので、かなり刺さった。
アルバイトの日々、バンドメンバーとの確執、認めてもらえないことへの怒り、夜行バスと京都でのクライマックス、どれも強烈で印象的で、頭の中に一度描いた映像がずっと消えずに鮮やかに思い出せる。静かな怒りをずっと感じながら読んだ。

文庫版にだけ収められている『字慰』もヤバい。
タイトルからは物語が想像できず、読んですぐ意味がわかった。
ラストシーンはかなり笑ってしまった。

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Posted by ブクログ 2021年02月08日

今をときめくバンド"クリープハイプ"俺はずっと追っかけてきた。周りに「俺昔からこのバンド知ってたよ」って胸を張って言えるくらい…。

何かのインタビューやら、MCやらで知っていた話もあるけど、その裏側やその時の気持ちはここで初めて知った。
相変わらず素晴らしい感性で素晴らしい言葉...続きを読むを使っている。
それは小説だろうがクリープハイプの曲だろうが変わらない。
ここまで(少しフィクションも入っているらしい)自分を切り開いてヒラメのごとく他人に曝け出せることは実は勇気がいることで、他人の目を気にするあまり尖り散らす気持ちも分からなくないし、当時の曲からその気持ちが痛いほど伝わってきた。この本を読むと少しだけ自分を曝け出す大切さや勇気をもらえる。

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Posted by ブクログ 2022年02月06日

内容に反して読みやすく、一気に読んだ。こんなに汚いのに惹かれる。
ラストの展開がよい。終始主人公にはセリフがないのだが、ラストで初めて言葉を発した。解説にもあったが、主人公、ひいてはこの著者の「はじまり」を感じた。

ピンサロ嬢の瞳ちゃん、唯一好きになった人物。

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Posted by ブクログ 2021年04月08日

すごく気持ち悪い文体で面白かった。
賛否は分かれると思うけど個人的にはすごく好き、読んでて楽しかった
クリープハイプ最近ハマってるし

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年11月10日

祐介の最後に出てきて物語を大きく動かす人物、めぐみちゃん。の文字が欲しい小学生の僕。他人の何かを徹底してつき止めたらもう自分には戻れない。あらゆる手を使ってでもなりたいものがある子供の頃に戻りたくなった。どんどんエスカレートしてく行動と、最初はひらがな混じりの文面だったのが、他人に染まっていくので...続きを読む増える字面の漢字。書いてる時が気持ちよくて快感で狂気じみてるなんて、まさに字慰。握ってる鉛筆をソレに例えているのも面白い。

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Posted by ブクログ 2023年11月18日

尾崎世界観ってタモリ倶楽部で聞いた覚えがあるなと手に取った。「祐介」は文学系な小説で、エロくてクズなバンドマンの私小説っぽい作品。文章も重くて微妙なところもあったが、最後まで読めた。「字慰」は設定が妙な文芸作品という感じ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年12月06日

「ガッガッガッガッガッ」
頭を打ち付ける度に、ドアが音を立てる。額が熱を帯びて、次第に痛みが無くなっていく。一定のリズムはグルーヴ感を生み出して、思わず本来の目的を忘れてしまいそうになった。


人が秘めた暗さのかき集めだった。
幸せなことより不幸せだったことのほうが強く胸にのこる。
トラウマや教訓...続きを読むとして今なおわリピートしつづける。
夢ですら繰り返す。
どこかでみたような既視感で。
そうだ、自分の記憶に似た暗さを感じたんだ。


みそラーメン。

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Posted by ブクログ 2021年10月23日

おおきな提灯を目印にして 日本家屋かおく 畜肉の欠片が物悲しそうに泳いでいる ふぁんふぁれ 不細工な激励の言葉 その状態に陥ったまま停滞してしまったというような 厭らしさは秀逸 生々しい人間から飛び出したあたたかい吐瀉物 緑色の痰を吐き出した主人公 物語は発酵し

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Posted by ブクログ 2021年10月06日

 先日読んだ『火花』の又吉さんがアメトークの読書芸人で薦めていて、『コンビニ人間』の村田沙耶香さんが解説を務めている。『火花』は売れないお笑い芸人の話だったが、本作は売れないバンドマンの話なので、又吉さんには共感するところが多かったのかもしれない。
 実際に共通点は多く、特に売れないことによる貧困の...続きを読む苦悩は頻繁に描かれていた。お笑い芸人は収入がないだけで済むが、バンドマンはライブハウスを借りる費用もあるので活動するほどマイナスになるとも。
 しかし、『火花』では貧困の苦悩と同じくらい芸の追求についても触れられていたが、『祐介』では金銭的余裕がないことから活動の幅が狭まり、音楽に対しても思うように向き合えない苦しさがあった。熱量は失われつつあるが、音楽に対しては一応まじめな思いがある。ただ、一応音楽で売れたい夢はあるが、今となっては売れるしかないというような夢に囚われる形になってしまっている。なんとか進もうともがいて活動の幅を広げてみてもうまくいかない。
 その苦しさは怒りに変わり、周囲の人間に当たり散らしてしまう。つらいのはわかるが、正直この素行の悪さを見ていると、売れないのは日ごろの行いが悪いからだと思ってしまいそうになる。祐介の周りに彼を救う人間がいないように、多くの読者も彼を見放すことだと思う。
 それでも、と自らを奮い立たせようとするラストシーンでは高潔さが見えた。著者の尾崎世界観はクリープハイプというバンドで活躍していて、本作は彼の半自伝的な内容らしい。多くの競争相手がいて、その中で生きることさえ苦しい世界からどう這い上がったか。読者にはバンドのファンが多いので評価がやや高めな傾向にはあるが、単なる芸能人本とは切り捨てられない小説だった。

 文庫版で書き下ろされた「字慰」は、同級生の女子が書く文字に恋をした小学生の男の子の話。とてもきれいな文字に惚れて、同じ文字を書きたくて練習し続け、ついに彼女と同じ文字が書けるようになる。しかしある時その女の子が別の男の子に手紙で告白したことを知ってしまう。彼は受け取った男の子に手紙を見せてもらい、その文面を覚え、宛名を自分の名前に変えて全く同じ内容の手紙を書き投函する。
 うーん、怖い!彼が恋したのは彼女の文字なのか、文字を通した彼女なのか、それとも文字に注目するあまり別のものを見てしまったのか。
 本当はいいところを持った相手自身を好きなはずなのに、その特徴に注目しすぎて、そこが少し変わっただけで相手への気持ちが変わってしまうことってあるなあ。

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Posted by ブクログ 2020年10月31日

怒りと嘆きに敏感な物語だった。臭いに対しても顕著で、ある人たちにとって昇華された作品だと思った。良い意味で汚い。でもそれがまた小説なのにリアリティのある人間らしさがあった。ぼくは救われなかったけど。

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Posted by ブクログ 2019年07月07日

クリープハイプの尾崎世界観さんの書。「祐介」が「世界観」になるまでの小説・・・

私はクリープハイプの特別なファンというわけでもなく、単純に本屋で手に取っただけなので普通の小説として読ましていただきましたが、最初の素直な感想は「なんだこれ、エグい・・・気持ち悪い・・・」でした。様々なことにたいして、...続きを読むその都度まとわりつくような文章が続き正直やられました。これ以上続くのであれば正直途中で読むのをやめていたと思います。

言い方を変えれば濃密で濃厚な作品。まあこういってはなんですがよくある売れないバンドマンの感情をぶつけていけばこうなる、というものを尾崎世界観にするとこうだ!といっているような作品、ですかね。

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