あらすじ
巷説寛永御前試合は虚構である。
事実は、秀忠の次子・駿河大納言忠長の御前で行われた十一番の真剣試合が、その下敷きとなっている。
その日、駿河城内には腥風悽愴と荒び、戦国生き残りを賭ける武芸者たちは、だが、無骨さゆえの生きざまが宿痾となって、だれもが破滅の淵へと疾走し、血海に斃れていった。
日暮れ、人去った城内は寂として声なく、人心の倦厭の気のみ残されていたという。
時代巨篇。大人気コミック「シグルイ」(漫画/山口貴由)の原作小説!
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Posted by ブクログ
・マンガのシグルイを読んだので、興味があった
・無明逆流れ以外の試合は、あまり面白くないのかなと
勝手に思っていたけど、そうでもなかった
無明逆流れほど、奇想天外な剣術は出てこないけど
どの試合も見どころがあったと思う
・試合で生き残った人が最終的に全員死ぬのは
そこまでやるかと思ったけど
・家名、女性、名誉などが原因で、結局みんな死ぬのね
Posted by ブクログ
シグルイの原作と聞いて読んでみた。
わずか40ページ足らずの1章「無明逆流れ」が、該当する部位のようだ。
だいぶすっきりと話がまとまっていて、虎眼先生は健康だし伊良子はただの色男みたいな感じだった。
それでもやはりあの異様な剣の構えはそのままで、文章においても奇怪な雰囲気が存分に伝わってくる。
御前試合11番ということで一つ一つの話は短いけれど、その他の章に関してもドロドロした女絡みの愛憎が物語を引き立てる。
句点がくどいほど多用されていたのは少し気になりつつ、読みやすいとは思った。
思っていたよりもずっと救いのない結末だったな… 。
美人に斬りつけられるのが気持ち良すぎて、とか。
とどめの一手を峰打ちにしていたはずなのに、とか。
けっこう皮肉な展開が多く、
しかも女に惑わされ道を踏み外す男も多くて「やめろー」と言いたくなる。
「無残卜伝流」から「剣士凡て~」にかけては、
ラストスパートともいえる見事に無残な展開が押し寄せてきて、最後は「ほぅ」っと溜息をついて本を閉じることになった。
藤木さん報われなさすぎ。
Posted by ブクログ
かつて駿河城(駿府城)徳川忠長公の御前で催されたとされる、漫画「シグルイ」の原作である「無明逆流れ」を含む真剣勝負11試合を描いた短編集。
武技を究めたる剣気盛んな剣士が対峙すれば、血沸き肉踊り、互いの奥義の交錯の果てに残るは血煙と血だまりに浮かぶ酸鼻極まる骸のみ。
鍛錬に心血を注ぐ屈強な剣士たちがたった数ページで凄惨に破壊される様はとても暴力的であり、最後まで徹底した容赦のなさは
登場人物たち武芸者が封建社会の駒であり君主の娯楽の一部でしかない悲惨さを強調します。
登場人物たちは破滅的な結末を演出するがために個性豊かで多種多様な剣術とドラマを持つ魅力的なキャラクターとして描かれているのです。
あまり人に薦められる作品ではありませんがとても刺激的で面白い作品でした。
登場人物の中では「被虐の受太刀」に登場する美形の対手(男女問わず)に斬り付けられるのが性癖のド変態剣士が印象に残っています。