あらすじ
文化遺産に登録されたことで、世界の人々から注目を集める「日本食」。
本書は、日本の食事に息づく「精神」や「美意識」について、しきたり、作法、ルーツなどの切り口から解き明かす。
ビジネスでは今後もグローバル化が進み、自国のアイデンティティーをますます問われる時代になる。
ビジネスマン向けの教養本として、食にまつわる伝統文化を紐解き、日本人としてのルーツを探る1冊。
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Posted by ブクログ
「教養としての」と銘打つだけあって、日本食
に関わるウンチクが満載です。
「いただきます」という作法から始まり、様々
な食材のルーツ、なぜこれを食べる習慣がある
のか、などバランスよく日本食全般を学ぶこと
ができます。
「お通し」とは「注文は帳場に通しました」
「料理ができるまで、これをつまんで一杯や
ってください」という意味で出す酒菜が語源
です。
誰かに語りたくなる一冊です。
Posted by ブクログ
一膳飯は無作法。通夜のものと同じ。
お通しは注文を通した、の意味から。
和食は一汁三菜。なます、焼き物、煮物。
日本では左が上位。ご飯が汁物より上。左大臣の方が右大臣より上位。
炊飯には炊き蒸しと湯取りの二種類がある。炊き蒸しは日本独特。水が多いときは煮る、すくなくなったら蒸す。火を止めてもすぐに蓋を取らない。湯取りは茹でたあと米を洗って粘りを取る、その後に蒸す。インディカ米煮物適している。
炊き蒸しはアルファ化したデンプンを閉じ込める。湯取りは洗うので流される。冷めるとアルファ化したデンプンがベータデンプンに戻る。
かつれつの語源はフランス料理のコートレット。
会席料理は懐石料理や本膳料理をカジュアルにしたもの。
本膳料理は本膳、二の膳、三の膳などすべての料理が並べられたもの。
懐石料理は茶席の前に一品ずつ出される軽い食事。
修行僧が懐に温めた石を入れて空腹をしのいだという逸話が語源。
会席料理は出し方も自由。決められていない。
刺身は、食べる順番に左手前から並べられている。
山水盛り。敷きつまは食べない。
カツオのたたきは包丁でたたいて塩をつけたところから。山内一豊が生を禁止したところからあぶる。
藁には油があって、火が一気に燃える。
鳥は卵とフンが同じところから出るので、サルモネラ菌が卵につきやすい。日本は生食を前提としてあるので賞味期限が短い。外国では2か月くらい。
海苔は帖と数える。21×19を全型、10枚で一帖。
Aオリゼー(黄麹菌)は日本独特のもの。人の手で作った麹菌。日本酒、味噌、醤油をつくる。
白味噌はメイラード反応を抑えて塩を少なめ。
赤味噌は大豆を蒸す、白味噌は大豆を茹でて作る。西京味噌が有名。
だし入り味噌は、急速加熱冷却を繰り返してできる。
ラーメンのルーツは南京そば。来々軒が醤油味スープを作った。
日本酒は麹菌が発見される弥生時代の前は、唾液の力で発酵させた。
日本酒度=比重。水をゼロとしプラスが10~マイナス10まで。辛口が10、糖分が多いと―10.
酸度=多いと辛口、少ないと甘口。
アミノ酸度=アミノ酸が多いとコクがある。
米のたんぱく質は、日本酒では雑味になるので、酒用のコメがある。水は、硬水のほうが発酵が進みキレが出る。灘の宮水は、硬水。
江戸時代、各地の産品は大阪に集まりその後各地に運ばれた。酒は杉樽に入れらていたため、運ばれている間に杉の香りが移った。江戸には大阪から半月かかるため、杉の香りが付いた酒を愉しむため、濃い味が好まれた。茨城の大豆、下総武蔵の麦、行徳の塩で濃口醤油の生産が始まったのも一因。
漬物は、塩分はさほど多くない。健康にプラスに働く面も多い。
ごぼうを食べるのは日本だけ。ビタミンを体内で生成させる。食物繊維は群を抜いている。漢方薬として使われている。
お屠蘇の始まりは薬酒。御屠蘇。
鉄火巻きはばくち場=鉄火場で食べられた名前。サンドイッチと同じ。
もんじゃ焼きは文字焼きがなまったもの。文字焼きは江戸時代に生まれた。葛飾北斎の絵にもある。
たこ焼きはルーツはラジオ焼き。こんにゃくが入っていた。明石の玉子焼きの真似をしたのがタコを入れた始まり。
納豆は稲わらに納豆菌がある。
やきとりと焼き鳥は異なる。やきとりは鶏肉以外のものも含まれる。
ハヤシライスはハッシュドビーフが訛ったという説、丸善の創始者である早矢仕勇的(医者でもあった)が作ったという説、上野精養軒の林シェフが最初に作ったという説がある。
カレーは日本海軍が栄養バランスを考えて英国海軍のメニューを習って考案された。
肉じゃがは、東郷平八郎がビーフシチューをリクエストして偶然つくられたもの。
羊羹のルーツは、羊肉のスープ。
おせち料理の起源は節句に出された料理。1年に5回あった。
マグロは江戸時代は不人気。ネコマタギといわれネコも食べないといわれた。脂身が多いトロは捨てられた。保存技術がないため。
ふぐは当たれば死ぬからテッポウ。
すき焼きは、鍋なのに焼きと呼ばれる。もともといろいろな肉を焼いたもの。
コロッケの語源はフランスのクロケット。もともとはホワイトソース。日本人は乳製品に弱いので、ジャガイモが使われた。
ういろうはお菓子と薬がある。もともとは中国の官職名。
キャラメルは、最初は禁煙用品だった。大正3年のこと。
Posted by ブクログ
・おかわり
通夜の席で、茶碗にご飯を高く山盛りにし、真ん中に箸を揃えて垂直に
立てることを「一膳飯」と言う。
ご飯を一膳だけで終えるのは、通夜を連想させるため、ご飯をお代わりする
ほうが礼儀にかなった振る舞いとなっている。
・お通し
お通しは、客の注文が帳場に通ったことの証として提供されている。
・寿司
「酸っぱい(酸し)」という意味から名づけられている。
元は、魚の保存性を高めるために、塩とご飯の中に魚を付けて発酵させた
保存食だった。
手で食べる際は、親指と中指で寿司の両脇を挟み、人差し指でネタを軽く
押さえて裏返して、ネタの先端に少しだけ醤油をつけるのが作法。
これは、ご飯に醤油をつけるとほぐれてしまうのを避けるため。
・日本酒
正宗→臨済正宗(リンザイショウシュ)の正宗の音読みが清酒と似ていたため
語呂合わせで名前が採用された。
・器の位置
食べる人から見て、左手前がご飯、右手前が汁椀。
これは、日本では古くから、左のほうが右より上位にあるという考えがあるから。
(例:左大臣>右大臣)
・箸
個人で箸を所有する文化がるのは日本だけ(銘々箸)。
これは、箸が神が宿る依代とみなされ、箸を使った人の魂も宿ると
考えられたため、この文化が定着した。
・割り箸
割り箸は、食べるときに割って使うことから「引裂箸」と呼ばれる。
これは、食べるときにお客に自ら割ってもらうことにより、その箸が
未使用であることを示すためである。
日本の箸は木製で煮沸消毒に向かないため、衛生上この文化が根付いた。
・米
炊き立ての米がおいしいのは、主成分であるでんぷんの特徴によるところである。
生米は、水に溶けにくくおいしくないものの、保存には向いているβでんぷんの
状態で、それを加熱することにより、おいしくなるが、保存には向いていない
αでんぷんになる。
・カツオのたたき
カツオのたたきとは、表面をあぶることではなく、あぶった後に包丁の背でたたく
調理法のことを指している。
昔、塩が高価な調理法であったため、少量でもまんべんなく身に馴染むように
包丁でたたいた。
・卵
世界の一般常識では、「卵は加熱して食べるもの」。
これは、鳥の排卵個所は、糞尿の排泄箇所と同じため、腸内のサルモレラ菌が
付きやすいためである。
日本では、徹底した卵の品質管理がされているため、生でも食べられる。
・海苔
1帖、2帖と数える。
・日本酒
日本酒の味を判断するポイントは、日本酒度、酸度、アミノ酸度の3つである。
・味付け
一般的に、東日本では濃い味、西日本では薄味を好むと言われている。
元々江戸は幕府開設以来、武士と肉体労働者の集まる都市で、
特に塩化ナトリウムを豊富に摂取できる、塩分の濃い味が好まれてきた。
一方関西では、北前船によって大量の昆布が入ってきており、
その影響から出汁の味を濃厚に使う出汁文化が栄えた。
・果物
水菓子とは、フルーツのこと。
日本では、木になる果実を「果」、草の果実を「菓」と言っていた。
和食には、デザートという概念がなく、最後に出てくるのはあくまでも
フルーツである水菓子。
これは、和食には糖分がしっかり含まれているため、食後にデザートとして
甘味を必要としなかった。
・ごぼう
ごおう自体にはビタミンはわずかしか含まれていないが、腸内のビタミン生成
を助けている。
・枝豆
大豆の未成熟な状態。
枝豆は栽培しやすく、昔は田の畔に植えられていたことから、「あぜ豆」と
呼ばれていた。
豆を鞘から取ると急激に鮮度が落ちるため、枝付きで売りまわっていたことから
「枝付き豆」と呼ばれ、省略して「枝豆」と呼ばれるようになった。
・懐石料理
いつも空腹で困っていた禅寺の修行僧たちが、懐に温めた石を入れて、
お腹を温め凌いでいたことから、「会席料理」が「懐石料理」に漢字が変化
していった。
・佃煮
摂津の国の佃村の漁師によって生み出された。
・鉄火巻
花札などの博打で熱くなる人が集まる場所を鉄火場で定番メニューとなった
ことから、「鉄火巻」と呼ばれるようになった。
海苔巻きにすると手が汚れず、賭け事を中断せずに食べられることから鉄火場で
流行った。
・たこ焼き
たこ焼きの元は、大阪で明治から大正時代にかけて流行した「ラジオ焼き」。
元々、主役としてコンニャクが入れられていたが、明石焼きを参考に改良され、
タコを主役とするスタイルとなった。
・羊羹
元は、羊肉を練り固めて、山芋、しいたけやタケノコと一緒に煮た汁物。
中国から伝わってきた平安時代には、羊どころか肉を食べる習慣がなかったため、
羊肉の代わりに小麦粉やくず粉など植物性の材料を練って汁物に入れたのが
始まり。
その練るものが蒸されて、甘みが加えられ、今の蒸し羊羹になった。
・お節
元来、お節料理は節句の時に出される料理のことで「節会料理」と呼ばれていた。
節句は1年に5回あるが、一番重視された正月の節会料理だけ残り、
「お節料理」となった。