あらすじ
王の法より仏の道──。
天平13年(741年)3月、聖武天皇に招かれ、謁見する僧侶がいた。僧の名は、行基。民草を救うため、仏の教えを広めた僧は、その人心への影響力から、朝廷に恐れられ、弾圧すらされた。朝廷から大僧正の位を授けられ、文殊菩薩の化身とよばれた男はどのような生涯を送ったのか──。自然と愛するものに囲まれ、仏の道に目覚める幼年期から東大寺大仏建立、入寂までを丹念に描いた、長篇歴史小説。
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Posted by ブクログ
珍しい高僧・行基の生涯についての本 これまでになかった行基についての物語。
黒岩重吾の様な、引き込まれるようなストーリー性や表現はないが、史実に基づいた創作であり、行基をとりまく人物との関係、時代背景などが良く解る作品である。
途中、迫害を受けながらも、淡々と飄々と信、に基づいて世のため人のために、最初は自らを高め、途中からはその力を人々のために使って、ついには人の心を掴んで朝廷も大いに重用するに至ったという、サクセスストーリーの王道である。
現実には難しい部分もあるが、生き方の一つの理想のモデルとして、心に留めておきたい。