【感想・ネタバレ】赤い館の秘密のレビュー

あらすじ

長閑な夏の昼下がり、田舎の名士の屋敷、赤い館で一発の銃声が轟いた。死んだのは、オーストラリアから15年ぶりに館の主マークを訪ねてきた兄ロバート。死体を発見したのは館の管理を任されているマークの従弟ケイリーと、館に滞在中の友人を訪ねてきた青年ギリンガムだった。発見時の状況から一緒にいたはずのマークに疑いがかかるが、肝心のマークの行方は杳として知れない。興味を惹かれたギリンガムは、友人ベヴァリーをワトスン役に、事件を調べ始める。『クマのプーさん』で有名な英国の劇作家ミルンが書いた長編探偵小説、新訳決定版。/解説=加納朋子

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Posted by ブクログ

ネタバレ

くまのプーさんの作者の唯一の推理小説だそう。何でもお父上がミステリ小説が少ないと嘆いていたので書いたそう。もうこの時点で作者の優しさが溢れてる。探偵役が登場するまでやや退屈だけど、殺人が始まってからはぐいぐい読める。本編もそこまで大きないざこざは起こらないものの、ちょっとした誤解から謎が増していき、そして綺麗にラストまで繋がっていく。良くあるおかしな言い争いもなく、探偵役と友人の二人が終始和やかな雰囲気でほっこりする。かなり昔に書かれた作品らしいけれど、それを感じないくらい面白かった。

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2025年03月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

A.A.ミルンのもうひとつのマスターピース。

赤い館で銃声が響き、男の死体が発見される。それはオーストラリアから帰ってきたロバート、この赤い館の主マークの兄だという。しかし肝心のマークも行方不明になっている。マークの従兄弟で遺体を発見したケイリーが何かしたのか? たまたま赤い館を訪れて事件に遭遇したギリンガムは、年下の友人ベヴァリーをワトソン役に私立探偵をやってみようとするのだった。

推理自体はそんなに難しくなくてミステリをよく読む人なら遺体のすり替えだと早いうちに気付いてしまうかもしれない。しかしそんなことが気にならないほど、このミステリは読んで楽しい。まず素人探偵のギリンガムは優れた記憶力を持ちながらも探偵は初めてで雷光が走るように事件を解決するわけではない。思考を整理するために友人にワトソン役を頼み、ディスカッションをしながら徐々にありえない可能性を潰し、確たる証拠を得る方法を考えていくのだ。年下の友人ベヴァリーを可愛がる様子も好ましいし、犯人だったケイリーへの配慮もよい。ワトソン役を務めるベヴァリーもよい。前向きな性格で雰囲気を明るくするし、ギリンガムに友情と敬意を持っているのが伝わるし、探偵の頭脳を引き立たせるための馬鹿でないところがとてもいい。ときにギリンガムが熟考に沈んで置いてきぼりにされるが、それに対する不満もさらりと伝えるにとどめ、ギリンガムの思考を尊重しているのがいい。こんな名コンビを今まで知らなかったことが悔しいし、出会えて嬉しい。

ミルンの「『赤い館の秘密』に寄せて」も収録されている。ミルンの理想とする探偵小説の条件はどれも頷くことばかりで、理想を体現したことに驚く。そしてそんなこの作品が探偵小説を愛した父に捧げるものであることがさらりと書かれている。ここを読んでミルンの大きな愛情を感じた。とても素敵な名作だ。

訳者が自分の生涯の愛読書であるアーモンド『肩胛骨は翼のなごり』の訳者でもある山田順子氏である。それでさらに好きだと感じたのかもしれない。

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2025年04月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この作品は、クマのプーさんとは何の関係もなく読まれるべきだと思います(自戒)。
古典なので、後世のミステリをそれなりに読んできてしまうと、さすがに冒頭の数章で、ああ、これはあのトリックかと分かってしまいます。
現代の作家だったら、それを逆手にとって、もう1回転か2回転くらいさせちゃうかもしれません。
そういう意味では、加納朋子氏の解説で「フィギュアスケートや体操」で最初に「くるくると回って」みせたパイオニアに例えているのは正鵠を射ていると思います。

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2021年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

プーさんの作者がミステリを書いてるとは知らなかった!まんまと釣られた。

古典作品という事もあって変なややこしさは無く、途中で何となくトリックはわかると思う。

ホームズ役とワトスン役のキャラクターが良い。軽快な会話をしながらしっかり連携して情報収集したりと読みやすい。

瞬間記憶持ちは強い。些細な違和感を紐解いてじわじわ真相に近づくやり方。

金田一耕助のモデルっていうのちょっとわかる。

訳者のあとがきでちょっと微妙な気持ちになった。

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2024年11月20日

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