あらすじ
現代詩人の登竜門「中原中也賞」を18歳で受賞し、大学4年の時に「詩」に関心を持ってもらおうとアイドルオーディションに出場、「ポエドル」と呼ばれた著者。だが、その日常は驚くほど地味で不器用だった!? いま最注目の詩人が、研ぎ澄まされた言葉でトホホな身辺を綴る、初のエッセイ集。 平成生まれの詩人が、〈生きづらさ〉を言葉で解き放つ!
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Posted by ブクログ
名前はずっと知っていた
最年少で賞を受賞した詩人という新聞記事はあまりに衝撃的だった
当時自分は詩を書き始めていた頃のような気がする
「すごい人がいるなぁ」と
海の向こうを見るような気持ちだったことを覚えている
――それから
いくら歩いても 眩しさと同時に影も濃くなって
喜びが増えた分 痛みも深くなった
詩集を何冊か出版して
自分は詩を書く人ではなくて 詩人なんだなって 思うようになって
自分が信じた言葉は 決して間違っていなかったのだと
受け取った人が 教えてくれた
そうして出会った 詩人の物語
海の向こうにいる どこか遠い人の理想ではなく
きっと同じ思いを持って どこかで戦っている
同じ風景を見た人なのだと 思った
同志と言うには 大げさかもしれない
仲間と言うほどの ものではないかもしれない
でも、ちゃんと そういう人がいるんだって 安心した
詩人という生き物は 言葉にならないものを背負うから
きっと わけ隔てられることのない世界で 息をするのだろう
人から見たら なんだか子供みたいで 可笑しくて 滑稽で
時には呆れるかもしれないし 世間知らずって 責めるかもしれなくて
圧倒的な孤独感と 触れるか触れないかの微かな温度差で
言葉にしたもので この世界と繋がれるのなら
それはきっと 救いのように 眩しかったから
言葉に恋をしたように
言葉というものが生きているこの世界が とても 愛しいのだと 思う