あらすじ
金雀枝(えにしだ)の花が満開に咲くころ、一年に一度、かれらがこの館を訪ねる。また、あの季節が巡ってきた……。完璧に封印された館で発見された、不条理極まる6人の死。過去にも多くの命を奪った「呪われた館」で繰り広げられる新たなる惨劇、そして戦慄の真相とは? 息をもつかせぬ、恐怖と幻想の本格ミステリー。
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Posted by ブクログ
普通に面白い。
ただ、本格ミステリーのトリックとしては若干の物足りなさを感じざるを得ない。また、犯人は予想は出来るかもしれないが、論理的に断定することは難しい。別に、そのことが問題になるわけではないが、フーダニットではないことを意味している。いや、ま、それが駄目とかそんな話じゃないんだけど。
現在では出尽くしている感のある孤島密室物として、バランスが取れていて面白いことは間違いない。文章も軟らかで読みやすく、最後まで一気に読ませられる。
ただ、既にパターン化されている安定感からは抜け出せておらず、良くも悪くも上手すぎる作品になっている。
(ミステリ好きで)読んで損した。と思う人はほとんどいないと思うが、刺激を求めている人にとっては若干の物足りなさを感じるのでは。などと余計なことを考えた。
Posted by ブクログ
館もののミステリーはお腹いっぱいの気があったが、これはかなりの良作だった!かなり奇怪な事件なうえ事件は数度起こり、しかも登場人物が三代にわたる家系からなるという多さだったが、トリックといい話の展開といい、理解し易く読み応えも抜群。エンディングでのエリザベートの霊云々の話は少し安易な気がしたが、冒頭の「序章という名の終章」を読み返すと気持ちよく落ち着く。
Posted by ブクログ
金雀枝の花が満開に咲くころ、1年に1度、かれらがこの館を訪れる。また、あの季節が廻って来た…。完璧に封印された館で発見された、不条理キワマル6人の死。過去にも多くの命を奪った「呪われた館」で繰り広げられる新たな惨劇、そして戦慄の真相とは。(紹介文参照)
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古本屋で購入した1冊。装丁から古めかしくて、本格的な匂いが漂っている作品だなぁと思う。
初め、登場人物が多そうで覚えられるか不安だったが、過去の記述と現在と未来で分けられているので、すんなりと頭に入ってきた。そこが本当にすごいと思う。
今回は全然犯人が分からず(というかどういうストーリー展開になるかも分からず/苦笑)流れに任せるまま読んだが、そこは今邑さん、きちんと2転3転してくれて満足だった!
Posted by ブクログ
いわゆる「館モノ」。館の名前の読み方のむつかしさは,全「館モノ」の中でもトップクラスだろう。「えにしだ」と読む。
完璧に封印された館で,グリム童話の「狼と七匹の子やぎ」に見立て,6人を殺害するという事件が起こる。金雀枝荘では,70年近い前に使用人の無理心中事件も起こっており,完璧に封印された館での殺害は,その呪いのようにも思われた。
金雀枝荘は,実業家の「田宮弥三郎」が建てた館である。ドイツからエリザベートという娘を妻に迎えたが,わずか二年しか一緒には住まなかった。
大量殺人事件が起こってから1年後のクリスマスに,生き残った田宮乙彦,松田杏那,松田類,鈴木冬摩の四人の田宮弥三郎のひ孫と,冬摩が連れてきた笠原美江という「霊が見える」という女性,そして謎の男「中里辰夫」の5人が事件に巻き込まれる。
真相は,中里と乙彦は知り合いで,中里は乙彦から呼ばれて金雀枝荘にやってきた,乙彦の兄だった。乙彦と中里は,金雀枝荘で管理人をし,心中をした瀬川直吉という使用人の孫であった。弥三郎は,エリザベートが不倫をし,子どもを産んだので,乙彦以外の孫は自分の血を引いていないと思っていた。弥三郎は,自分の子どもを瀬川直吉に託したという過去があり,瀬川の子孫こそ自分の血を引くものと考え,瀬川子孫である瀬川栄吉の子を養子として引き取った。それが乙彦だった。弥三郎は,乙彦に全ての財産を引き継がせたいと考え,乙彦にほかのひ孫の皆殺しを託す。そして,乙彦が実行犯として殺人を実行した…というストーリー。
人 物描写がやや薄っぺらく,ドラマ性はあまりない。凝ったプロットのミステリで,「新本格」としてひとくくりにされそうな話。及第点ではあるが,傑作というほどではない。エリザベートという霊的な存在を絡めているので,綾辻幸人の人形館の殺人に近い肌触りである。★3かな。