【感想・ネタバレ】社会学史のレビュー

あらすじ

本物の教養がこんなに頭に染み込んで、ものの見方がすっかり変わる経験をあなたに!マルクスもフロイトもフーコーも、実は社会学者なんです。「社会学はもちろん、その周辺の学問を理解するためには、どうしても、社会学史全体を知っておく必要があります。それなのに、なぜか、社会学史の本がほとんどないのが現状です。だから、この仕事に私は、強い社会的な使命感を持っています」――大澤真幸

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Posted by ブクログ

ネタバレ

最新版の社会学史。

社会学は近代のもの。たかだか200年の歴史。
近代の自己意識として社会学が誕生したことを古代の社会理論から始め、社会契約論という社会学前夜の話を経て、社会科学の誕生の中に、コントの名付けた「社会学」があるという位置づけ。
マルクスを間にいれたあと、社会の発見というテーマで、フロイト、デュルケーム、ジンメル、ヴェーバーを説明。
その後は、システムと意味というテーマで、パーソンズの機能主義の定式化、意味の社会学、さらにルーマンとフーコーの意味構成論的なシステムの理論が解説される。

社会学の主題は「社会秩序はいかにして可能か」というもの。前提として偶有性という概念がある。

読み終えての所感としては、ルーマンとフーコーがツインピークスであるという評価が自分が感じていることと一致したという満足感。
特に、現代社会においては、システムが多様に分化した社会であり、それぞれのメディアとコードが併存しているという点は、わが意を得たりというところ。

フーコーが唱えた「エピステーメー」=パラダイムが不連続であり、類似(ドン=キホーテ)→表象(地理と地図)→人間(博物学(生命)、経済学(交換)、言語学(動詞))と変化してきた話はぜひ読んでみたい。
対比として、ルーマンのシステム論も同様。

人間と社会の関係を、ユダヤ人とユダヤ教のたとえを引きながら、人間における弱さと神、社会における弱さと神、といった構図でとらえるという点も新鮮。
集団は「神」を必要とする。それは、人間が自らを不完全と信じるからであり、メディアとしての神とそこにおける二項対立は、自分たちの集団と他の集団を区別するために必要。線引きの話でもある。

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2021年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

(編集中)

社会学とは一体どのような学問で、どのように発展して来たか?と問われた時に、明確な答えを示せる者は決して多くないように思う。というのも、社会学という学問自体が学際的な学問であり、抽象的かつ広義の意味を含んでいるからである。そして本書では、そうした社会学の性質を認めた上で個別具体的な領域に留まらず、それを学際的なままとして評価している。
本書における重要な点は、社会学が誕生してからの歴史を問いとしているのではなく、そもそも社会学はどこから来たのか?といったことから問いを始めている点である。
社会学という語がコントによって用いられるようになったのは、19世紀のことである。人間を構成する最も重要な要素のひとつであるはずの社会というモチーフが学術的に取り扱われるようになるまでにそれほどまでの時間がかかったのは一体なぜか?
このような問いに対し、大澤は古代ギリシャから中世における神の存在をめぐる問題と啓蒙の時代、そしてフランス革命へと繋げることで返答している。私見を述べれば、社会学を評価する上でこの啓蒙の時代とフランス革命の存在への言及は避けられるものではない。しかし、一般に知られる社会学の入門書においてそれらが包括されているかと言われたら疑問が残るのが現状である。そのような点で、本書のような態度は貴重であるとともに賞賛できるものである。

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2024年04月22日

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