【感想・ネタバレ】やがて海へと届くのレビュー

あらすじ

すみれが消息を絶ったあの日から三年。真奈の働くホテルのダイニングバーに現れた、親友のかつての恋人、遠野敦。彼はすみれと住んでいた部屋を引き払い、彼女の荷物を処分しようと思う、と言い出す。親友を亡き人として扱う遠野を許せず反発する真奈は、どれだけ時が経っても自分だけは暗い死の淵を彷徨う彼女と繋がっていたいと、悼み悲しみ続けるが――。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

苦しくて。苦しくて。苦しくて。胸がつまる時間だった。〈普段考えないことは心細い。なので、突風にあおられるようにすみれに会いたくなった。〉湖谷真奈とすみれと、遠野くんの物語。フカクフカク。私も物語に引き込まれていった。戻ることも進むこともできない思いに塞がれてページをめくった。〈頭ではわかっても、私のてのひらや、耳や、指先がわからないとぐずり続ける。〉あの日の震災から三年。すみれが居なくなって、三年。〈会いたいねえ〉真奈はすみれが感じたであろう痛みを、恐怖を手離さないことで、すみれとの繋がりを保ち続けようとしていた。もう帰り道もわからなくなってしまった魂のすみれ。〈たくさんの約束も、大事にする方法がわからなかったことも、町と一緒に流れ去った。大事にしたかった。〉〈どれだけこわくても、痛くても、私のままで帰りたい。〉会いたくて。会いたくて。会いたくて。会いたくて。胸のうちにすみれが居てくれたことに気づいた真奈。学生時代にすみれに聞いた話を意識をせずに自分の言葉に乗せ同僚の国木田さんに話した瞬間、〈こんなところにいたの、と胸の内側に呼び掛ける。血の一しずく、骨の一かけら、私を生きる方向へと押し出す、意識にすら上がらないほんの数秒の思考のうねり。とても、とても久しぶりに、彼女に会えた。〉そしてすみれも。すみれの魂もやがて真奈と遠野くんの元へ〈帰ってきた、帰ってきたよ。大きな声で泣きながら、私は私をすくい上げようとする一対のてのひらへ飛び込んだ。〉震災を自ら経験された彩瀬まるさんだから書けた物語なのだろう。思いが、救われますように。

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2022年05月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

毎年3月になると読む本。
あの日を思い出す時、この本を読まなくてはいけない気がする。

今まで何度読んでも分からなかった、ずっと私には分からないと思っていた偶数章が、少しだけわかった気がした。
偶数章は、すみれと、真奈が望むすみれが入り交じった『私』なのではないかと思う。根拠はまだない。

どんなに重くて暗くてもずっと道は続いていて、その先には新しい靴が用意されている。

いつかはフカク、フカク。誰かと想い合いたい。

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2022年03月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すごい、よく理解できない様の情景が多くあったけど。読みやすかった。
友達とか家族とかが死んだ時、死者をどういう扱いにしたらいいのか。どういう思いでずっと思い続けてたらいいのか。もう亡くなったんだからくよくよ考えずに潔く天国では幸せだよと言ってればいいのか。それとも、辛かったね。苦しかったね。と辛い思いを代弁するかのような気持ちを持ち続けてればいいのか。
カエルちゃんとキノコちゃんが言ったように、震災や戦争のことを忘れないようにしようと言われるのはもう二度と繰り返さないようにっていう思いが強いと思う。けどそれは教訓であるわけでじゃあ何を忘れないようにしたらいいんだろう。
亡くなった人の気持ちを勝手にこうだっただろうこれからは幸せになって欲しいとかそんなことは考えたくない。これから何を思って亡くなったこのことを考えたらいいんだろう。

ただこれを読んでわかったことは、悲しいこと思い出してずっと記憶に残してくれるよりかはもっと楽しい思い出とか。その子とすごした忘れられない何かをずっと覚えてくれてた方がいいなって。

体のアザが消え時間が流れても火は残る。
店長が築いた店は他の人が入ることで面影もなくなったかもしれないけど。「店長がいつもお店では楽しそうでトラブルが起きても、プライベートでどれだけ苦しんでも常に安定した暖かい振る舞いを崩さなかった。部下が未来の自分を想像して上司へ抱く夢のようなものを崩さなかった。だからこそ私はこの職場で生きていく未来を、困難はあっても楽しいものにできる、と無意識に信じていられたのだ。」
上記の文のような、人にとって素敵なものを残してくれていた。そういうものに気づいていけたらいいな

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2023年10月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まなとすみれ、それぞれに共感できる考えや気持ちが多くあった。私は関東で東日本大震災を経験したけれども、あの時東北にいた人たちはもっとすごい経験をしたと思う。私は、この本を通して少しでもその人たちに寄り添うことができるのではないかと思って、この本を手に取った。

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2022年01月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

東日本大震災。
あのとき亡くなってしまった人たちは、すみれのようにさまよって、何回も何回も繰り返し、最期は会いたい人に会いに行けたのだろうか。

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2022年06月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

物語が始まったと思ったら突然異世界に迷い込む、これは何の話だと思っていたら、東日本大地震で行方不明になってしまった親友すみれの事が忘れられず、新しい生活を送ろうとするすみれの恋人や両親に違和感を感じてしまう。やがて勤めているダイニングバーの店長が自殺したことによって物語は動き出し、新しい彼氏が出来る、なんじゃこりゃ男が欲しかっただけかよ。「余命10年」を読んだ後だからかこのご都合主義の主人公真奈には共感出来ない。確かに理不尽な別れは辛いだろうが、いつまで震災で飯食ってンダよと言いたい。これ映画大丈夫かな。

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2022年03月17日

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