【感想・ネタバレ】アブラハムの幕舎のレビュー

あらすじ

主人公・田沢衿子は20代後半の独身女性。母親の言動に振りまわされ苦痛を感じているが、断ち切ることができない。ある日、彼女の15階だてのアパートで、祖母を殺した少年が投身自殺した。強者に支配される少年と自分とを重ね合せ、彼女は母親から逃れるため行動をおこす。〈イエスの方舟〉を背景にして、弱者の生き方を追究、魂の漂流をいきいきと描いた、著者の代表長篇小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

弱者の魂の漂流と「イエスの箱舟」の存在感。20代後半にもなって「母親が煩く逃れられない」と縷々述べられてもなぁ、と思うのは強者の視点と責められるか。しかし、追い詰められるからこその祈りにかける衝動は胸に迫る。貧相な「幕舎」の設えに「引くわ〜」とはならないわけで。弱者と強者の対立ではなく、共存にして孤存とでもいうのか、そこに愛しさと哀しみを覚える。
この作品での「イエスの箱舟」の扱いは素晴らしく効果的。

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2013年11月30日

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