あらすじ
食料不足による人類の貧困は必然か。果たして克服できる困難なのかーーー。飢餓による人類の危機を唱える経済学者。食料の不足を食材の新しい調理法で克服しようとする料理人。看護を科学的に分析し、以前なら落としていたはずの人命を救う看護師。"命"に向き合う三者三様のあり方。そうして貧しいがゆえに強く生きる一人の少年。さまざまなドラマを通して、名著「人口論」の真髄をわかりやすくまんが化。
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Posted by ブクログ
マルサスや人口論は学校で習ったので、ざっとは知っていたが、深くは知らなかった。
漫画なのでわかりやすい。
理屈は、かなり難解だ。
たぶん、僕は、ほとんど理解してなかったように思える。
結論を言うと、とても残酷だった。
なるほどと納得はできるが、なかなか受け入れがたい。
人口が、鼠算式に増え、それに対して、食料は足し算で増える。
故に、貧困は生じる。
悪や悲惨によって、その人口増加は抑制されるというのが基本的な骨子だ。
怖いところは、平等の精神による格差ゼロの社会は、平等に全人類を貧しくさせるというところだ。
この考え方は、今でも新しく。やはり、怖い。
漫画だから、リアルに実感を伴って伝わるのだ。
これは良い本だ。
中学生にだって読めるので、みんなに読んでもらいたい。
Posted by ブクログ
いただいた一冊。まあ面白そうだったのでありがたく読ませてもらいました。
人口論の話なんだけど、不勉強ながら原書は読んだことがないので名言はできないのだけど、なんでナイチンゲールが出てくるんだろう?オリバーの話もソワイエの話も、原書にはないよね。理解しやすいと思ったのだろうか。だったら個人的にはもっとマルサスの人口論を掘り下げてほしかったと思った。
これを読んだ人は、ぜひFACTFULNESSも合わせて読んでもらいたい。そしたらマルサスの言っていることは必ずしも正しいとは限らない事が分かるから。
もちろんマルサスは18~19世紀の人なので、現代人と比較するのは間違っていることは認識している。
それでも、マルサスの説は非常に説得力があり、本当のことなのではないか、と信じさせられる説得力がある。僕もFACTFULNESSを読んでなかったら、無邪気に信じていたかもしれない。
でも決して未来はそんなに暗いもんでもないし、人口が今までのペースで無尽蔵に増え続けるわけでもない。そしてネズミのように誰しもが無尽蔵に子供を作るわけでもない。だって、先進国では少子化が叫ばれてるのだから。マルサスの理屈で言えば、少子化なんて起こらないはずだからね。
FACTFULNESSはそのことに気づかせてくれる。ホンマに読んだほうがいいよ。
じゃあこの本は間違っていて価値がないのか、というとそんなことはもちろんない。これはこれで重要な内容をはらんでいる。格差や極度の貧困が解消されなかったら、人口論で語られている世界が訪れる可能性は十分にある。
それをちゃんと理解した上で、必ずしも未来は暗くない、でも暗い方向に倒れる可能性はいつでも持っている、ということを認識しておくことは重要だし、この本はそのことを示唆してくれている。
マンガなので読みやすいがゆえに、表面的なところだけを把握して理解しないままで終わる可能性が非常に高いのだけど、原書を読む、他の本の内容と組み合わせる、などでより価値が出る一冊だと思う。