【感想・ネタバレ】ミステリー・アリーナのレビュー

あらすじ

連続殺人に挑むのはミステリー読みのプロたち――。15ある解決案のどれが真相か? 嵐で孤立した館で起きた殺人事件! 国民的娯楽番組「推理闘技場(ミステリー・アリーナ)」に出演したミステリー読みのプロたちが、早い者勝ちで謎解きに挑む。誰もが怪しく思える伏線に満ちた難題の答えはなんと15通り! そして番組の裏でも不穏な動きが……。多重解決の究極 にしてミステリー・ランキングを席巻した怒濤の傑作!!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

実際に殺人事件が起きるわけではなく、ミステリ小説を読みながらみんなで推理合戦をする、というテイストなので、ミステリ小説と呼んでいいのか難しい。ミステリ小説に関する小説ではあると思うので、ミステリ小説小説と呼ぶべきか……。
すでに用意された15の選択肢の中から推理によって当てられたもの以外が真実として残る、というのは通常のミステリ小説と反転していて小気味いい。通常はあたったものが唯一の真実として、残りの可能性は刈り取られてしまうのだから。

司会者の発言があまりにゲスいし、挑戦者の推理も偏見の依っているところが多い。それ自体は「ミステリ読みって、道徳とか倫理とか、人間性とかそういうのに興味なくて知的遊戯の道具として扱いがちだよね」というあるあるネタなのだろうし一部は正鵠を射ているから一旦目をつぶるとしても、ちょっとミステリ好きに対する偏見が強すぎるような気がする。

ミステリ好きに対する愛は全然感じられないが、ミステリに対する愛は非常に深く感じられる。司会者はゲスだが、追い詰められて出てくる言葉は熱い。

それはそうと、犯行現場でいきなり跳び跳ねるバレリーナ「たま」、好きすぎ。

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2025年01月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

オチが戦隊モノみたいで面白かった。
司会者がひどいけど、大きな矛盾なくあれだけの分岐する?シナリオを書けるのはすごい。

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2022年03月21日

ネタバレ 購入済み

アレです

あの手の仕掛けに定評のある深水先生。
まあ、ある程度ミステリーを読み慣れた人向けの作品ですね。

取って付けたようなエピローグはちょっと気に掛かる。

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2020年12月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

笑った笑った。
コロナ禍でマスクしてるから顔がニヤけても周囲にバレないのをいいことに、電車の中で思いっきりニヤけながら読みました。

いかにもクローズドサークルになりそうな匂いプンプンの冒頭、ちょっとベタだなぁと思ってたら近未来テレビ番組に切り替わり、読んでたものは出題のミステリつまり作中作で、番組は犯人を当てた回答者がキャリーオーバーした20億円を賞金で貰えるという国民的年末番組らしい。

早い者勝ちなものだから、回答者は序盤から先のストーリーを読んで犯人を「推理」するんだけど、深読みに深読みを重ねた珍回答と、それを避けたり採用したりして妙な具合に展開しどんどん駄作化してゆく出題ミステリに笑わされました。
特に、並木=人間説と、たま=バレリーナ説は大笑いしちゃった。平さんがめっちゃ性豪キャラ設定になっていったり、ヒデが女性にされたり老爺にされたり、登場人物の属性がどんどん(変に)肉付けされていくのも可笑しかった。

一人二役、二人一役、多重人格、性別誤認、ダイイングメッセージ、見えない人、名前のトリック…。実は回答者の回答は、そのままミステリのトリックのパターンだったりする。
こじつけっぽい回答もあるけど、推理が開示される段階でミステリの暗黙ルールが浮き彫りになる。
ミステリそのものを解体してゆくような展開がとても面白かったです。
それにしても、出題ストーリーの文面を一応説明のつく程度にぼやかしつつ具体的な表記にするのはさぞ大変だったろうなぁ。
破綻してるけど(笑)。

臓器の強制提供が合法化され回答者が臓器移植のドナー候補だと明かされて、急にブラックな話になってきてこっちの世界もミステリ化する。
最後はドタバタ劇っぽかったけど、まぁご愛嬌。
とにかく退屈しない作品でした。

あと、司会者は出題ミステリの展開は15通りって言ってるけど、各分岐点でだれが犯人と指摘されるか分からない中で複数の展開を用意するなら、各分岐点の枝葉に容疑者の数だけ別展開が必要になる。
大変だぞこの仕事は。
ギャラ3億でも妥当だと思う(笑)。

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2020年07月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

笑えた。まず、プロのミステリー読みってなんやねんwみたいなトコロから、「俺みたいな玄人ミステリ読者は分かっちゃうんだよね」と自信満々な早押し解答にも、最後らへんの真相の苦しさにも笑いっぱなし。
「プロのミステリー読み」への痛烈な皮肉を混ぜたメタメタなミステリかと思いきやそれだけではなかった。その皮肉は別のジャンルの文芸にまで及ぶ。司会者の最後の方のセリフが全てでしょう。
本書の構成は面白いけれど、作中作自体に魅力的な謎、トリックがほとんどない(一応密室は拵えてあるけど解答はいずれもしょぼめ)ということが欠点かな。この辺りをしっかり多重解決に盛り込めば更なる傑作になったと思う。
いやしかし、現実のプロミステリー読者はここまで叙述に気を使いながら読むものなのでしょうか。登場するプロ達の先読みの鋭さに感心しつつ、何も考えずに読んで騙されて、多重解決ひとつひとつに驚ける私はまだまだですね。

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2025年10月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何度もめんどくさくなって続きを聞くのをやめようかとおもったが(オーディブルで視聴)、最後まで聞いて良かった。
これは、書くのは至難の業だろうなと思わざるを得ない作品。
ただ、途中途中でバカミスの様相を呈してくるので、エンターテインメントとしてはあり、という感じ。

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2025年04月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

10年続く年末恒例の人気番組「推理闘技場(ミステリー・アリーナ)」。ミステリーを読み解き、見事犯人を当てると巨額の賞金が得られる。一度解答した内容は変更できないが早い者勝ちなため、参加者14名は次々と思い思いの解答を導き出していく。前者が導き出した解答を次の回答者が否定する?犯人を当てる者は現れるのか…。
なんだこれ、が正直な感想。人気の犯人当て番組のミステリーアリーナの様子を描いた作品かと思いきや、終盤に来て怒涛の展開。
序盤4分の1を過ぎたところでスタジオに不穏な動きがあることを伺わせる。4/3を過ぎたところで番組に関する不穏な情報が出てきて、そこからは一気に事態が動く。のだけれど、なんか最後ちょっと無茶苦茶では? 人気番組の裏側には巨大な闇が。意外性はすごいあるけど、私は今ひとつ嵌まらなかった。

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2024年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんだろう、面白い設定思いつくな、ってのが1番の感想。
解答者の答えも、解答後の展開も、よく思いつくなぁと、ミステリーというより話の持っていきかたが面白かった。

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2019年05月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ


多重解決ミステリーって、初めて読みましたん!

話の中と現実世界で同時進行なのも面白い。

欲を言えば、現実世界の方をもっと深めて欲しかったかも!なんで、スパイになろうと思ったのかとかね!

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2018年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

〇 総合評価 ★★★☆☆
 「文庫化のためのあとがき」にあるが全編が伏線となり,人間の観測そのものが影響を与えるために,その正確な運動量と位置を同時に知ることが決してできない量子のように真実が常に重ね合わされた状態で存在し,解決されるということ自体が,真実の姿を刻一刻と変貌させてしまうようなミステリを作りたかったと思われる。目指すべきものは面白そうであったのだが,これは失敗作だろう。特に後半部分の解決がめちゃくちゃ。「バカミス」という言葉に逃げている。本来であればバカミスを目指したわけではないだろうに,作品として終局させるためにバカミスにしてしまった狙ったバカミスという印象
 目指すべきものは魅力的で,ぜひとも読んでみたかった作品なだけに残念。労力は大変だったと思う。竹本健司の「涙香迷宮」を思い浮かべてしまった。説明文だけ見るとすごい。作者の労力もすごいと思うがミステリとして面白くない。そんな作品
 解決が15もいらなかったのではないか。解決を5個くらいに絞って練り上げてほしかった。しかし,そうすると単なる多重解決モノに成り下がってしまうということか。テレビ番組に模した設定もありきたり。トータルで見ると★3か。

〇 サプライズ ★★☆☆☆
 作品全体が「なんでもあり」なので,どういったオチでもそこまで驚けない。15個目の真相は「鈴木平三郎」というこれまで出てこなかった人物=子どもが犯人で意外性はあるはずなのだが,「ふーん」で終わってしまった。「推理闘技場」という番組の内部告発者がアシスタントのモンテレオーネ怜華だったというところは,意外性があるのだが伏線がないので,そこまで驚けず。★2か。
〇 熱中度 ★★★★☆
 ミステリで一番熱中して読めるのは解決部分。冒頭から解決部分ばかりであるこの作品の熱中度が低いわけがない。しかし,後半は解決編も苦しくなってくる。少し読みにくくなる。伏線として必要とはいえ,芥川龍之介の「藪の中」についてや,名字についてなど,妙なうんちくも入ってくる。★4で。
〇 インパクト ★★★★☆
 漫画「国民クイズ」を思わせる設定。設定がありきたりと感じてしまいそこまでインパクトがなかった。15個もの解決が存在する多重解決モノとしてのインパクトはある。★4で。
〇 キャラクター ★★☆☆☆
 司会者の樺山桃太郎やアシスタントのモントレオーネ怜華。14人の解答者などそれなりにキャラクターは立っているのだが,深みがない。魅力的とは思えない。顔が見えない。心に残らない。★2で。
〇 読後感 ★★★☆☆
 テレビ番組「推理闘技場」の不正を暴いてめでたしめでたし。読後感は悪いわけではないのだが,リアリティが全くなく,登場人物に思い入れもないので「ふーん」という感じ。★3で。
〇 希少価値 ☆☆☆☆☆
 2018年の本格ミステリベストテン第1位。深水黎一郎は,それなりの人気作家だし,本屋でも平積みで売られている。手に入りにくくなることはなさそう。 

〇 メモ
〇 作中作のトリック
 それまではどっちつかずの状態だった描写が,解答者の解答を踏まえ,別の形に収束していくというトリック
〇 解答者達の正体
 「推理闘技場」という番組の不正を暴くために集められたスタッフ
〇 一ノ瀬の推理
 視点人物が犯人。視点人物が多重人格。なお一ノ瀬が司会のモンテレオーネ怜華に花束を渡すという伏線あり。
〇 二谷の推理
 犯人は丸茂。探偵が犯人。丸茂は女性。一人時間差トリック。丸茂は「アキ」と呼ばれている女性でレースクイーンである。
〇 三澤の推理
 犯人は沙耶加。三郎が沙耶加を庇って「手を動かした」という表現がポイント。二重盲検法の説明あり。なお,三澤の推理の中で,作中作のミステリーの作者が樺山だと思わせる伏線がある。
〇 四日市の推理
 犯人は沙耶加。多重人格者としての紗耶加が犯人
〇 五所川原の推理
 犯人はヒデ。性別誤認トリックあり。ヒデ=アキが女性で犯人
〇 六畝割の推理
 犯人は管理人のじいさん=ヒデ。
〇 七尾の推理
 犯人はたま。たまはバレリーナ
〇 八反果の推理
 犯人は鞠子。死んだ鞠子は男性。鞠子は姓。バールストン先攻法。犯人は女性の鞠子=アキ。
〇 九鬼の推理
 犯人は文太。ダイイングメッセージのSは∫で積分を意味している。ライダースーツが保護色となっていたというのが密室トリック
〇 十和田の推理
 犯人は「英(はなぶさ)」という人物(女性)=アキ。タクシーの値段からたまを人間としても,もう一人人物がいると推理
〇 十一月雪菜の推理
 犯人は「並木」という人物。万年筆がポイントとなっている。
 なお,樺山がこの番組以外の番組に出ていないということで,作中作の作者である伏線になっている。
〇 十二月田健二の推理
 視点人物三人(平三郎,丸茂,沙耶加)とヒデを除く全員の共犯
〇 十三十三(とみじゅうぞう)
 犯人は丸茂。平三郎は両刀使いで丸茂はゲイ。密室トリックはフランスのシャンポール城の二重螺旋階段と同じ構造でほかに通路があるというもの
〇 十四日定吉(とよかさだきち)
 犯人は第1の犠牲者とされていた鞠子。平三郎と丸茂との狂言。犯人当ての出題だった。その後,生きている
鞠子が丸茂と平を殺害した。
〇 15番目の解決
 犯人は鈴木平三郎(へいざぶろう)。地下室で育てられた発達障害の子ども。屋敷の主である鈴木鞠子の子ども。
樺山桃太郎
 テレビ番組「推理闘技場」の司会者
モンテレオーネ怜華
 テレビ番組「推理闘技場」のアシスタント。実は番組の不正を告発した内部告発者
臓器くじ法と臓器くじチャレンジ制度
 推理闘技場という番組の前提となっている法と制度。臓器を提供すると言う義務と引き換えに大金を得るためのクイズに挑戦するという番組になっている。
平三郎
 作中作の視点人物。第1発見者。Sというダイイングメッセージを消す。鞠子とはかつて付き合っており,沙耶加にプロポーズしている。絞殺され三人目の犠牲者となる。
鞠子 
 作中作の館の主。死体で発見される。Sというダイイングメッセージを残す。鞠子の死体は消失する。携帯電話に「かけていない」というパスワードを設定している。
ヒデ
 通称「気配りのヒデ」。使用人。車の免許はない。
丸茂大介
 愛車のボルボで館に来た。二人目の死体として発見?館に着いてから1時間ほどの行動が不明
沙耶加
 平三郎のことが好き。
関文太
 バイクで館に来た。「平三郎」が丸茂の部屋を訪れていることを目撃
たま(烏丸珠(からすまたまる))
 猫のような描写もあるが,バレリーナと推理される人物。
恭子
 丸尾に振られている。
秋山鞠子
 中盤以降にはっきりとして出てくる。アキ。

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2018年11月11日

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