【感想・ネタバレ】もうひとつの脳 ニューロンを支配する陰の主役「グリア細胞」のレビュー

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Posted by ブクログ 2021年05月29日

神経細胞についてでなく、グリア細胞についてひたすら書いてある。
人食いの話やアインシュタインの脳については魅力的

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Posted by ブクログ 2018年10月28日

人間の脳が思考するのはニューロンの働きとされていたが、21世紀に入ってそれまでは緩衝材程度に思われていたグリア細胞がニューロンの動きに大きな影響を与えているとして注目されている。アインシュタインの脳はニューロンの数は一般人と同じであったがグリア細胞の数は群を抜いて多かったとして、その重要性を示唆する...続きを読む
そのグリア細胞は末梢神経にあるシュワン細胞と脳や脊髄に見られるオリゴデンドロサイトは軸索(情報を送り出す突起)の周囲にミリエンという絶縁体を形成する。また、脳と脊髄の全域にアストロサイトとミクログリアというグリアも存在する。アストロサイトはニューロンの通信を傍受して逆に発信もして、ミクログリアは脳や脊髄を損傷や病気から保護し、ニューロンからシナプス結合を取り除くことができる。
背骨がある脊椎動物(人間、犬、猫、鳥、魚、恐竜)と背骨が無い無脊椎動物(ヒトデ、ナメクジ、蝶、ハエ、カニ、ロブスター、イカ)ではニューロンは同じように機能している。脊椎動物はミリエンを形成するグリア細胞をもつが無脊椎動物は持たない。集中型ニューロンと分散型ニューロンの違い。この違いをもたらしたのもグリア細胞の働き、脊椎動物では脳の発達を助ける機能もあり、脳の発達期に脳梁などで正しい配線を促す。
人間のニューロンを模したディープラーニングにグリア細胞の動きを模した仕組みを作って合わせると人間の脳のように考える人工知能ができるのかも知れない。

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Posted by ブクログ 2018年10月19日

脳はニューロンの回路で意識ができていると思っていたが、今まで知られなかったグリア細胞でできたもうひとつの脳があったのか!ただ単にニューロンを支える役と思われていたグリア細胞がニューロンの情報を感知しそしてグリア細胞間やニューロンとの間で情報のやりとりをしていたという。多発性硬化症に効く薬が開発される...続きを読むといいな〜。

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Posted by ブクログ 2018年08月14日

このテーマと内容の翻訳本を新書で出すとは、さすがのブルーバックス。感心した。心から応援する。

タイトルにもなっている「もうひとつの脳」とは、脳を構成する細胞の内、ニューロンの他に存在するグリア細胞のことだ。実際に脳の細胞数に占める割合はニューロン細胞よりもグリア細胞の方が多い。そのグリア細胞はこれ...続きを読むまで脳内の充填物程度に思われていたが、最近の研究により、これまで考えられていた以上に脳や神経系の動作に関与しているという。ニューロン中心主義からのパラダイムシフトと言っていいだろう。少なくともこの領域の研究者である著者はそう思っている。

グリア細胞が注目されている例として、アインシュタインの脳の話がある。アインシュタインの脳はこれまで大きさもニューロンの数も一般のものと大きな違いは見られなかったというのが通説であった。最近になって、先日のNHKスペシャルでも取り上げられていたが、アインシュタインの脳の一般とのある違いが注目されている。それはニューロン以外の細胞の数 ― グリア細胞の数 ― が一般の脳のそれと比べてはるかに多かったのだ。一般に刺さりそうなネタではあるが、グリアが脳活動に大いに影響を与えていて、その多くの領域がまだ未知であることは確かなようだ。

「グリア細胞」には、大きく4種類存在する。※この4つの分類だけでよいのかもまだ明確でないという。
・アストロサイト: 神経伝達物質を濾過して取り除いたり、ニューロンのエネルギー源である乳酸を供給。脳の発達における臨界期や可塑性にも大きく関与。アインシュタインの脳でその存在比が一般人よりも大きかった細胞
・ミクログリア: 脳を損傷や病気から保護する役割を持つ
・シュワン細胞: 末梢神経に存在し、軸索の周囲にミエリン鞘を形成する。ミエリン形成型、非ミエリン形成型、終末型の三つのタイプに分類される
・オリゴデンドロサイト: 脳や脊髄に存在し、軸索の周囲にミエリン鞘を形成
また、シュワン細胞およびオリゴデンドロサイトが構成するミエリンは軸索を保護するとともに、その存在により軸索を通る神経信号の伝達速度が大きく制御されることがわかっている。

著者らの研究により、シュワン細胞がニューロンの信号を検知して別の信号伝達に関与している可能性も取り上げられている。これからの脳の研究において、ニューロンの活動だけではなく、グリア細胞を含めたシステムとして脳を理解する必要があると言われている。

まだまだグリア細胞の役割については論争中のものも多いらしく、新しい知見が生まれる場所になっているらしい。特にアストロサイトがニューロン間で交わされるメッセージを感知することでどのような役割を担っているのかというのは非常に大きな知見を得られるかもしれない。そうなると例えばニューロンの配線をすべて明らかにすることで脳活動の全貌や個々人の脳の違いがわかるだろうとするコネクト―ムと言われる研究活動にも影響があるだろう。

一方、グリア細胞の異常が様々な疾患の直接的な病因にもなっていることがわかっている。ALS(多発性硬化症)はミエリンの消失により発症する。統合失調症、うつ病、双極性障害、癲癇などでグリアを含む白質で構造の変化が起きていることも明らかになり始めている。例えば統合失調症の患者の脳内でオリゴデンドロサイトとアストロサイトの減少が著しい。脳腫瘍は、分裂を起こさないニューロンには発生せず、グリア細胞で発生する。HIVウィルスはニューロンではなくグリア細胞に感染する。パーキンソン病やアルツハイマー病の原因のひとつとされるレピー小体の蓄積はニューロンだけでなくグリア細胞にも同様に蓄積されており、これらはニューロンの病気というよりもグリアも含めた病気と認識した方がよいのかもしれないと言われている。特にアルツハイマー病では蓄積されたβ-アミロイドによりミクログリアおよびアストロサイトの機能が大きく影響されることがわかっているらしい。また、妊娠時のアルコール摂取によっておこる胎児性アルコール症候群もグリアの正常な成長ががアルコールによって不可逆的に阻害されてしまうことから発生する。四肢の骨折が容易に治癒するのに、脊椎損傷の場合に神経系が再生できないこともグリアの機構によるものが大きい。また、老化による脳容積の減少はグリア(ミエリン)が多い白質の方が灰白質に比べて大きいことがわかっている。加齢によりアストロサイトの数も増加して損傷を補修するグリオーシスを多く生じるようになる。これらの疾患や老化についてはグリアの動きを理解することにより治癒や予防に向けた研究が進むことが期待されている。

また、fMRIなどの脳イメージングの研究により、脳内の血流の制御にアストロサイトが大きく関与していることもわかっている。「神経血管ユニット」と呼ばれる「アストロサイト-毛細血管-ニューロン」群は、片頭痛とも大きく関わっているとのこと。この辺りのfMRIやEEGの技術による脳機能の調査は今後も大きく進展することが期待される。

脳内に占める体積や細胞数はニューロンよりもグリア細胞の方が多い。グリアが脳活動や神経系の活動に大きく関わっていることから、今後より詳しく脳が動く仕組みがわかってくるのではないか。ただ、どんどん専門的な内容になってきてついていけなくなりそうだけれども。それにしても人体(生体といってもいいのかもしれない)は全く精妙で、どのようにして自然淘汰と進化の過程の末にこういう機構ができあがってきたのかはとても不思議である。今、グリアも含めて脳がどのように機能しているのかを知ることもひとつ大きな研究ターゲットだが、その仕組みが生物の歴史的にどのようにして生まれてきたのかを知ることがもうひとつの知的探求のターゲットになるだろう。また、ひとつの受精卵から細胞分裂により成体へと成長する胚発生のメカニズムも大きな探究のフロンティアである。今までもそこにあったグリアが長く無視されてきて、近年著者らの努力により脚光があたってきたというが、それも含めてまだまだわかっていないことは多いのだなと思う。

それにしてもブルーバックスは新書の枠組みを超えているな。素晴らしい。

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グリア細胞は脳を支配する!

2018年07月05日

「もうひとつの脳」とは何か? 本書は、「脳神経系におけるグリア細胞の役割」に鮮明なスポットをあて、 新たな視点から「脳のしくみ」の理解に迫ろうとする意欲的な著作です。

グリア研究に尽力してきた著名な神経科学者たちのユニークな逸話や「グリア細胞の謎」に迫る物語に満ちています。その中でも、「アイン...続きを読むシュタインの脳」を解剖したマリアン・ダイアモンドの発見は白眉である。彼女の脳解剖所見は、「アインシュタインの天才が、ニューロン(神経細胞)ではなくグリア細胞に支えられていた」ことを示していたのは驚きであった。この事実だけでも、脳の研究者はもちろんのこと、一般読者をも大いに魅了して、「グリアとはなにか?」への想像を強くかきたてられるであろう。

神経科学の父祖と尊敬されているラモニ・カハールが提唱した「ニューロン説」は、20世紀はじめから100年以上にわたって神経科学者の営為を支える根幹としての役割を担ってきた。これまで神経科学の主流であり続けた考えは「ニューロン中心主義」、つまり脳の主役はニューロンであるという思想であった。それでは、脳細胞の八割以上を占めるグリア細胞の役割は何か? この大きな疑問に取り組んでいるのが本書の主題である。著者フィールズの到達した結論は、重要な局面で「グリアはニューロンを制御する」、あるいは少なくとも「ニューロン・グリア両立主義」を妥当としている。

人間の精神・心を支えているのは、これまで推論されてきた「ニューロンの脳」だけでなく、グリアによる「もうひとつの脳」が不可欠の役割を果たしていると洞察されている。つまり、脳内の広範で多くの部位をつなぐニューロン集団を、同期して活動させるための統合装置としてグリア・ネットワークが働いているという。

このような視点から脳機能を追究しようと試みることは、脳の働きに関する基礎的な理解を深めるだけでなく、脳神経疾患の治療に向けた応用の地平を拓くことにつながり、さまざまな脳神経の病気や激しい慢性の痛みなどがグリアを標的にした薬によって近いうちに克服されることが期待される。

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Posted by ブクログ 2019年05月18日

ブルーバックス

脳の不思議さ、面白さを伝えた本。脳の不思議さ、面白さは 人間の不思議さ、面白さだと思う

「脳の中心はニューロン」とする従来の説を批判し、「グリア細胞(もう一つの脳)が脳の中心」とする説を展開。

「グリアは 脳の健康と病気の拠点」
グリア細胞の研究が進めば 認知症、脳腫瘍、脊髄損...続きを読む傷(車椅子)、精神疾患などの治療が進む

グリア細胞=非神経細胞
*神経回路を流れる電気活動を感知し、電気活動を制御する
*ニューロンと違い、シナプスを介して 回路に接続していない
*グリアは メッセージを脳全体に向けて 広く発信している
*グリアの数は ニューロンの6倍

軸索=脳内の無数の微細な管
*神経細胞からワイヤー状に伸びた軸索〜根のような樹状突起
*情報は 樹状突起から ニューロンに入り、指令は 軸索を通じて ニューロンの反対側から送り出される

シナプス=脳のトランジスタ〜ニューロンを接続するスイッチ
*軸索と樹状突起を隔てる個所〜ニューロンを結びつける
*記憶=シナプスを介したニューロン間の結合部に貯蔵

ミエリン=電気的絶縁体
*軸索とグリアのインパルス伝導に欠かせない
*オリゴデンドロサイトが 軸索上に ミエリンを形成

グリア
1.シュワン細胞〜末梢神経にある→ミエリンを形成
2.オリゴデンドロサイト→ミエリンを形成→脳や脊髄にある
3.アストロサイト→ 脳や脊髄にある
4.ミクログリア→ 脳や脊髄にある

脊椎動物と無脊椎動物の本質的な相違点はグリア
*脊椎動物(人類)の知性は グリアのおかげ
*ミエリンを形成するグリア=オリゴデンドロサイトとシュワン細胞

ミクログリア=精神の防衛隊
*グリアの中で 最も小さく、最もダイナミック
*脳に侵入するのでなく、脳とともに成長する
*傷ついた神経細胞に 神経保護物質を与える
*ミクログリアの働きによる損傷→神経疾患

アストロサイト=脳のパワーの源泉
*軸索も樹状突起も 持たない
*ニューロンにエネルギーを供給したり、その老廃物を排出
*ニューロンの隙間を埋めている
*シナプスを介して ニューロン間のメッセージを かすめ取る→グリア回路全体に その情報を広める

ニューロンとグリア=一体となって機能
*アストロサイトは シナプスと連携
*オリゴデンドロサイトは 軸索を絶縁する

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Posted by ブクログ 2018年09月11日

「もうひとつの脳」R.Douglas Filelds

脳内には、1,000億個のニューロンがある。

ニューロンは脳内の全細胞の15%しかない。残りはグリア細胞。

グリアはシナプスを介して回路に接続されているのではなく、メッセージを脳全体に向けて広く送信している。

盗まれたアインシュタインの脳...続きを読むは、脳の四領域全てにおいて、一般人に比して、ニューロンの数は同じくらいだが、グリア細胞は二倍近くあった。

グリア細胞は四種類に大別される。

シナプスは経験に従って神経系の計算能力と情報処理能力を大きく向上させる。学習が可能。

人間の記憶はニューロン内部ではなく。シナプスを介したニューロン間の結合部に貯蔵されている。

グリア細胞の一つであるアストロサイトとニューロンの前頭皮質における比率について、人間は4対1だが、クジラやイルカは7対1。

下等から高等な動物に進化するに従ってニューロンに対するグリアの比率が高まる。グリアは知性の座。

脊椎動物はミエリンを形成するグリアを持つが、無脊椎動物は持たない。両者の違いは、神経系の機能に寄与するグリアの進化、すなわちミエリン形成能の獲得がもたらした最大の功績。

神経系の設計に関する解決策は小型化。絶縁にかかわるグリアは軸索というホースに何重にもミエリンを巻きつけることによって電気の漏れ口を実際に塞いでこの小型化を可能にしている。その結果、脊椎動物の脳と末梢神経では、極めて細い軸索が遠くまで迅速に情報を運搬する事ができる。

小さな接着細胞を意味するミクログリアは、脳内に存在するグリア全体の5-20%を占めている。ニューロンとミクログリアはほぼ同数。

目は脳の一部。胎児の発達期に脳から外側へ突出した膨らみとして目が形成される。

アストロサイトは神経伝達物質を感知できるだけでなく、電気信号の代わりにカルシウムイオンを使って仲間同士でメッセージをやりとしている。

アストロサイトも細胞の間隙を通して、ある種のシグナル伝達分子を送って交信していた。ニューロンとグリアは同じ様式の交信経路を持っていたが、シナプス結合を介したニューロンのコミュニケーションが固定電話と同じ線形回路であるのに対してアストロサイトは携帯電話のようにシグナルを広範囲に送信する方法で交信している。

ニューロンがシナプスでのコミュニケーションに使っている様々な神経伝達物質の全てを含む、神経系におけるシグナル伝達分子の大多数を感知できるセンサー群をグリアが持っている。

未成熟なグリアに幹細胞のような働きができる事や、成熟したアストロサイトが成人脳では休眠状態にある幹細胞を刺激して、代替のニューロンやグリアへと分化させられる事が明らかになっている。

統合失調症やうつ病から病的虚言や音痴のような特異な疾患までを含む多くの精神疾患にもグリアが関係している。

老化、癌その他の健康に関わる脳機能の多くの側面がもう一つの脳と関係している。従い、グリアは脳の健康と病気のハブだと言える。

男性の方が悪性の脳腫瘍に罹りやすい。女性は脳と脊髄の被膜にできる良性腫瘍である髄膜腫は発症しやすく、その羅漢率は男性の20倍になる。

放射線は健康な組織も損傷するだけでなく、長期的には腫瘍を誘発する。

グリアの細胞膜には、ニューロンが持っているイオンチャンネルのほぼ全てが発現しており、グリアの細胞膜を通り抜ける特定のイオン(カリウム、ナトリウム、塩素イオン)の流れを調節している。

多くの癌細胞は細胞を繋ぎ合わせている細胞外マトリックスを溶解する酵素を分泌して細胞間の通り道を緩めている。

車椅子の四人に三人は男。車椅子利用者の五人に三人が30歳未満で車椅子生活になっている。

脳細胞への局所的な血流を制御しているのはアストロサイト。

女性が妊娠すると、脳内で乳汁分泌を制御しているシナプスを取り囲んでいるグリアがこの部位の構造を変化させてシナプス回路を配線し直す。

睡眠中の脳活動を制御しているのは、大脳皮質でもニューロンでもなく、アストロサイトを通して流れる活動波が、視床ニューロンの大集団を結びつけてその神経活動を競技場の観客の動きのように協調させている。

ハエの脳内のグリアは、ニューロンによる神経伝達物質のドーパミンやセロトニンの産出を調節する事で睡眠と活動のサイクルを制御している。

アストロサイトの遺伝子を欠損させた遺伝子改変マウスは、脳卒中後に海馬の長期増強が損なわれる。

アストロサイトは記憶を保持するシナプスを掌握している。

アストロサイトは周囲にあるシナプスを抑制して、記憶中枢に対する特定の入力を際立たせている。

学習とは、脳が環境と相互作用した結果。

玩具や社会的交流を増やすという刺激の豊かな環境で飼育した動物と通常の条件下で飼育した動物では、前者は認知刺激が増加するので、高次認知機能に関与する大脳皮質が厚くなり(グリア細胞の数が増える)脳が大きくなる。

豊かな環境で生育された動物では、私たちの左右の脳を連結するケーブルを包んでいる絶縁体が増加し、この絶縁体を形成するオリゴデンドロサイトの集団が3割近く増加し、学習および記憶力が増す。

人間は生殖期を迎えるまでに、自分が生まれ落ちた特定の環境に最適な脳を発達させている。
成人期を迎えるまで脳が可塑性を持つ事こそが、人類がいかなる生命体をもはるかに凌ぐ爆発的な進化を遂げた理由。

プロピアニストは、右側の脳にある白質神経束の一部の軸索を被膜するミエリンが一般人よりも厚い。白質神経束の組織は、幼少期か成人期かに関わらず、練習時間に比例してミエリン形成が済んでいない脳領域で増大する。

ミエリンと学習の相関関係は、複雑な技能の習得は人生の早いうちに始める必要がある事を示している。

グリアは人間の反射を超えた領域へ私たちを連れていく。

グリアの緩慢で着実な影響は、身体の平衡、ホメオスタシスに重要な役割を担っている。

情動や感情、注意のサイクル、成長や老化に伴う認知力の変化、ギター演奏のような複雑なスキルの獲得はグリアが得意とする。

アストロサイトはニューロンの全ての活動を傍受する能力を備え、グリア間の交信は神経伝達物質のみならず、ギャップ結合やグリア伝達物質、ATPなどいくつもの通信回線が使われている。

ニューロンはニューロン同士で適切な相手としかシナプスを形成しないが、グリアは仲間同士でもニューロンとも交信する。そしてオリゴデンドロサイトやミクログリア、血管細胞や免疫細胞とも交信している。

グリアは包括的なコミュニケーションネットワークの役割を担っており、それによって脳内のあらゆる種類の情報を連係させている。

グリアは神経系を構成するあらゆる細胞を一つの機能的ネットワークに編成している。

脳の活動には、即断を要する直感的な思考とそれに伴う速い反応と、深い思索、意識や感情、情緒のような緩やかに展開する生理過程が共存しており、前者がニューロンの機能であり、後者がグリアの機能。

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Posted by ブクログ 2020年04月30日

主旨にだいぶ偏りもあるが、グリアについて新しい見方ができる。
ただ、客観的に考えてもグリアの働きが詳細に記載されており、その点が良い。

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