あらすじ
「家族」で起こる、ささやかな大事件。いま一番旬な作家、辻村深月の最新文庫。息子が小学六年の一年間「親父会」なる父親だけの集まりに参加することになった私。「夢は学校の先生」という息子が憧れる熱血漢の担任教師は積極的に行事を企画。親子共々忘れられない一年となる。しかしその八年後、担任のある秘密が明かされる(「タイムカプセルの八年」より)。家族を描く心温まる全7編。
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Posted by ブクログ
「最近読んで良かった本は?」と聞かれたらこの本を挙げるかもしれない
結末がとても心地良くて、
短編だから超読みやすい!
私は『孫と誕生会』が1番好きだった、
孫をエコ贔屓するツンデレじいじ最高
Posted by ブクログ
個人的に、いい話だったと声を上げたくなる話と、始終胸糞悪い話の両極端だった。
どの話の主人公も特定の誰かにモヤモヤを抱いていたり、価値観が噛み合わなかったりする(7話目の「タマシイム・マシンの永遠」以外)のだが、最終的には分かり合い、暖かな日常に戻るというのが大体の流れだ。
だがこのモヤモヤが、話によっては理不尽だったりする。「お前その性格どうにかならないの?」と、主人公に対して憤ることもあった。具体的には1話目と3話目。
特に3話目は、主人公である母親が娘の進路等にモヤる話なのだが、そもそも母親が無自覚な毒親である。オマケに、今まで培ってきた価値観も、歩んできた人生も、常人では理解し難い。
ネタバレになるため詳しくは言えないが、進学校の受験を検討する娘に「制服が可愛いから底辺校にしなよ」と大真面目に言って正当化するような母である。それも何度もしつこく。一人称視点なのも相まって、なんだコイツと頭を掻きむしりながら読み切った。しかもその娘と分かり合えた理由もまたアレで、端的に言えば「母親側に堕ちてきた」ことが一番大きな要因で……。「2人とも本当にそれでいいの?」とぽかんとした。
3話目は人を選ぶ話であり、胸糞悪いなと思いながら終わる可能性があることを、念頭に入れて置いて欲しい。ほのぼの家族劇を楽しみたいと思って読む際は、それなりの覚悟がいる。少なくとも私は、「疲れた時に読むんじゃなかった」と、この本を1年ほど本棚にしまい込んでいた。
しかしその他は、すごく後味も良くて暖かな気持ちにさせられる、とてもいい話である。
特に気に入ったのは4話目「タイムカプセルの八年」、5話目「1992年の秋空」、6話目「孫と誕生会」で、何気ない日常の中の悩みと家族の温かさを、綺麗で鮮明な情景とともに見せてくれた。何気ない日常だからこそ、まるで自分がその場にいるかのように、あらゆる景色が鮮やかに見えた。この3作品だけでも、この本を手に取った価値は十分にあったと思う。
自分と価値観が噛み合わない主人公に挫折しそうになっても、どうか上記3作品には触れてみてほしい。
Posted by ブクログ
家族に焦点を当てた短編集。
「家族」という枠組みの中にいるだけで、縁を簡単には切れないし離れたくても離れられない。家に帰れば同じ空間で過ごさなければならない。
そんな呪縛に苦しむ不穏な流れがありつつも、最後は心温まるオチでほっこり。
もっとも印象的だったのは『「妹」という祝福』。
学生時代によくある、周りからの視線を過剰に気にするくせに客観性がない、そんな主人公の内面に共感した。
Posted by ブクログ
4作目は、前半の子育てに興味なさげな父親が急にタイムカプセルだけ立ち上がるのに少し違和感。
・「妹」という祝福
三軍姉を馬鹿にしていたが、姉が実はヤンキーから守ってた。好きな男子に馬鹿にされ離れる。
・サイリウム
いつも喧嘩のバンギャの姉が、弟の推しアイドルライブの有志の活動が載った新聞をそっと渡す。
・私のディアマンテ
母に反抗する娘が高校教師の子を妊娠。
・タイムカプセルの八年
憧れの小学校教師がタイムカプセルを埋めていなかった。息子の夢を守る為親父達が捜索。
・1992年の秋空
宇宙に行きたい妹。逆上がりで骨折
・孫と誕生会
竹とんぼを教える祖父のおかげで友達の誕生会へ
・タマシイム・マシンの永遠
子供を見て自分の子供時代を思い出す、どらえもんのタマシイムマシンのように。