あらすじ
☆☆【2020年秋】NHK総合よるドラにて、TVドラマ化!☆☆
謎を解けば、あなたは生き返る
――どこからでも読める珠玉のミステリシリーズ!
☆☆☆
人生を告解しなさい。
私が裁いてあげる。
会話のない母子を襲った突然の死。
生き返りをかけて、死の理由を推理せよ!
大人気「死者蘇生」シリーズ第6弾!
☆☆☆
私には誰にも言えない秘密がある。私の母は――殺人を犯した。
過去を消しデザイナー業と子育てを両立する律子の前に、
母に金を貸したという男と、縁を切ったはずの母が現れる。
築いた地位と娘との日常を壊されてしまう
――恐れた彼女は自宅で母を殴り倒してしまい、
さらに数日後律子は刺殺される。
誰が私を殺したの?
蘇りをかけた閻魔堂沙羅との推理ゲーム初の長編小説!
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Posted by ブクログ
初登場の沙羅ママに対する沙羅の言動が新鮮で、そんな感じの今風の子なんだなあと理解が深まったし、一見そう見えなそうだが、実は仲が良い関係を微笑ましく思う。「あざーす」とか、女の子が使うべきでない言葉とか。このシリーズの最近の作は特にそう感じるのだけれど、被害者がたどる推理と沙羅の説明が被っているところが多く(それが正解なのだから仕方がないのだろうけれど)ちょっとくどいように思う。それと美久の気持ちを沙羅が律子に伝えるのはルール的にありなのだっけ? ラストは別な結末を一瞬期待したけれど、犯罪が消えてなくなるのではなく、しっかり罪を償ってこれまでのことをきっちり清算するのが、彼女たちにとってベストな選択なのだと気付かされた。
Posted by ブクログ
前作を読み終えた後、このシリーズの長編も読んでみたいと書いた。『閻魔堂沙羅の推理奇譚』シリーズ第6作は、初の長編である。元々、十分に長編にできるネタばかりのこのシリーズ。一ファンとしては読むしかない。
色々複雑な境遇にある人物が登場したが、今回は主人公の実の母が殺人犯である。父は知らず、幼い頃から虐待されて育ってきた。殺人犯の娘という風評にずっと苦しみながら、努力を重ね、デザイナーとして現在の地位を築いた。
今なお幼少時のトラウマに苦しむ彼女の前に、出所してきた母が現れる。さらに、筋の悪い借金取りが職場や別れた夫の周りまでうろつき、彼女は再び過去に苦しめられる。ただでさえ、思春期の一人娘とはうまくいっていないのに。
とまあ、ここまで思い出しながら書いてみても、ずっしりと重い。現実に、親族が罪を犯し、このような境遇に置かれる人は少なくないだろう。作り話とはいえあまりの過酷さに同情する一方、幸い自分自身は平穏であることに胸をなで下ろす。
生い立ちを考えれば無理もないが、完璧主義で自分自身にも他人にも厳しい彼女。もちろん娘にも。いつも独力で道を切り開いてきた彼女が、絶体絶命のピンチをどう切り抜けるのか。重さがどんどん増すのにページをめくる手は止まらない。
詳細は書けないが、今回はミスリードの手腕が光る。読みながら彼女に同化した読者には、彼女が見ているのと同じ風景が見えるだろう。だが、見え方は本当なのか? 閻魔堂沙羅の前にやってきた彼女は、ようやく自問自答する。
ひたすらに過去を隠し、人に頼らず生きてきた彼女は、自らの推理に打ちのめされる。沙羅が指摘するように、ここまで追い込まれる前に、気づけなかったのか、心を開けなかったのか。まだまだやり直しはできる。そう信じたいが。
とはいえ、彼女のような境遇に置かれたことがない自分に、彼女を責める資格はないだろう。家族を想いつつ、平穏な日常に感謝するのみ。