【感想・ネタバレ】「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気のレビュー

あらすじ

日本アニメの金字塔「宇宙戦艦ヤマト」が誕生してから40年以上になる。生みの親であるプロデューサー西崎義展(1934ー2010)はすべてにおいて「特異な男」だった。交流をもった者は誰もが彼を「悪党」と評しながらも、そこには深い愛憎が見てとれる。いまや世界の文化である日本アニメを語るうえで無視することができない西崎義展の存在を、その大いなる成功と挫折から綿密に描く初の本格的ノンフィクション

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 西崎氏とは一度会ったことがある。私が駆け出しの銀行員だった頃、同じ支店の先輩がなぜか「一度会わせてやる」と言い出して氏と会わせてくれた。本書を読むとJAVNを設立、運営していた頃だろうか。背の高い、押出しのよい人だった。西崎氏の生年を確認すると私より28歳上。
 「銀行でスペイン語を習わされています」というと、
 「そうか英語ができないのか」と言われたことを覚えている。
 「いえ、英語はもうできるのでスペイン語を習わされています」と応じるとちょっと恥ずかしそうに下を向いたのを覚えている。
 この本で何度も触れられている通り、「傲岸で自分勝手な判断をする、しかし純粋な」、人だったと思う。

 ヤマトを除いて西崎氏の名を見たのは石原慎太郎氏の著作「わが人生の時」だったと思う。その本の中で、
 
 「小笠原諸島のさらに先に洋上にブイがうかんでいる。近くに陸も無くそのブイの下のわずかな日陰を求めて魚が柱を作っている」という話を西崎氏から聞き、実際に西崎氏のクルーザーでその光景を見に行った、という話だったと思う。

 西崎氏と創価学会/民音に深いかかわりあったことも初めて知った。

 本当にこんな人はいない。

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2019年12月09日

ネタバレ 購入済み

規格外≧破茶目茶…。

2024年7月読了。

かねてから気に成っていたのだが、長らく積ん読状態だった本。ふと思い立ち読み始めたら…、まぁ〜止まらない!!!『ヤマト』の話と成るとシャキッとしてしまうほど大好きな自分が、こんなに長い間放置していたことを後悔した。

西崎氏の《破滅的な》生き方は色んなメディアで見聞していたし、子供心にも「この出たがりなプロデューサー、胡散臭いなぁ…」と四十数年前から感じていたので、ある程度予想はしていたがここまで破茶目茶な人生だったとは。

しかし著者が何度も書いているように、あれだけのスケール感、そしてしっかりとした物語の世界観を持ったアニメーション作品は、やはり『ヤマト』以外には当時存在しなかったと心から思う。

最近作られたリメイク版の『2199』シリーズを観ていると、思想が《お花畑》と云うか、『平和』なら何でも良い(=誰からもクレームが来ない)と言うような《覚悟の無さ》を感じて寂しくなってしまったが、これも「アニメ村はどんどん縮こまっていっている」のか…と溜め息が出た。

「時代が違う」と言うのは簡単な言い訳だが、昔の『さらば…』に流れている《日本人なら絶対に響く精神的な核》の様なものを描く度量がドンドン小さくなり、「波動砲を封印する」なんていう馬鹿な物語に成ってしまうのだろう。

文中にも有ったが、勝新や三船、角川春樹…といった様な《規格外な創造者》が、将来の日本には現れないのかと思うと、一層寒々しい気分にさせられた。
さぁて昔の『さらば…』でも見よっと…!

補記:2024年10月。遂にアノ庵野秀明が『ヤマト』に手を出す(失礼)、全く新しい続編を作るとのニュースが流れた。『ゴジラ』は良かったが『ウルトラマン』『仮面ライダー』とハズし続けている庵野さん、今度はキッチリしたもの作ってね!それと現場で我儘言い過ぎないでねw!!

#アツい #ドキドキハラハラ #ダーク

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2024年10月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

100円のプラモデルを作っていたので全くの無関心であったわけではない。アニメも見ていた。
ヤマトから興味を失った理由は、のちに「ヤマト第三艦橋現象」と呼ばれることになるシーンに呆れたからだ。おさなごころにも、いい加減なお話なんだなと感じて見るのをやめた。なので、本書の存在を知ってからも手に取ることはなかった。しかし。
近頃、創作界隈のテキストに触れることが多く、不意にヤマトに出くわす。どうにも避けて通れないようなので、一通りの知識を仕入れるために本書を手に取った。

「かもしれない」ことや知り得るわけもない故人の心情を断定的に述べてしまうあたりジャーナリスティックな小説である。批判的な文章で中立な立場を主張しているようだが、著者らは明らかに西崎サイドに立っている。なので、まるのみにするわけにはいかない。とはいえ。
長らくどうでもいいに分類していたヤマトに対する松本零士の訴訟について補完できた。
ヤマトをファーストインパクトとする庵野秀明が、すべてにさよならしたエヴァをまたやるとか言ってることにも首肯せざるを得ない。魂に沖田艦長復活が刻まれてるのだから。

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2024年05月22日

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