【感想・ネタバレ】ウォーク・イン・クローゼットのレビュー

あらすじ

対男用のモテ服好みなOL早希と、豪華な衣裳部屋をもつ人気タレントのだりあは、幼稚園以来の幼なじみ。危うい秘密を抱えてマスコミに狙われるだりあを、早希は守れるのか? わちゃわちゃ掻き回されっ放しの、ままならなくも愛しい日々を描く恋と人生の物語。表題作他「いなか、の、すとーかー」収録。【解説入り】

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ネタバレ

いなか、の、すとーかー
初めは女→男への執着ストーカーのホラー話かと思い、身構えて読んでいたが、途中からいい意味で話の路線が変化していった。果穂の歪んだ愛情も恐ろしかったが、やはり砂原の精神をじりじりと壊させられる、ストーカーらしい嫌がらせが1番堪えるなと思った。果穂は最後、もう主人公の前に姿を現さなくなったとあるが、いつまでも主人公の周りを彷徨く砂原がとても気持ち悪く思えた。

ウォーク・イン・クローゼット
早希の性格がとても好きだった。良くも悪くも自分を客観視して、踏みとどまるところではきちんと踏みとどまる。今まで読んできた小説で考えると、早希は流れで隆史と一夜を共に過ごし大後悔…の流れになる。だが、一歩手前で隆史の思惑に気付き、逃げ出したところですごく好きになった。
多分、私は早希の素直さに憧れたから好きになったんだろうなと思った。
この話はところどころ登場人物の言い回しが面白くて笑える部分があった。

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2023年09月20日

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ネタバレ

ストーカーの話は終盤どんどん盛り上がっていくのに、オチが尻すぼみな気がした。
ウォークインクローゼットは、20代女性の話。共感できると面白いと思う。

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2021年08月01日

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ネタバレ

うーむ。好きです。やっぱ好きです綿矢りさ。ええなあ~、ってね、思いますね。

いなか、の、すとーかー
最初は、正直、あんまオモロないなーって思って読んでまして、最初は、というか、中盤も終盤も、正直、あんまオモロないなーって思って読んでまして、うーむ。こりゃちょいハズレか?とか思ってたんですが。

語の最後の最後、ホンマの最後の最後で、ビックリするほど話が動く。話が動く、というか、主人公の石居透の気持ちが、というか意識が、途轍もなく一気に動く。その動きっぷりの凄さが凄い。

ある意味、ウルトラご都合主義的な、デウス・エクス・マキナ的な、「え?なにこの無理やりな纏め方?」的な、ちょっと無茶苦茶こう、綺麗に大団円的に終わるんですよ。

だが、すまん。それが良い。こんな無茶な綺麗な締め方って、いいの?読者、怒りやせんか?とか思うんですが、いやでも俺はこの終わり方、ちょっと、感動した。綺麗やんか、って思って。石居透が好きになりました。その境地に行くこと、人として、絶対良い事やん、とか思って。

正直言います。ちょっとご都合主義だし、なんか無理やりすぎる気はする。だが、その思いを超えて、なんだか感動したんだよこの終わり方に。何故なんだろう。不思議だ。でも、うん。好きです。この終わり方。

ウォーク・イン・クローゼット
主人公、早希の友人の「だりあ」って、キャラ的に、2021年現在で言うと、、、みちょぱ(池田美優)みたいなキャラ、なんですかね?どうなんでしょうね?良いですねえ、こういうキャラ。

しかしアレだ、「かわいそうだね?」収録の「亜美ちゃんは美人」もそうでしたが、綿矢さんは、女同士の友情を描くのが上手いなあ、って思いました。なんだろうね、この嫌味の無い上手さ。いいなあ~、って思うんだよなあ。うん。凄く良いんですよ。

「亜美ちゃんは美人」では、主人公の友人の亜美ちゃんは、すげえ美人だし、この「ウォーク・イン・クローゼット」では、主人公の友人のだりあは、結構な美人でしかも結構有名な芸能人だし、でも、どっちの話でも、主人公はあんまり卑屈じゃないのが好き。卑屈じゃない、というか、ちょっと突出してる女友達に対して、結構フランクに接する。その距離感、ええなあ~ってね、思うんだなあ。あ、マジの友人やんか。って感じで。うん。好きです、この距離感。

いやあ、なんだろうなあ。綿矢りさの作品の登場人物は、「ホンマにいる」って感じが、ビシバシにするのですよね。嘘偽りのない感じが、勝手にする。勝手に感じる。ええ。勝手にです。創作の物語の登場人物を「この人たちマジに存在してそうだな」って思うのは、ま、勘違いだと思うんですよ。

でも、そう思わせてくれる世界を見せてくれる。そんな綿矢りさの作品は、やっぱ、好きです。うん。好きだ。誰がなんと言おうと、俺は、好きだ。

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2021年01月27日

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ネタバレ

2015年に世に出た綿矢氏の作品。

中篇「いなか、の、すとーかー」および表題作の「ウォーク・イン・クローゼット」からなります。

なお綿矢氏は17歳でデビュー。2004年で芥川賞受賞。すごいですねー。

・・・
綿矢氏の作品は芥川賞作品の『蹴りたい背中』以来です。

結構リアルタイム気味に読んだ記憶はあるのですが、テイスト・テクスチャ―がどんなだったかはまったく記憶にありません。

で、今回、ほぼ初めてという感覚で読みました。
で、どうだったかというと、すごい。というか、すらすら読める、
ということに驚き。

それでいて、キャラクタのアクやクセ・えぐみはきちんと作品に反映されているのです。

故につるつる読めるのですが、読中読後にじわじわと酔いが回るような感覚です。日本酒かよ。

とりわけ、読み口のさらさら感は、私が普段好んでいる恩田陸氏や湊かなえ氏より一層つるつる(!?)でした。これに驚きました。

・・・
さて、えぐみが強いのはキャラ設定だと述べました。

本作は二つの中篇「いなか、の、すとーかー」と表題作「ウォーク・イン・クローゼット」から構成されます。

強烈だったのは、前者では陶芸家石居の幼馴染果穂。石居にたいして憧れも憎しみも兼ね合わせもち、その二面性が「まだら」に現出する描写が良かった。

後者では、デートのオトコ用にそれに合わせたモテ服をチョイスするOLの早希。

これは疲れるんだろうなあ、と読んでてこちらまでちょっと疲れました。作中で彼女は、好きな男の子と幼馴染の女の子と3人でライブに行くことになりましたが、これが大変。男と行くときだったらこういう服・女友達との外出だったらこういう服、とテイストが異なるため、結果ライブに行く前にかれこれ4, 5時間も服のチョイスに悩むという・・・。化粧の時間なくなるよ!?みたいな。

まあでも、どちらも最後はキレイにまとまり、いい感じにおわりました。

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ということで、ほぼ初めてくらいな綿矢氏の作品でした。

なかなか良かったです。

今後も折に触れて読んでみたいと思います。

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2024年08月27日

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ネタバレ

いなか、の、すとーかー
大学の授業で使うので読んだ。最後の主人公の考えにはなるほどと思ったが、共感はできない。私なら敵(ストーカー)を倒したり、追い出したりしたい。途中の描写は怖かったが、読むのをやめられなくなった。最終的な主人公の人生観は良い。

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2024年04月26日

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ネタバレ

憧れてた物が手に入ったとして、自分には不相応なことってあるよな。
1つ目は芸能人になった友達が妊娠してパパラッチに追われて狭い部屋に引っ越して、そこもバレて逃げてる途中にホテルのトイレで産まれそうになる話。
無事病院で産まれて、お礼として友達のウォークインクローゼットにあった物をもらう。似合わないけど、いつか着こなしてみせる!という前向きなラスト。
”おれが変わったら、あなたのことを好きになるよ、って言われたのが、引っかかってる。変わること前提で愛してもらうなんて、おかしくないか?”というセリフが心に残った。

2つ目はファンストーカーと幼馴染ストーカーの話。愛情とストーカーは紙一重。
表現者として発信していること、その意図がどうであれ、受け取り方は受け手次第。
露出しといて「お前には見せてない」っていうのと似てるな。実際好意のある相手には見せにいってても、キモいオヤジに見られたら嫌、という身も蓋もない現象。でもそういう服を着ている以上、注目を集めるのは仕方ないし、自分が好きで着ているだけでも、見せるために着ていると思うかどうかは見る側次第で、見る側の意識が変わらないと状況は変わらないんだろうな。

2篇のタイトルがパズルみたいで面白かった。
ウォーク・イン・クローゼット
いなか、の、すとーかー

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2024年03月27日

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ネタバレ

中編2作からなる一冊。表題作は元気に終わって良かった。もう一作は、特殊な設定のせいか最後まで感情移入しづらかった。

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2023年01月18日

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ネタバレ

いなか、の、すとーかーは陶器職人の透を追ってくるファンの女と、幼馴染の果穂がストーカーとして追い詰めていく。結局ファンの女は好きな時にアトリエにこさせて、幼馴染とは疎遠に。

ウォークインクローゼットは人気タレントのダリアと、モテ服好みのOL早希のダブル主役。そんななかだりあが妊娠!早希はホテルでだりあを守り自分に似合う服を見つけていく。

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2021年05月26日

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ネタバレ

◯いなか、の、すとーかー

 登場人物が少なかったので察しのいい方は気付かれたのかと思うのですが、私はすっかり砂さんに気を取られていたので驚きでした。それこそ主人公の心情を追うように砂さんの話の通じなさに苛立ちが募り、果穂に癒され、矢先にまさかそんな、だけど‥と正体を確かめていき臨場感たっぷりに楽しみました。2人が結託した時はものすごくあり得そうでくらくらしたほどです。
人に対していい加減な対応をするのはやめようと反省した作品でした笑。

◯ウォーク・イン・クローゼット

 おままごとのDNAがせめて簡単な料理をさせようとするというのは目から鱗でした。その通りなのでは‥。なんでかつてあんなに家庭的な仕事に憧れていたのか不思議に思いました。やっぱり1番近くにいる人の真似をしたいからなのでしょうか?
 衣食住と数えられるほどのものですから、そのどれかが自分の価値観と合う人は相性が良く、全く分かち合えない価値観がその3つの中で多すぎると少し付き合うにはしんどいのかもしれません。それは趣味の壁よりも高い気がします。早希が洗練された好みの男に惹かれて何度も失敗するのはリアルでうわあ、と声が出てしまいそうでした。その違和感の感じ方さえわかるわかる‥。早希がユーヤとこれからうまくいったりするといいなあ。

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2020年11月30日

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ネタバレ

このウォークイン・クローゼットは、女性らしさとは何か、女性として生きるとはどういうことか、という問いを投げかけてくるお話だなと感じた。
ユーヤとだりあという2人の友達は、性別も友達としての性質も違って、それぞれが早希にとって愛おしくて“強く生きる”ために必要なものなのだと思う。
早希とユーヤは付き合おうが友達のままだろうがどちらでも素敵だけれど、個人的には友達のままが良いと思った。
恋人としての交際にはいつか目に見える終わりが来て、それは段階を踏まなければならないものであって、つらい。
だりあにとっての早希はきっと姉妹のようなものであって、その関係はきっと揺らぐことはなく、母になってぎらぎらとした目も派手な服もなくなっても続くのだと思う。幸せだと思う。
わたしは、深夜のコンビニ帰りのだりあが早希の家に毛玉のついた靴下のまま逃げ込んでくるシーンがとても好き。

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2020年02月18日

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