あらすじ
お泊り会当日。21人が毒殺される未来を変えるために、警戒を強める心と文吾は、持ち物検査を実施。さらに、飲食も禁止にする。そして行方不明の和子と鈴を探して音臼岳の小屋に行った心は、殺人鬼と対峙。一連の事件の異様な動機を知ることに。時を超え揺れ動いてきた佐野家の未来が、ついに決まる――衝撃のタイムスリップ・サスペンス、ここに完結。
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感動
心霊系ホラー以上にゾッとするような怖さもあり、感動で涙することも。
家族への想いが不思議な現象を起こしたのかな。
心ファミリーにはいい最後だった〜。
加藤少年を闇にしてしまったのは境遇…?それとも生まれつきサイコパス?
殺人、動物虐待の行為自体は絶対に許せないけども、こんなひどいことを平気でしてしまうほど傷ついてしまった孤独な少年を思うと胸が痛すぎる。
Posted by ブクログ
全10巻読み終えました。
タイムリープ系サスペンスの秀作だと思います。
その中心には家族愛があり、過去に戻った心と父文吾との関係も、お互いの不信から友情へ、そして、親子愛へと昇華しており、悲しいながらも、清々しい最後だったと思います。
タイトルのテセウスの船は、部品が全て新しくなっても、最初の船と同じと言えるかの投げかけですが、私は同じだと思います。
大切なのは部品ではなく、作り手の想いやコンセプトにあると考えるためです。
過去に戻った心の体は亡くなりましたが、
心が残した大切な人を守るという強い想いは
文吾や家族に引き継がれており、
それがまた、未来の心や岸田由紀、
そしてこれから生まれてくる未来にも
繋がっていきます。
それこそが、佐野家の理想の家族像であり、
人が変わっても、
変わらずに続いていくものだと思います。
読んでる間震えが止まらない
痛ましく残酷な事件、過去と現代をまたぐ謎。こんなに幸せな佐野一家が罪を着せられるなんて許せない!とぐっと引き込まれてページをめくる手が止められなかった。
お泊まり会当日を前についにみきおの破綻した人間性とこれまでの事件の謎が次々明かになる。
大人になったみきおまで過去にきてより姑息な手をつかうようになってヒヤヒヤしたけど、皆を守れてよかった。幸せな未来になれて良かった。心は死の瞬間にやっと父親の手の温もりを知ることができたんだね…
完結
そこそこ楽しみにして読み進めてきたけど、最後ちょーあっけない感じ。
打ち切り?って感じのスピード感だったな。
最後の心はテセウスの船ですよ。死んだ心が報われて欲しかった
Posted by ブクログ
■どんな過去でも自分を生きろ
テセウスの船の矛盾とは、当初の部品が全て無くなった船は最初の船と外見は同じだが部品は同じではない。この船は最初の船と同じと言えるのか、というもの。そして、これが人間だったらどうだろうという問いかけがこの本の主題だ。
主人公の田村心は、殺人犯(収監されている)の父親を持つ息子として肩身の狭い思いしながら生活をしており、やりたかった教員に就くのも諦めていた。又、妻の由紀は子どもを出産して死んでしまう。そんな時、心は殺人事件が起こった音臼町を訪れ過去へタイムスリップしてしまう。
心は過去で自分が生まれる前の家族や音臼町の人々と苦闘しながら、真犯人を突き止め未来を変えることになる。
未来の心は教員となり、同じく教員となっている由紀を家族(父母兄姉全員が生存)に紹介する姿は幸せそうだ。
自分の境遇から無力感に囚われ、生き方を狭めていた主人公が過去をやり直せるという偶然を活かし、向き合ったことで人生を取り戻した。
当然父親は冤罪であり、別に真犯人がいたから心にとっては理不尽でしかない。しかし、心は数えきれない部品(今ここ)を選択することで未来の自分自身を作り直すことに成功した。最終巻の主人公は外見は1巻と同じ人物だが、当初の主人公ではない。
テセウスの船は、当初の部品が全て入れ替わった時にこの船は最初の船と同じかという問いが生じたがこの本を読んだ後では、私は最初の船と同じだと思っている。英雄の船を後世に残すことが目的だった民衆にとって、同じかどうかはその船にまつわるテセウスの英雄性を思い出せるかどうかが重要だったはずで、その物語性は同じだ。
では人間は当初から部品(中身)が入れ替わったからといって矛盾と言うだろうか。いや言わないだろう。
一方で過去と向き合わなかったことで、自分も周りも不幸にしてしまったのがみきおだ。自分が手に入れた鈴が当初の鈴と違う(それも自分が原因)と、更に間違った方法で自分も周りをも不幸に巻き込んでいく。
心の父親の言葉「どんな過去があろうとも過去に逃げず今を生きろ」。これは、過去と向き合い今を積み重ねることで別人のようになることもある。でも、人はそう生きるべきだというのがこの本の主張だと思っている。
Posted by ブクログ
心は学校できつねのお面を2つみつける.例年1月7日に開催しているイベントで使うものが,その年は天皇崩御により開催できなかったため,このお泊り会で使うとのこと.
さつき先生がいなくなったことが判明.心が佐野に連絡を取る.学校入り口で手荷物検査をすることに.ようやく検査をするぞというタイミングでスピーカーからみきお(過去)の声.手荷物検査を拒否するみきお.
みきおは児童に札幌土産と称した何かを渡す.水に溶かすとジュースになると説明しているが,どう考えても『ぺろり,これは青酸カリ』.
食事のタイミングで佐野と心が飲食を止める.みきおが毒なんてないとパフォーマンスをして佐野と心を追い詰める.
そこで佐々木紀子が慎吾(心の兄)をおんぶして登場.母親と鈴が知らない男に連れて行かれたと逃げてきた慎吾と遭遇した佐々木紀子.これでお泊り会は中止.みきおをどこかの教室に監禁.佐野か心かどちらか分からないけどみきおが描いた絵を持ってくる.18時30分に母親と鈴を殺すような内容.佐野は学校に残り警察と一緒にいることを,心は風車小屋に行くことになる.
山小屋に目を奪われているところを襲われ心は手錠で山小屋に繋がれる.しおり先生も山小屋の中.みきおは山小屋に火を点ける.
ここからみきおが心に話をする.
みきおは転校初日に鈴に声をかけられ鈴を好きになる.鈴は佐野に憧れていることを知り,みきおはネジ曲がった感情から佐野を殺人犯に仕立て上げることを計画する.
みきおは事件後も鈴の動向を探っており,整形したこと,名前を変えたことも知っていた.ただ,みきおが好きになった鈴とは別人のようで,そこが不満らしい.
過去にタイムスリップしたみきおはみきお(過去)と話し,みきお(未来)を殺す?ことでみきお(過去)を正義の人に仕立て上げ鈴をモノにする算段.とことんくず.
鈴と母親は学校の旧体育館に換金されており,みきお(過去)が鈴を助けたようにみせかけヒーローのふり.救急車も到着した所で佐野は山小屋に向かおうとする.そこでみきお(未来)が佐野を刺殺しようとするも,心が割って入る.佐野がみきお(過去)を撃つ.心死亡.
そして歴史が変わった現代.全員で心の墓参りをした後,タイムカプセルを掘り起こす.この時点で心に相当する人がいないけど,佐野一家は明るい.鈴は妊娠.心がタイムカプセルに入れたのは,心の家系図.
みきお(過去)は少年Aとして消息を絶っているが,怪しいやつとして週刊誌で報道されている.結局佐野家に生まれた子供に心から名前をもらって心と名付けたみたい.
心(過去)は先生になったみたいで,そこで由紀と出会い結婚するっぽい.紆余曲折を経て収まるところに収まった.これがテセウスの船という意味.
タイトルの意味
タイトルがどういう形で物語にリンクするかは、最後まで読まなければ判らないでしょう。途中に何度かヒントは出てきますが、それはあくまで表面的なものです。