【感想・ネタバレ】Aではない君とのレビュー

あらすじ

同級生の殺人容疑で逮捕された14歳の息子。だが弁護士に何も話さない。真相は。親子は少年審判の日を迎える。吉川文学新人賞受賞作

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Posted by ブクログ

ネタバレ

少しのボタンの掛け違い、僅かな意見や感覚の相違、現在自分が置かれている状況のみや、物事を一方向からしか見ることが出来ない精神の未熟さ等からとんでもない事態を引き起こす可能性があるかもしれないということをこの作品を通して学んだ気がします。

この作品は、離婚により元妻と一緒に暮らす中学生の息子がある日突然学校の同級生を殺害してしまったことが端緒となり、それまで自分が如何に息子のことを考えていたつもりになっていたのかに気が付いた父親が、何故息子がそんな事件を引き起こしてしまったのか、息子が発していたSOSに何故自分は気が付けなかったのか苦悩し、また警察に捕まってしまってから一切事件について話をしようとしない息子の頑なな心を解きほぐし、息子に寄り添い、息子から真の贖罪の気持ちを引き出すまでの悪戦苦闘ぶりがとても上手く描かれていると思います。

翼は、幾度となく自分が犯した罪の重さに向き合うよう機会を与えられても中々真の意味での贖罪の気持ちを持てないでいるのがよく伝わってきました。それは、翼が父親に向けて聞いた「どうして動物を殺すことは許されるのに、人を殺すことは許されないの?」や「心を殺すことは許されるのに、どうして体を殺しちゃいけないの?」という台詞からも想像出来るように精神の未熟さ故に、殺されてしまった優斗君にも彼を大事に想い、優斗君を失い悲しんでいる家族がいること、翼がペロやハムスター達を失って悲しんでいるのと同様なのだということに気が付けないでいることからも想像出来るように思います。

翼がユキトや職場の仲間達から距離を置かれ、そして父親と共に優斗君宅に訪問した時に、翼はようやく自分が犯した罪の重さに気がつけたのかもしれません。人間は老若男女問わず誰でも過ちを犯すのかもしれません。けれど、何かを選択し決断する時に本当にその決断で良かったのか、もう一度考えてみることが必要なのではないかと思いました。生きてさえいれば、やり直しが出来ることも命を失ってしまえば、それも叶わなくなるのですから。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分の子供が人を殺してしまったら という考えうる最悪の展開の一つのストーリー


薬丸先生の何作目かの作品

自分の子供が同級生を殺してしまった父親が主人公
あの時電話をとっていれば防げたかもしれない。

この文章とシーンが描写されるたびに、日常の何でもないと思っていたことが大きな分岐点になるんだなと実感した。
この本のテーマだと思われる、自分の子供が殺人を犯してしまったら?という主題の裏テーマの一つでは?と思った。

薬丸先生はそれぞれの本のテーマに対して、それがどんなに重苦しいものであってもしっかり真正面から向き合って書いていくのは一貫しており、この作品でもそれを感じたのでとても信頼感がある。

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2025年11月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私も犬を飼っていたので読んでいて辛かった…
自分の手で殺めるのは何があろうとありえないけど、もし優斗に殺されてしまったと考えると
私も優斗が死んでもいいと思ったと思う。

死んでしまったら更生できない…それもそうだと思うが、
生きてても更生しないやつもいるじゃないか。

心を殺すのと体を殺すのどっちがダメなのか…凄く考えさせられた。


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2025年09月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

翼が言った一言がとても心にずしんと重く残った
心を殺すのは許されることなのに、からだを殺すことは許されないのはなんで?
とても難しい問だと思う
2つとも許されることはできない
ただ、やはりからだを殺すことはその人の生を奪ってしまうことでもあるので、良くはないのだろう
最後は少し希望を持って終わるので救われた気がした

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2025年06月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すごく考えさせられる。
「心と体、殺されるのどっちが悪いの」という言葉が刺さった。私も親の立場で子供が自殺を考えるくらいまで追いやる人がいたらその人を許せないと思う。だからといって、罪に問われるのは人を殺した人だけだ。心は目に見えないからこそ、誰かがその傷を気づいてあげて助けてあげる必要があると思った。
誰の立場にたってもすごく苦しかった。なぜその行動をしたのか、行動の本質を考えることの難しさと大切さに気づいた。

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2025年05月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ある日突然、自分の子どもが殺人犯になったら。
想像したくない重いテーマで、読んでいて涙が止まらなかった。
加害者の翼にとってみたら、もちろん突然殺人犯になったのではなく、被害者の子たちからのいじめに苦しんだ末の結果ではあるんだけれど、
加害者の両親共に子のSOSに気づいてあげられなくて、親にとったら突然の事件だったということが、そもそも親子のすれ違いを表していて切ない。

心を殺すより体を殺す方が悪い。
そんなことはわかっているけれど、いじめだって許されることではない。
被害者の親視点の物語を読んだらまた考えが変わるのかな。



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2025年05月20日

ネタバレ 購入済み

考えさせられる重たい内容でした

『物事の良し悪しとは別に、子供がどうしてそんなことをしたのかを考えるのが親だ』
という会話での一言があるのですが、すごく自分の心に響いた言葉でした。
親目線、子供目線、色々な感情で溢れました。
被害者も加害者もその家族も立場は違えど一生背負って生きていかなければならないのが辛いなぁと思いました

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2021年03月26日

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