あらすじ
ゴッド・オブ・ミステリー・島田荘司推薦! これは歴史の重厚に、名探偵のケレン味が挑む興奮作だ。シャーロック・ホームズが現実の歴史に溶けこんだ。いかに彼は目撃者のいないライヘンバッハの滝で、モリアーティ教授に対する正当防衛を立証し、社会復帰しえたのか。日本で実際に起きた大津事件の謎に挑み、伊藤博文と逢着する。聖典【シリーズ】のあらゆる矛盾が解消され論証される、二十世紀以来最高のホームズ物語。
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Posted by ブクログ
タイトルが気になりすぎたので読んでみた。フィクションの存在であるホームズを、あたかも歴史上の人物のように扱っているものの、それが何の違和感もないように感じさせるのは凄かった。文章のテンポも良くすらすら読めるし、シャーロックとマイクロフト、そしてロシア皇太子兄弟の対比などめちゃくちゃ設定が練り込まれているなあと思った。一気読みしてしまうと解説にもあったが、その通りだと思わせてくれる作品だった。
Posted by ブクログ
参加している読書会の「ホームズパスティーシュ」回で紹介した作品。面白かったです。
ライヘンバッハの滝壺に教授を落としたものの教授への殺人容疑でお尋ね者になってしまったシャーロック・ホームズは、兄の計らいで旧知の伊藤博文を頼って日本へ国外逃亡しました。
ふたりの出会いそのものは日本が攘夷に揺れてた維新前にロンドンでだったけど、伊藤博文が総理大臣になった後に再会したら険悪な仲に。そんな状況で伊藤博文を頼らざるを得なくなってしまったけれど、逃亡先の日本では関係改善できてほっと。「タイトルの対とは?」と思っていたら、お互いに考え方や意識の違いで対立していたことかな…。
丁度日本では大津事件が起きており、一旦収束したかに思えたけれど再び帝政ロシアとの開戦が危ぶまれる事態にシャーロックが挑む、みたいなお話。
市井の日本人がだいたい英語を解するのは??だったけれど、それ以外は意外と無理なく事件解決にシャーロックが関わっていてすごいです。近代国家へ生まれ変わろうとしている日本がシャーロックにも影響していく。
伊藤博文以外にも井上馨や陸奥宗光も出てくるし、ニコライ二世はもちろん、他のロシア高官たちも実在するのだろうな。
びっくりしたのが、北海道警にいる斎藤という警部。えっこれ斎藤一?と思って読書会でも話題にしたら、「斎藤一は1892年の退官前には北海道に務めている」って教えてもらって、「斎藤一まで!?」とたいへんざわつきました。すごいな。。
読書会では他にも様々なパスティーシュが紹介されました。聖典もパスティーシュも読みたい本が増えました。
Posted by ブクログ
シャーロック・ホームズという架空の人物と伊藤博文という実在の人物が友人同士という面白すぎる本である。また、殺人事件などでは無く歴史上の出来事を持ってきてホームズならこれをどう解釈するのかというところもとても面白かった。事実と虚構が混じりつつも伊藤博文の人間性や人間関係の部分や当時の雰囲気をここまで演出したところがとてもエンターテインメント性を感じた。最後のシーンでは、ホームズが長年疑問であった兄弟の関係性やホームズと博文のあるはずの無い関係性が設定の巧妙さによってまるで本物であるかのような感覚に感じるところがとても不思議な気分で感動した。
最後にこの小説をアニメ化したときの声優陣を乗せておくので読むときの参考にして欲しいです。
シャーロックホームズ:森川智之
伊藤博文:山寺宏一
ニコライ:内山昂輝
シェーヴィチ:平田広明
カネフスキー:津田健次郎
陸奥宗光:井上和彦
井上馨:銀河万丈
園田警視総監:山路和弘
向畑治三郎:杉田智和
北賀市市太郎:中村悠一
チェーホフ:高戸靖広
アンナ:湯屋敦子
デニーキン:小西克幸
マイクロソフト:置鮎龍太郎
ワトソン:高木渉
セバスチャン・モラン:梁田清之
ジェームズ・モリアーティ:土師孝也
Posted by ブクログ
2017/10/28
松岡先生はすげえな
ホームズ大好き・歴史大好きの需要ぴったり!
2021/06/29再読
ラインバッハの滝つぼに悪の帝王モリアーティを
突き落とした罪は名探偵ホームズの名声をもって
しても糾弾されてしまう
マイクロフトは旧知の伊藤博文を頼り日本へ密航
させる
日本でも鋭い推理の力で、ロシアのニコライ皇太
子が津田三蔵に切りつけられた大津事件から戦争
勃発寸前となるのを防いだ
攘夷を実践してきた伊藤博文が法治国家を意地で
貫く姿勢が、英国女王への親書となり国王大権を
もってホームズを自由の身と助け出したのは博文
の友情であり読者の涙をさそう
ええ話や(´・ω・`)