あらすじ
巨大な負債を抱え、会社解体の危機に喘ぐ東芝――いや、東芝だけではない。かつて日本企業を代表する存在だった総合電機が軒並み苦境に陥っている。東芝・ソニー・日立ほか大手8社の歴史や経営を詳細に分析することで日本の総合電機がはまった巨大な陥穽を描く。名著『失敗の本質』総合電機版とも言える1冊。
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Posted by ブクログ
平成の30年間は日本経済衰退の時代である。「喪われた30年」
マクロ経済の分析は多いが、ミクロからアプローチしたのが本書
当然リアリティはより高い。
思うに主要産業について「平成の産業史」を総括するべきと思う。
マクローミクロを一体で理解して初めて実相が判る。
結局日本経済は、①官の統制と保護②大企業のフルセット③ガラパゴスなどにより主要企業が保護されて維持されてきた。
グローバル化の中で事業基盤が崩れてきていても、直視せず、従来路線の堅持、既得権の保護にあぐらを掻いてきた。むしろ困難な状況になるほど国頼みで自ら弱体化の道を選んだ。
家電業界、個々の個性はあるものの、根本は
①電力ファミリー
②電電ファミリー
の潤沢な売上・利益に依存してきた。
経営は不要、経営者も育たないのが現実。
むしろ長期的には腐敗が進み、世界競争力は劣化した。(猪瀬直樹)
結局、グローバル化とデジタル化というパラダイムの変化には対応できず、自社も業界も衰退・滅びていくしかなかった。
個別の局面では健闘した事例もあって興味深いものがあった。
しかし大勢として着実な劣化と衰退はやむを得ない必然の途。