【感想・ネタバレ】新版 平家物語(一) 全訳注のレビュー

ユーザーレビュー

ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年02月06日

一巻は巻一~巻三が載っていて690ページとずっしり重くぶ厚い。原文、注釈、現代文、解説から成っていて、解説で背景、実歴史との差異なども述べられていて、薀蓄好きの私には合っているように思います。注釈も多く詳しい。登場する寺、寺院まで一つ一つ詳しく説明されていて資料として膨大です。現代訳は、きっちり正確...続きを読むにですます調で、全体に教科書っぽい。私は、この詳しさ、文体のカッチリ具合が好みです。

読む中心は現代文で読んでいるのですが、面白いエピソード等は原文で読んだりできるのも、この版良いです。原文は源氏物語よりは読みやすく、かつ、声に出して音読すると気持ち良い感じ。五七調なのか?リズムが良いです。

源氏物語より少しとっつきにくい。巻一~巻三が序盤で、ドラマの導入部分であるせいもあるでしょうけれど、段によって、読みやすく楽しめる段と読みにくい段がありました。

読んで興味を惹かれたのは重盛の描かれ方。最初に良い男、立派な男だなあと思って読んでいたのですが、解説を読むと、どうやら史実、事実と変えて脚色されているらしい。悪いことは清盛がやったように、重盛は悪いことはしてないように、キャラクター付けをメリハリ付けて、かつ、清盛がこういう態度であったから因果応報で平家が滅びた、重盛が亡くなったことで平家の衰退が始まった、と理由付け、納得させるための役付けらしい。
巻一の殿下乗合の展開、経過、摂政の方から実際は謝罪に出向いていたが、重盛が受け入れなかったのが実際らしい。別の文献との違いが詳細に述べられていて、ほほーと面白く読んだ部分です。

エピソードや人物で印象深かったのは、鹿谷の陰謀の首謀者の一人、大納言成親。逮捕される際に、気づかず美しい衣装に着替えて華麗な牛車に乗って出かける場面とか、死罪から重盛の助けに寄り一旦は流罪になるものも、その先で殺害されてしまう場面は、かなりショッキング。しかし、その息子の少将成経は許されて流罪先から戻ることができるのですが、この親子間での思いを歌に歌う場面は心打たれます。

少将が赦免されて戻るのに対し、共に流された俊寛は、遂に戻れず島で亡くなるのですが、この場面は、能や文楽などにもなっているらしい。文楽では、足摺の場面が、人形だからか、ちょっと笑える場面に見えたとも観た方から聴き、それはぜひ観てみたい、能でも文楽でも。実際には、3人が流され、2人が許されて戻り、自分だけが残るとなったら悲惨でしょうね、3人なら我慢できることも、1人では耐えられないでしょう。

このレビューは参考になりましたか?